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よみタイムVol.87 2008年4月18日発行
号掲載

オフブロードウエーがおもしろい
多種多様のショー楽しめる


オフ・ブロードウエーはブロードウエーの華やかさはないが、そこでは演じることのできない人種問題などの社会をテーマにしたものや、新進アーティストの表現の場になっている。ここから堂々とブロードウエーに昇格していく作品も少なくない。今回の特集はそんなオフ・ブロードウエーに光をあててみた。(文・山添祐香子)

オフ・ブロードウェーとは、マンハッタンにある比較的小さい劇場で上演される演劇を指している。ブロードウェー街にあっても、劇場が小さければオフ・ブロードウェーと呼ばれている。目安としては100席から500席未満の劇場がオフ・ブロードウェーと呼ばれ、さらに小さい劇場で上演されるものはオフ・オフ・ブロードウェーと呼ばれる。ブロードウェーではミュージカルが多いのに対して、オフ・ブロードウェーではストレート・プレイ、パフォーマンス、1人芝居、ダンス、ミュージカルなど様々なジャンルの作品が上演されている。

ふたつの舞台
 アメリカの舞台は大きく2つの違いがある。営利団体(フォー・プロフィット)か、非営利団体(ノン・プロフィット)かの違いだ。(営利団体をコマーシャル・シアターという呼び方をすることもある)。
 ブロードウェーの主な作品は営利団体、つまり投資家が作品の売れ行きを予測して当たりそうな作品にお金を投資するもので、収入の約束されない作品は上演されにくく、上演される作品は保守的なものが多い。
 これに対しオフ・ブロードウェーは、政府や財団からの助成金、個人の寄付から資金が出されている非営利団体が多い。金銭的見返りを求めないため、比較的自由で、ジャンルの幅が広いのもそのせいである。
 ただし、話題になったり、新聞で取り上げられたりしないと助成金が打ち切られてしまうので、必死さはどちらも同じだ。
 営利団体のショーには、まずプロデューサーがおり、プロデューサーが選んできた「これは売れる」と判断された作品に対して投資家を募る。まさにミュージカル「プロデューサーズ」の世界である。
 これに対し、非営利団体は、アーティスティック・ディレクターというものがいる。アーティスティック・ディレクターが、どのような公演を行うのかを決断し、それに基づいて作品が公演される。また、オフ・ブロードウェークラスの団体になると、劇場を自分たちで保有しているところが多く、劇場の名前が、そのままグループ名にもなっている。
 たとえば「コーラス・ライン」を生み出したパブリック・シアターは、パブリック・シアターという劇場であり、オスカー・ユーシッツというアーティスティック・ディレクターが率いるグループでもある。そのため、劇場名=グループ名を見れば、そのグループがどんな作品を上演しているか、の予想が付く。

始まりは60年代
 オフ・ブロードウェーの始まりは 1960年ごろ。営利性が高く、保守的なブロードウェーに対して、当時新進のアーティストたちが、タイムズ・スクエアから離れ、一度公演されたまま忘れ去られた名作戯曲の再演や、当時タブーとされていた人種問題、ゲイ問題、ドラッグ問題などを取り上げた作品を公演しようという動きから始まった。
 その中で取り上げられた代表的な劇作家の中には「欲望という名の列車」で有名なテネシー・ウィリアムズ、「ああ、荒野!」のユージーン・オニール、「バージニア・ウルフなんか怖くない」で名をなしたエドワード・オルビー、「ゴドーを待ちながら」のサミュエル・ベケットなどがある。
 オフ・ブロードウェーはまた、新進劇作家の発展を助け「アンタッチャブル」を書いたデイビッド・マメットや 日本でも大人気だった「ラブ・レターズ」の作家A・R.ガーニーなどが生まれた。
 また、ミュージカルでも「ヘアー」「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」などが誕生した。
 このように新進アーティストたちが始めたオフ・ブロードウェー活動の中で出来て来たグループの一つが、先にも述べたパブリック・シアターであり、そのほか、マンハッタン・シアター・クラブやプレイライト・ホライゾンなどがある。

15年のロングラン「ブルーマン」
 今でもロングラン上演されているものには15年続いている「ブルーマン(Blue Man Show)」や「ストンプ(Stomp)」がある。
 最高ロングランは「ファンタスティックス」で1960年から2002年まで実に42年間公演していた。果たしてこの記録を破るショーは出てくるのか。
 オフ・ブロードウェーからオンに進出したミュージカルの代表的な例としては「コーラスライン」「レント」「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」、最近では「ユーリンタウン」「スプリング・アウェイクニング」などが挙げられる。

