2017年11月3日号 Vol.313

絶妙なリズム感とテクニックで
今、言うべき言葉を生み出す
SKY-HI




世界から見れば「日本」という小さな国ながらも、成功への道のりの中、築いてきた確固たる自信。それは試行錯誤を繰り返しながら、増やしていった引き出し(テクニック)の数に比例して大きなものだ。日本からやってくるニューヨーク初見参のシンガーソングライター、SKY-HI(スカイハイ)。彼のビジョンの中には、今「アメリカ」という文字が大きく広がっている。

生まれる直前まで両親がロサンゼルスに住んでいたというSKY-HIは、胎児の頃に既に広大な大陸の空気を吸ってアメリカを体感していた。子供の頃は勉強が得意で、スムーズに早稲田大学まで学問の道を歩む。
その一方、中学で始めた音楽が、じわじわと彼の世界観を変えていく。そして大学を卒業せずして、音楽を生業とする道を選ぶ。
「理由は二つありました。一つは、大学で教えてもらうことは、社会に出れば学べると思ったこと。もう一つは、ヒップホップのクラブは終わるのが朝の6時くらいなので、その後、クラスを受ける生活を続けていたら本当に体が持たなくなってしまう、と思ったことです」と笑う。
2005年、avex traxから6人組アーティストグループ「AAA(トリプル・エー)」の一員としてデビューし、本格的にアーティストとしてのキャリアをスタートさせるが、現在のSKY-HIのソロ活動こそ、中学、高校でやっていたことの延長で、このグループ活動はどちらかと言えばイレギュラーなことだった。
AAAではラップを担当し、絶妙なリズム感とテクニックで周りを魅了するが、トレーニングらしいことは特に何もしたことがないと言う。
「字が綺麗な人や料理が上手な人と同じように、リズム感の良さは自分が持っている元来兼ね備えたものだと思っています」
ラッパーであることは自分の資質を活かしたごく自然に成り立つ職業なのだろう。
そんなSKY-HIに影響を与えたのは、タリブ・クウェリ、モス・デフ、オーガナイズド・コンフュージョンなど、コンシャスなニューヨークのヒップホップ・アーティストたちだった。
2013年、満を持してメジャー・デビューを果たしたSKY-HI。翌年3月に発表した「TRICKSTER」を皮切りに、「カタルシス」(16年1月)、そして、「OLIVE」(17年1月)とコンスタントにアルバムを制作し、シンガーソングライターとしてのステータスを確立する。
「作詞は、日記のように日常に起こったことをそのまま書くとか、他の人が着眼しないことに焦点を当てたり、過去の自分の物語、ストーリーテリングだったりしますが、最近の主軸となる手法は、ライブに来てくれたオーディエンスの顔を思い浮かべて、どういうメッセージを伝えれば、彼らの人生がより良くなるだろうかと考え、『今言うべき言葉を生み出す』形が多いですね」
メッセージを誰に伝えたいかは、インスピレーションが湧いた時々で異なり、メロディラインも同様に異なってくると言うSKY-HI。「言葉」を大切にするリリシストとしてもふんだんに才能を発揮する。

そのSKY-HIが10月11日からスタートしたのが「SKY-HI Round A Ground 2017」と題したワールドツアーだ。台湾、香港、ロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドン、パリの海外都市を含め、2ヵ月をかけて24ヵ所25公演を行う。
「ライブにおいて、日本であればどんなサイズの会場であっても、来た人がロックできる方程式を自分の中で磨いてきましたが、現段階ではそれが海外で通用するのか全くわかりません。何でもやればいいという訳ではありませんが、今回は自分が持っている引き出しを全部使わないと次のステップが見えないと思っています」と、ニューヨーク公演への意気込みを見せる。
「海外に住んでいる日系人の方たちに、自分たちのルーツが日本で良かったと思ってもらえるようなアーティストでありたい」
ニューヨーク公演では、名前のごとく空高く舞い上がるその姿で、きっと記憶に残るエンターテイメントショーを見せてくれるだろう。(河野洋)

■11月15日(水)8:00pm
■会場: SOB's
 204 Varick St.
 TEL: 212-243-4940
■$40 ※入場18歳以上
 VIP$85(ミート&グリート有)
www.sobs.com



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