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よみタイムVol.87 4月18日発行号
連載:VOL.12
 

中東旅日記

NY在住ソーシャルワーカー 澤田 美希子


オンボロバス「ルアージュ」は市民の足
時刻表もなく、2分で出発が2時間に

【2006年チュニジアを訪ねて(二)】


奇妙な外観で知られるクサール・アウルード・ソルターン

【前回までのお話】パリ経由でチュニジアの首都チュニスに。数日後、夜行列車でタタウィンという町を訪れ、ベルベル民族の廃虚を見学した。

 翌日はタタウィンから南東に22キロほど行った、クサール・アウルード・ソルターンという所へ行く。クサールとはベルベル民族独特の要塞化された穀物倉である。クサールはいくつもの丸天井の細長い貯蔵室からなり、貯蔵室内部は低温。乾燥した気候も手伝って、穀物を長いこと良い状態で保存することができたそうだ。
 タタウィン周辺には多くのクサールが残っており、その少々奇妙な外観が買われてか、中には「スターウォーズ」の撮影に使用されものもあるそうだ。クサール・アウルード・ソルターンへはルアージュといって「市民の足」となっている乗合タクシーで向かう。
 ルアージュは、チュニジアの至るところを網羅しており、大抵12~15人乗りのマイクロバスで、各々行き先とルートが決まっているが、時刻表はなく、車内がほぼ満席になるのを待って出発するのが常である。
 このため乗客が集まらない場合は、車内が満席になって出発できるまで延々と待ち続けるとことも珍しくない。時間がない人にはあまりお勧めできないが、現地人の視点からチュニジアを見て、現地人と触れ合うことができる意味では、ルアージュに勝る交通手段は他にないだろう。
 幸いクサール・アウルード・ソルターンへ向かうルアージュはすぐに満席となり出発。少々おんぼろのルアージュのせいか22キロの道のりに40分強かかった。
 クサールは、大切な穀物を敵や盗人から守るため、山の背や小高い丘の上に建てられていることが多い。クサール・アウルード・ソルターンも例外ではなく、辺り一面を見渡すことのできる所に建っている。
 クサール以外、これといって見るものはなく、15分くらいでさっと見学して、乗ってきた同じルアージュにまた乗ってタタウィンへ戻ることもできたが、せっかくなのでゆっくりと過ごすことにした。
 観光を楽しんだ後、タタウィンに戻ろうとルアージュを待てどもなかなかやって来ない。待っている間、現地のおじさんが丁度収穫期のナツメヤシの実をおすそ分けしてくれる。
 「2分くらい待てばすぐ来るよ」と言うおじさんの言葉を信じて待った挙げ句、ここでは2分が2時間になりうることを知った。  (つづく)