オビー賞
 オビー賞はオフ・ブロードウエーの「トニー賞」にあたる。Off-Broadway Theater Awardsの略であり、その年にニューヨークで上演された優れた舞台に与えられる賞だ。「ザ・ヴィレッジ・ボイス」誌が主催していて、アメリカにおける演劇に対する賞としては、トニー賞に次いで権威がある。
 オビー賞は1956年から「ザ・ヴィレッジ・ボイス」の舞台批評家ジェリー・タルマーの監修の元に始まった。当初はオフ・ブロードウェーのみを対象としていたが、64年からはオフ・オフ・ブロードウェーも含むようになった。カテゴリーとしては、演技・舞台監督・舞台美術・功労の各賞がある。



Blueman Group
ブルーマン
www.blueman.com 
Astor Place Theatre:434 Lafayette Street
チケット:チケットマスター:www.ticketmaster.com

 87年ニューヨークの路上で「ブルーマン・グループ」としてストリート・パフォーマンスを始めたのがきっかけ。3人のメンバーが顔を真っ青に塗り、リズム(ビート)にのりながら一言もしゃべらないそのパフォーマンス。言葉を超え、クールでコミカルなコミュニケーション手段を用いて不動の人気を誇る。舞台装置はどこか工場の廃屋を喚起させ、無数のチューブが剥き出しになっている。現在では米国だけでなく、日本など世界中を回っている。


Stomp
ストンプ
www.stomponline.com 
Orpheum Theatre:126 Second Ave.
チケット:チケットマスター www.ticketmaster.com

 日本語で表現する「ドスン、バタン」と言う言葉が英語ではストンプ。91年イギリスで大道芸人をしていた2人組みが創作したパフォーマンス。94年ニューヨークのオフ・ブロードウェーで公開以来人気を集めている。このパフォーマンスは日常生活で触れている音とムーブメントでこれまでのブロードウェイには無い全く新しいエンターテイメントを楽しませてくれる。


2000 Tim Schultheis
ネイキッド・ボーイズ・シンギング!
www.nakedboyssinging.com 
New World Stages:340 West 50th Street
チケット:ベスト・オブ・オフ・ブロードウェイ www.bestofoffbroadway.com 

 8人の男性キャストが全裸で歌って踊る。とくに「あらすじ」ないが、キャストは全員ゲイで、劇中の内容も全てゲイネタばかり。スポーツジムで鍛えながらタイプの男性を物色する爆笑ネタや、ストレートの人に恋をして悩んでしまうといったちょっぴり切ないネタなどで人気がある。


DrunkenCity
Playwrights Horizons
プレイライト・ホライゾン
www.playwrightshorizons.org 
416 West 42nd Street
チケット:チケット・セントラル www.ticketcentral.com 

 劇作家の育成を目的に作られたこのグループは、中堅の充実した劇作家の新作を多く上演している。そのために多くの有名劇作家がここから出ている。よく知られている作品「ドライビング・ミス・デイジー」「アイ・アム・マイ・オウン・ワイフ」。
公演中
The Drunken City

 婚約中の3人の女の1人がゆきずりのハンサムな男に心惹かれることから今まで信じていた世界が逆転していく。現代において刻々と変わる、愛と自己の価値観を見つめる。

New York Theatre Workshop
ニューヨーク・シアター・ワークショップ
www.nytw.org 
79 East Fourth Street
チケット:テレチャージ
www.telecharge.com 

 国際的のアーティストを強く支持し、問題的な作品も意欲的に上演する。いいアーティストから金銭問題の苦労を取り除き伸ばすという方針。日本人アーティストも多くサポートしており、作品もコメディーから問題作品まで多様性がある。よく知られている作品「レント」「ダーティー・ブロンド」。
公演中
The Sound and the Fury
(April Seventh, 1928)

 架空の街、ミシシッピー、ヨクナパタウファ州が舞台。人間の欲や、身勝手さ、人種問題が、南北戦争前は栄えていた名家の一家を壊していく。ばかばかしいコメディーや、奇抜なセットを駆使するエレベーター・リペアー・プロジェクトがニューヨーク・シアター・ワークショップで二年がかりで作り上げた作品。

59 E 59 Theaters
59イースト59シアターズ
www.59e59.org 
59 E. 59th Street
チケット:チケット・セントラル
www.ticketcentral.com

 一年を通していつも違うものを提供することをモットーに非営利の実力派劇団を招聘して公演している劇場コンプレックス。最近ではThe Play Companyプロデュース、坂手洋二作の「屋根裏」(The Attic)が上演された。
公演中
Rainbow Kiss 
by The Play Company

 出会った二人がいつもうまく行くとは限らない。ケイスはゆきずりに出会った女サザーに命を懸ける。一方サザーにとってケイスは夢の王子様にはほど遠いが、どうしても彼から逃げ切れない。一度のキスで始まった二人の関係はやがて血なまぐさいものになっていく。

The Public Theater
パブリック・シアター
www.publictheater.org 
425 Lafayette Street
チケット:www.publictheater.org

