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 よみタイムについて
 

よみタイムVol.66 2007年6月1日発行
号掲載

ミュージアム・マイル・フェスティバル
9つの美術館が無料で
6月12日午後6時〜9時まで
セントラルパークの東側、82丁目から105丁目の間はたくさんの美術館、博物館が立ち並び、通称「ミュージアムマイル」と呼ばれている。毎年、6月第2火曜日の夕方に、これらの美術館が無料開放される「ミュージアム・マイル・フェスティバル」があり、9つの美術館を自由に訪れることが出来る。加えて、5番街が車両通行止めになり、路上で音楽の演奏やパフォーマンス、子どものためのフェイスペインティングやチョークでお絵かきができるなど、たくさんのイベントがある。初夏の夕暮れ時、気楽にアートを楽しめる絶好のイベントだ。(文:森田有紀)

はじまり

 1970年代、財政危機下にあったニューヨーク市は、アートの支援を高める為、そして新しい入場客を増やす為に、5thアヴェニュー沿いに立ち並ぶ美術館、博物館の協力を得て、市民に一日だけ全館無料で開放するイベントを行った。
 1978年の6月に行われた第一回目のフェスティバルは大成功に終わった。ニューヨークが誇る優れたアートを多くの市民、観光客に身近に感じさせただけではなく、イースト・ハーレムや高級住宅街のアッパー・イーストサイドなど近所の住民から、ダウンタウンのヴィレッジ、ブロンクス、クイーンズ、ブルックリンなどからも人々が集まり、ニューヨークシティーがひとつになる一夜となった。また、フェスティバルは誰でも気軽に美術鑑賞ができるイベントとして、その後も各美術館の入場者数を増やし、市の活性化に大いに貢献している。
 現在ではニューヨーク市の住民のみならず、毎年世界中から人々が訪れるビッグイベントとなり、この成功を賞賛して、ニューヨーク市がこの5thアヴェニュー沿い、82丁目から105丁目までの約1マイル(1.6km)を、「ミュージアム・マイル」と命名した。

参加ミュージアム
メトロポリタン美術館
The Metropolitan Museum of Art
82nd Street
(212)535-7710

www.metmuseum.org
ロンドンの「大英博物館」、サンクトペテルブルクの「エルミタージュ」、パリの「ルーブル」と並ぶ世界4大ミュージアムのひとつ。常設展示は約20部門、特別展示は常に15展ほど開催されている。


ギリシャ・ローマ館

屋上のフランク・ステラ彫刻
[開催中の主な展示]

ギリシャ・ローマ館
New Greek and Roman Art

長い間改装工事が行われていたギリシャ・ローマ館が4月から開館し、現在は特別展以上に人気な場所となっている。メトロポリタン美術館の歴史上最初に購入されたと言われている石棺や、保存状態に優れている壁画や二輪馬車は必見。

ポワレ:ザ・キング・オブ・ファッション
Poiret: The King of Fashion

近代ファッションの王様、女性服の革命者と言われ、ウエストを締め付けていたコルセットをなくした服を作ったデザイナー、ポール・ポワレの回顧展。衣装はもちろん、バックドロップのカーテンに描かれた背景や模様が凝っている。

屋上のフランク・ステラ彫刻
Frank Stella on the Roof

アメリカ出身の画家、彫刻家フランク・ステラの彫刻が5階屋上ガーデンで見ることができる。また1階でも彼のペインティングや建築作品が紹介されているFrank Stella: Painting into Architectureが開催されている。

ゲーテ・インスティトゥート・ドイツ文化センター
Goethe-Institut/German Cultural Center
83rd Street
(212)439-8700
www.goethe.de/newyork
世界中に支部を持ち、ドイツ語の教育と普及、ドイツ文化紹介の為の活動を行っている国際文化交流機関。ドイツ系アーティストの特別展示を開催すると共に、ドイツの作家、ドイツに関する資料を集めた大きな図書館を持つ。

[開催中の主な展示]

トーマス・ドボルザーク写真展
M*A*S*H by Thomas Dworzak

ドイツ出身の写真家トーマス・ドボルザークの写真展。ドボルサークは世界に名高い報道写真家の集団、マグナム・フォトの正会員であり、今年で60周年を迎えた集団のMAGNUM Festival '07の一環として、彼の作品―主に2005年にイラクへ行き、現地の医療チームに付き添いながら撮影されたものが紹介されている。

ノイエ・ギャラリー
Neue Galerie New York
86th Street
(212) 628-6200
www.neuegalerie.org
20世紀初期ドイツ、オーストリア美術の専門美術館。 現在、エスティ・ローダーの息子ロナルド・ローダーが管理するこのビルは、コーネリアス・ヴァンダービルド夫人が所有していた由諸ある建物。グスタフ・クリムトの「アデーレ・ブロッホ・バウワーの肖像1」は、一度は見ておきたい作品。

[開催中の主な展示]

ヴァン・ゴッホと表現主義者
Van Gough and Expressionism

オランダ画家ヴァン・ゴッホと、彼の死後影響を受けたドイツ表現主義者の作品を同時に公開する。ゴッホの肖像画や風景画のみならず、シーレー、カンディンスキー、ココシュカ、ヘッケルなどの名作約80点が並んでいる。

