2016年12月23日号 Vol.292

クラシック最高峰の舞台で
「灰になるまで」続けたい
YOSHIKI



クラシックアルバム「Yoshiki Classical」


作詞・作曲から編曲もこなし、音楽プロデューサーで、ロックバンド「Xジャパン」のリーダーでもあるYOSHIKIが、1月12日(木)と13日(金)、東京フィルハーモニック・オーケストラとともに、カーネギーの大ホール、アイザック・スターン・ホールでコンサートを開催する。クラシック音楽ホールとして、最高峰の舞台だ。
滞在先のホテルへ、準備に追われるYOSHIKIを訪ねた。

ジャズピアニストの父、三味線を嗜む母のもとに生まれ、4歳でピアノを始め、9歳頃から作曲を開始したというYOSHIKI。学校ではブラスバンドに所属、トランペットを担当。聴いていたのはクラシックばかりだった。
中学に入り「運命」とも言うべき出会いが訪れる。ロックミュージックとの出会いだった。
「ちょうど、父親をなくしたタイミングでロックに出会ったんです。当時は自分が行き場をなくしていたというか、父が自殺したことで、自分の心の中で『?(クエスチョン)』と言うか…、怒りや悲しみ…そういうもので錯乱している時でした。クラシックをやめた訳ではなかったのですが、ロックに傾倒していきました」
同じ音楽でも、それまではクラシックを演奏し、クラシックだけを聞いていたYOSHIKIにとって、「クラシック」とは全く異なる表現方法が新鮮だった。
「ロックでは『荒れ狂った感情すべてをぶつけられる』と言うか…。ますますのめり込んで行きました」
クラシックは基本的に、作者の意図する事や気持ちをいかに表現するかが重要で、 奏者に個性があれども、それがあまり前面に出てくる事はない。「ベートーベンやバッハはこういう気持ちで曲を書いたのだろう」と、自らの解釈で作者の気持ちを推察し、再現する。初めてロックに出会った時、「なんて自由なんだ!」と思ったYOSHIKIだが、それは「最初だけだった」と打ち明ける。
「続けていると、ロックにも様々なジャンルがあることがわかってきました。色んな人たちからいろいろ言われているうちに、『反発心、反骨心』が生まれて、『ロックはもっと、自由なものではないのか』と疑問に思い、納得のいかない所もありましたね」。よく「Xジャパンは何故、あんな格好をしていたのか?」と聞かれるそうで、「とにかく、掻き乱したかった」と答えはいたってシンプル。その裏には「ロックは自由なもの」という思いがあった。
「様々な意味で、壁を感じていました。中にいれば、外敵から襲われる心配もなく安心できるに違いありません。音楽も一緒で、壁の中に居ればラクだと思います」。グループやジャンルで区切ってしまう「壁」。自由な表現を求めるYOSHIKIにはそれが窮屈だった。
「僕ら(Xジャパン)は、何処にも属さなかった、属そうともしなかった。リスクや不安はありますが、『それがロックなんじゃないのか』と、思っています」

今回のコンサートは、YOSHIKIの原点とも言える「クラシック」。クラシック演奏を再び始めたのは、あるライブがきっかけだった。それまでXジャパンのライブでピアノを弾いていなかったYOSHIKIだが、その日はステージからピアノが動かせなかったため、「それなら…」と曲の合間にバッハを演奏。これが意外に受けたのが始まりだった。
以降、オーケストラとの共演、天皇陛下への奉祝曲の作曲、ゴールデングローブのテーマ曲などをクラシックで作曲。クラシックアルバム制作などを行っていたことも今回のツアーへと繋がった。
クラシックとロック、同じ音楽でも対極に位置するジャンルのように思われるが、そのアプローチに違いはあるのだろうか。
「気持ちはいつも同じです。200年前、ロックはなかったですが、『モーツアルトはパンク的なアプローチで曲を書いたんじゃないのか?』なんて考えています。でもやはり気持ちの上では『同じ音楽』というスタンスですね」と笑う。
コンサートでは、Xジャパンの曲からクラシックバージョンや、天皇陛下への奉祝曲に加え、自分なりのアレンジを施したクラシック曲を予定しているそうだ。「コンサートはエンターテインメントですから、楽しんで頂けるようにしたい。『Xの曲って、クラシックになるとこうなるんだ。クラシックがこうなるんだ』 と期待に答えられるようなコンサートにしたいと思っています。日本から東京フィルも参加しますし、『歴史的なもの』にしたいですね」
今も変わらず持ち続けているもの、それは「音楽に出会った時、始めた時の気持ち」だそうだ。「父を自殺で亡くした影響で、僕は音楽に出会っていなかったら、生きていなかったかもしれません」とも打ち明けるYOSHIKI。解散から10年のブランクがあったが、ファンの支えでXジャパンを再結成し、「第2の人生」が始まった。
「僕には音楽しかありませんので、『灰になるまで』という思いでいます」。音楽に対する強い想いと信念が溢れた。(ケーシー谷口)

Yoshiki Classical Special feat.
Tokyo Philharmonic Orchestra
■1月12日(木)・13日(金)7:30pm
■会場:Stern Auditorium - Carnegie Hall
 57th St. @7th Ave.
 www.carnegiehall.org
■$40〜 
www.yoshiki.net/classical.html



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