 毎夏セントラル・パークのシェイクスピア・フェスティバルを行うことで有名なThe Public Theaterは、オフ・ブロードウェイといえどもブロードウェイの品格を持っている。作品の質は非常に高く、あたりはずれが少ない。よく知られている作品「ジプシー」「ヘアー」。
公演中
The little Flower of
East Orange

 公演の詳しい内容は、オープンまで極秘にされている。ラビリンス・シアター・カンパニーとパブリック・シアターの共同プロデュース。マンハッタンの病院で繰り広げられる幽霊の物語り。

The Culture Project
カルチャー・プロジェクト
55 Mercer Street
チケット:シアター・マニア
www.Theatermania.com

 社会問題を取り扱う作品を中心に上演しているが、堅苦しくなく、ビジュアル的にも美しいものが多い、NYの若者に人気があり、日本を含むアジアの作品も積極的に取り入れている。よく知られている作品「アマジュバ」「マイ・トリップ・トウー・アルカイダ」。
公演中
The Cat
Who Went To Heaven

 エリザベス・コトワース原作の日本を題材にした子供用小説をパッペット・ミュージカルにして公演。絵描きの家にやってきた猫と絵描きの物語。貧乏絵描きのもとにある日寺の宗教画を描くという大きな仕事がやってきた。仏教の世界では猫は不吉なものとされ、描くことは許されないのだが…。


THE FOUR OF US 2008, Joan Marcus
Manhattan Theatre Club
マンハッタン・シアター・クラブ
www.mtc-nyc.org 
131 West 55th Street
チケット:ニューヨーク・シティーセンター
www.nycitycenter.org

 NYオフ・ブロードウェイ演劇シーンの老舗とも言えるグループの一つ。新進劇作家作品からミュージカルまで意欲的に取り組んでいる。よく知られている作品「ダウト」「プルーフ」。
公演中
The Four of Us

 名声とは何か?ベンの小説が始めて脚光を浴びた、友人のデイビッドは彼の成功を心から喜んでいるのか?夢が叶ったとき、友情は保てるのだろうか?それよりも何よりも、今日の昼食代は誰が持つのか?

Cherry Lane Theatre
チェリー・レーン・シアター
www.cherrylanetheatre.org 
38 Commerce Street
チケット:テレチャージ
www.telecharge.com 

 ドラマ性の高い作品、一人芝居などを多く公演する。話が難しく、理解しづらいものが多いが、英語に問題が無ければぜひ見ておきたい。最近はインターナショナル の作品にも力を入れている。よく知られている作品「ナンセンス」「動物園物語」。
公演中
The American Dream and
The Sand Box

 エドワード・オルビー自らが演出を手がける、オルビーの短編二作。オルビー独特の不条理なゆがみが、品行方正な人間の隠れた真実を浮き立たせていく。

Mint Theater Company
ミント・シアター・カンパニー
www.minttheater.org 
311 West 43rd Street
チケット:ミントシアター
www.minttheater.org

 過去の名作に現在の視点を含ませ再演することを目的にしている。実力派、演技派の役者と現在によみがえる過去の名作の本格芝居が楽しめ、ニューヨーク・タイムス紙などで多く絶賛されている。よく知られている作品「ジョン・ファーガソン」「アンクル・トムの小屋」。
公演中
The Fifth Column

 アーネスト・ヘミングウェイが1937年に書いた戯曲のリバイバル。時はスペイン戦争中、工作員フィリップ・ローリングは潜入工作中にドロシー・ブリッジズと恋に落ちる。戦争と愛に翻弄されるフィリップの行末は?


ALMOST AN EVENIG Doug Hamilton
Atlantic Theatre Company
アトランティック・シアター・カンパニー
www.atlantictheater.org
336 West 20th St
「Almost an Evening」はアトランティック・シアター外の劇場で公演中
45 Bleecker Street
チケット:
www.almostanevening.com
 デイビッド・マメット、ウィ
リアム・マーシーにより設立されたこのグループは、多数のトニー賞を受賞している。関係者、役者陣も、有名人が多く、スター・ウオーズのRose Byrneなどもここで公演している。よく知られている作品「サイダー・ハウス・ルール」「スプリング・アウェイクニング」。
公演中
Almost an Evening

 前回公演でプレビュー前にチケットが売切れてしまった人気作の再演。舞台に置かれた4つのベンチで繰り広げられる一人のイギリス諜報員の自己への旅、“待つ”事の中で彼が見つけるものは…?

代表的で挑戦的なオフ・ブロードウェー公演中の劇場(一部)。
Playwrights Horizons
Manhattan Theatre Club
Cherry Lane Theatre
Mint Theater Company
Atlantic Theatre Company 
New York Theatre Workshop 
59E59Theaters
The Public Theater
The Culture Project
Players Theater
The Ensemble Theatre