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よみタイムVol.83 2008年2月22日発行号掲載
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現代アートの旗手
ツァイ・グオチャンの世界
[22日からグッケンハイム美術館で]
グッゲンハイム美術館では2月22日から5月28日まで、ツァイ・グオチャン(蔡國強Cai Guo-Qiang)の回顧展「I
want to believe」を開催する。今年8月の「北京オリンピック」の式典でもビジュアル・ディレクターを務める現代アートの旗手だ。今回の回顧展では80年代から最近までの、80点以上に及ぶ作品群がアメリカ、ヨーロッパ、アジアから集められ一堂に公開される。フロアを大胆に使用した大掛かりな回顧展は世界中から注目されている。
Inopportune: Stage One, 2004
Nine cars and sequenced multichannel light tubes
Dimensions variable
Seattle Art Museum, Gift of Robert M. Arnold, in honor of the 75th
Anniversary of the Seattle Art Museum, 2006
Exhibition copy installed at Solomon R. Guggenheim Museum, New
York, 2008
(C)2008 Cai Guo-Qiang, Photo by David Heald |
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An Arbitrary History: River, 2001 Installation incorporating
resin and bamboo riverbed, water, yak skin and wooden boats;
and works by the artist presented as different components
Dimensions variable Collection of the artist (riverbed and
boats), Various private and public collections (other components)
Installation view at the Musee d'Art Contemporain de Lyon,
2001 (C) Blaise Adilon |

Cry Dragon/Cry Wolf: The Ark of Genghis Khan, 1996 108 sheepskin
bags, wooden branches, paddles, rope, 3 Toyota engines, and
photocopies of various magazine covers and article clippings
Dimensions variable The Solomon R. Guggenheim Museum, New
York, USA, Purchased with funds contributed by the International
Director's Council and Executive Committee Members, 97.4523
Photo by Hiro Ihara, courtesy Solomon R. Guggenheim Foundation,
New York, USA |

Photo by Timothy Greenfield-Sanders |
9台の本物の車と点滅するライト
ツァイ・グオチャンは1957年中国福建省生まれ。上海ドラマ・インスティチュートで舞台芸術を学んだ。86年から95年にかけて日本で暮らし、95年からはニューヨーク市在住。火薬を使用したドローウィングなどを創作し作品をスケールの大きいものへと発展させていった。86年から95年にかけて日本に滞在し、90年には大阪府立現代美術センターで、92年にかわさきIBM市民文化ギャラリー、94年世田谷美術館などで個展を開き、95年には日本文化デザイン賞受賞、97年には第一回岐阜県織部賞を受賞するなど、日本での活躍は目を見張るほど目覚しい。
2005年4月に行われた平安神宮での「桓武天皇1200年祭」では、京都市役所の前に巨大なドラゴン模様をセットし、夜の暗がりの中で中国の強い酒に火をつけ、模様を炎で緋文字のように浮かび上がらせる壮大華麗なパフォーマンスを演じた。これなどは93年に中国で行った「万里の長城1万メートル延長プロジェクト」や台北ビエンナーレでの小さなロケットを一斉に発射する「ゴールデン・ミサイル」などのインスタレーションと同様に、焔、火薬、導火線を使った大規模な屋外プロジェクトを得意とするアーチストの真骨頂でもあった。
また漢方薬やドラゴン、ローラー・コースターやコンピューター、自動販売機などからもヒントを得て旺盛な制作活動を続けている。96年にはヒューゴ・ボス賞の最終選考に残り第48回ヴェニス・ビエンナーレ金獅子賞にも輝いた。またインターナショナル・キュレーター・アソシエーションのベスト・インスタレーションも獲得し、最近では昨年、第7回ヒロシマ賞にも選ばれた。
「爆発の力で美術館を満たす」と本人が述べているように本回顧展ではツァイ・グオチャンの代表的なコンセプト、強力な爆発を創るための火薬と火薬を使用したドローイングにフォーカスし、同美術館のフロア3階分のスペースをあててこれまでの傑作を展示する。特にグッゲンハイム美術館で96年に展示されてツァイ・グオチャンの知名度を世界的に不動のものとした「Cry
Dragon/Cry Wolf : The Ark of Genghis Khan (1996)」は同美術館の5階に展示される。
根幹のテーマともなっている中国文明の発明品「火薬」そして「爆発」などについて、ツァイ・グオチャンは86年に「人間は自ら存在すること自体に不快を感じると、火薬という暴力的な手段で外に発散し処理してきた。暴力がすべてを創造し、またすべてを破壊してきたことを私はよく知っている。火薬に集約される人間の暴力性が戦争を引き起こしてきた。芸術やスポーツは、人類の根源にある衝動を浄化する役割を担うもの」と語っている。
中国人というアイデンティティのせいか、彼のアートには大陸的とも言える、「クロスカルチャーによるコミュニケーションの表現」という試みが見られる。これは、火薬を使って、暴力的で破壊的な、非日常的現象を通して、見る者の感動を引き起こし、コミュニケーションを共有しようとする意図がある。また、88年に西武美術館で開催されたアメリカのクリスト、デ=マリアの「ライトニング・フィールド」などから影響を受けたといわれるアースワークを縦軸として、火と火薬による破壊と創造にアートの限界と可能性を体感、火薬を産んだ国のアーチストというアイデンティティを意識して、地から宇宙へ回帰する火とドラゴンなどをモチーフに取り上げたとも言われている。この天と地の間の距離感は、ツァイ・グオチャンをして風水や漢方薬、東洋医学にも目を向けさせる。「風水も東洋医学も、自然や素材の物質条件を充分に利用し、環境や身体の潜在エネルギーを活性化させるもの。本来、陰陽原理の哲学にとどまらないダイナミックな実践と表現力に満ちた方法論」と言い切り、「芸術活動を通じて表現したいのは、宇宙、地球、生命、文明の普遍性である」と述べている。
会場には、ツァイ・グオチャンの代表的な8作品も展示される。シアトル美術館2004年に発表された、9台の本物の車と点滅するライトを用いた「Inopportune:
Stage One (2004)」、いかだをモチーフにした「An Arbitrary History: River (2001)」、1999年に制作された「Venice
Rent Collection Courtyard」の新しいバージョン、「New York Rent Collection
Courtyard (2008)」や「Reflection:A Gift from Iwaki (2004)」などが圧巻だ。
ツァイ・グオチャン回顧展
「I want to believe」
2月22日(金)〜5月28日(水)
グッゲンハイム美術館
1071 Fifth Ave. NYC
Tel: 212-423-3500
www.guggenheimmuseum.org
※2月22日(金)には午後7時からアーチストとのトークショーがある。出席者:ツァイ・グオチャン、アレキサンドラ・マンロー、トーマス・クレンズ 終了後、アーチストによる著書へのサイン会もある。$10
($7メンバー、学生、シニア)
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