グッゲンハイム美術館
Solomon R. Guggenheim Museum
89th Street
(212) 423-3500
www.guggenheim.org
現在は改装中だが、渦巻状の建物が目印。フランク・ロイド・ライトの設計。現代美術が豊富で、なかでもカンディンスキーのコレクションは世界最大。内部は中央が吹き抜けとなっていて、エレベーターで最上階(第6ランプ)に昇って特別展をぐるぐる回りながら見れば、楽しく疲れずに見ることができる。

[開催中の主な展示]

イタリア分割主義と新印象派
Divisionism/Neo-Impressionism: Arcadia and Anarchy 

19世紀に発展したイタリア分割主義に焦点を当て、代表画家セガティーニ、モルベッロ、ヴォルペードらの作品と共に、新印象派の巨匠、スーラやシニャック、ピサロなど馴染み深い絵画約40点がずらりと並び、イタリア分割主義とフランス印象派のつながりを紹介する。

シェイプス・オブ・スペース
The Shapes of Space

「空間」に焦点を当て、グッゲンハイム美術館の所蔵品の中から選ばれた作品を集めた特別展示。絵画、彫刻、立体、映像インスタレーションなどさまざまな作品が並ぶ。

国立デザイン・アカデミー美術館
National Academy Museum and School of Fine Arts
90th Street
(212) 369-4880
www.nationalacademy.org
アメリカ美術の教育と展示を目的に設立した協会により運営されている美術館。絵画や彫刻作品など、19〜20世紀にかけてのアメリカ美術を中心に、約5000点を所蔵している。

[開催中の主な展示]

第182回アメリカ現代美術展
182nd Annual Exhibition on Contemporary American Art

絵画、版画、彫刻などアカデミーの会員約200名の作品が一挙に公開されている。風景画から静物画など、スタイルも抽象派から写実派までさまざま。現代のアメリカ美術を知ることができる。

クーパーヒューイット、国立デザイン美術館、スミソニアン インスティテュート
Cooper-Hewitt, National Design Museum, Smithsonian Institution
91st Street
(212)849-8400
www.cooperhewitt.org
スミソニアン協会による、装飾、デザイン専門の美術館。建物は鉄銅王アンドリュー・カーネギーの旧邸宅で、大きな中庭がとても素敵。厳かな雰囲気の造りに近代的な作品が飾られているユニークな空間が特徴。

[開催中の主な展示]

デザイン・ライフ・ナウ2006
Design Life Now 2006

3年ごとに行われるデザインのトリエンナーレ展では、アメリカで最も革新的で影響力のあるデザイナーの作品が一挙に並列される。作品といっても陶磁器や家庭用品などから洋服、時計、靴、建築の設計図、ポスター、ゲーム、ロボットなど幅広く取り扱われているとともに、私たちに身近なものがたくさんあり、デザイン性、機能性に優れたものに囲まれていることを改めて実感するだろう。

ユダヤ美術館
The Jewish Museum
92nd Street
(212)423-3200
www.thejewishmuseum.org
ユダヤの宗教、文化や歴史に関する作品や資料が集められている博物館。常設展示(4階、3階)と特別展(2階、1階)にわけられている。常設展示をまわる場合は、4階から見ていくとなだらかなスロープを使って3階に進むことができる。古代イスラエル時代の芸術品やユダヤ教の祭事の聖具、礼拝所(シナゴーグ)の一部、ホロコースト関連の展示、絵画、写真など幅広い資料や美術品からユダヤ系の文化について学ぶことができる。

[開催中の主な展示]

ルイーズ・ニーヴェルソン彫刻展
The Sculpture of Louise Nevelson:Constructing a Legend

木製などの廃材を寄せ集め、それらを箱状に組み立て黒や白、金など一色で塗装した立体作品で有名な女性彫刻家ルイーズ・ニーヴェルソンの回顧展。正面玄関奥1階にて開催中。

バリオ美術館
El Museo del Barrio
105th Street
(212) 831-7272
www.elmuseo.org
メキシコやプエルトリコなどのラテンアメリカに関する文化やアートを中心とした美術館。ラテン系コミュニティーによって作られた美術館であり、建物の半分はチャータースクール(特別認可学校)となっている。美術館の向かいにはセントラル・パーク内の西洋式庭園があって、こちらもお勧め。

[開催中の主な展示]

ザ・ディサピアード
The Disappeared (Los Desaparecidos)

1950年代から80年代の南アメリカで、軍部が政権を握る状況で多くの市民が投獄、処刑、誘拐された事実をテーマに、南米の現代アーティスト14名の作品を展示している。ペインティング、版画、立体作品、映像などあらゆる手法のアートが紹介されており、P.S.1のような実験的アートの雰囲気が漂う。

ニューヨーク市立博物館
Museum of the City of New York
104th Street
(212)534-1672
www.mcny.org
1600年代の植民地時代から現在までのニューヨークの歴史博物館。特別展自体の規模は大きくないが、貿易についてニューヨークの輸入歴史や船の模型が紹介されている「TRADE」、17世紀〜20世紀までのさまざまな家の内装を再現した部屋の展示「New York Interiors」、ブロードウェイの歴史がわかる「Broadway」、摩天楼の建築作業の写真、昔の消防車など、こどもも退屈しない展示がたくさん。ローカルの小学校も遠足に来るなど、教育の場としてもよく使われている。5階には大富豪ロックフェラーの寝室やドレスルームが再現されていて、ここを見るだけでも寄る価値あり。

[開催中の主な展示]

トイ・ストーリーズ
Toy Stories

ドールハウスや18世紀のテディベア、キューピーちゃんなどが並列されていて、こどものみならず、懐かしいおもちゃが好きな人にはたまらない展示。