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 よみタイムについて
 
 
よみタイムVol.207 2013年6月7日号掲載

「アンナ」アクリル画、12x12インチ、2012
画家/イラストレーター
ココ マスダ さん
「大西プロジェクト成功させたい」
イラストとファインアートの違い

 滞米年数は34年におよぶ。ココ マスダ(本名・益田みどり)の名前で、長年にわたり「フォーチュン」「ニューズウイーク」「タイム」「ニューヨークタイムズ」など、アメリカを代表するニュースメディアにイラストを提供してきた。とりわけ92年には、わずか2週間の間に「USニュース&ワールドリポート」、「タイム」、「ニューズウイーク」米3大ニュース誌の表紙を立て続けに担当、第一線のイラストレーターとして大活躍してきた。このほか、北京の国際女性会議、米国裁判所、教育プログラム、国連女性会議などのポスターを始め、「スターバックス・コーヒー」などのコマーシャルポスターまで、その守備範囲の広い活躍ぶりは枚挙にいとまがない。

 その益田さんが、キューレーションを手がけた「ファインアート・オブ・イラストレーターズ」展が、自らマネージング・ディレクターを務める「大西プロジェクト(代表・大西なな氏)」の企画としてチェルシーの大西ギャラリーで開催されている。会期は5月23日から6月8日まで。益田さんの生き方を大きく変えることにもなった視点が企画の中心に据えられている。

 「イラストと絵画との違いは何だと思いますか?」と益田さん。 
 「イラストは注文に応じて描くものでクライアントから直せと言われれば描き直さねばなりません。同時に、仕事を仕上げたら収入がどれくらいになるかが判っています。だけど絵画の場合は、自分が描きたいものだけを描く。売れるかどうかの保障はありませんけど」
 今回手がけた絵画展は、ナンシー・スタール、ロバート・クロフォード、デイビッド・ゴールディンなど当代一流のイラストレーター5人によるファインアート展だ。つまり注文なしで描かれた人気イラストレーターの作品展であり、ここに益田さんのメッセージが込められている。

 今でも、ニューヨークタイムズ紙などにイラストを描いている益田さんだが、数年前から注文量が減った。それまでの20年間は、息つくヒマもないほど数多くのイラストを手がけ、疲れがたまっていた。
 「収入のいい大きな仕事は相変わらず入るけど、段々仕事がつまらなくなっちゃって…」。
 描きたいものを自由に描きたい、という思いが募った。
 「今ではイラストの仕事は厳選してます。絵を描く時間を出来るだけ捻出したいから」と話す。

 高校卒業後、芸大受験に失敗。浪人してでも再挑戦したい、と考えていたところ、アメリカ好きな父親が「私にひと言の相談もなく」アメリカ留学をセットアップしていた。
 初めはバーモント州の語学学校で寄宿舎生活を送り、その後、自力でリサーチしてニューヨークのパーソンズに入学。卒業後はグラフィックの仕事に携わるが、やがてイラストレーターにシフトチェンジして大きなクライアントをいくつも抱える活躍が始まった。

 いまは絵描きとしての時間がイラストレーターの時間よりも多い。
 「イラストと絵画では、私の場合、スタイルがまるで違うんです。イラストを描く時は全部頭で描く。人物もフラット。ところが絵を描く時は芸大受験の頃に身につけたデッサン力を使って全く違った表現になります」。
 現在、12歳になる一人娘の杏奈(アンナ)ちゃんのお母さんでもある益田さん。杏奈ちゃんが小学校2年生の時、クラスの子どもたちの肖像画を連作として描いた。これが評判となり、いまも肖像画を頼まれては描いている。益田さんの肖像画の特徴は人間味溢れる豊かな笑顔の一瞬を切り取ったものでどれも強く明るい。
 一方、イラストから絵画にウエイトを移したため収入も減った。しかし娘はまだ12歳。親としての先はまだ長い。仕事を探している益田さんに大西プロジェクトの仕事が舞い込んだ。やりがいのある仕事だと感じた。
 「大西プロジェクト」はギャラリービジネスとは別に、アートフェアの場外版とも言える運営を目指している。ディーラー同士のネットワークを活用して、海外進出を目論む優秀な日本の現代アート作家を世界の舞台に出すというのがミッションだ。
 「いまは大西プロジェクトを第一優先に置いてます。プロジェクトからスターが誕生するのがとても待ち遠しいんです」

 高校を卒業してからアメリカ社会にどっぷり浸かってきた益田さんだが、母親になってからは、日本人度が上昇した。きっかけは日本人のママ友だちができたことにもあるようだが、もともと武道好きの益田さんの、空手への情熱が背中を大きく押しているのだろう。現在は、極真空手NY支部の一員として激しい稽古に明け暮れている。
 「9月に初段審査を受けるんです。これまで黒帯というのはゴールだと思ってたけど、そこからが始まりなんだということが分かってきました。運よくパスしたら、これまでのココ マスダの人生から一段と日本人純度の高い、益田みどりに変われそう」と微笑んだ。
(塩田眞実)

■大西プロジェクト:www.OnishiProject.com
■ココ マスダ:www.CocoMasuda.com