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 よみタイムについて
 

よみタイムVol.74 2007年10月5日発行
号掲載

本を読もう

最近、日本人の読書離れが進んでいるという。携帯、インターネットなどの普及で読書に時間を費やせないのが現状のようだ。でも、今は秋の夜長、読書の秋のスタートだ。話題の新刊も続々と入荷、書店には、おもしろそうな本が所狭しと並べられている。10月29日から11月9日が「読書週間」。今回の特集は「本を読もう」で書店のベストセラー、「本と私」、本紙の推薦する10册を一挙掲載!

愛その他の悪霊について
ガブリエル・ガルシア=マルケス/著 旦敬介/訳
新潮社

1902年度ノーベル文学賞を受賞した世界的に有名なコロンビアの作家ガブリエル・ガルシア=マルケス。2006年より全ての小説作品を新版発行・復刊する『ガルシア・マルケス全小説』のシリーズの発行が始まった。
 8世紀半ばに当時スペイン王国領だったコロンビアの、城壁に囲まれた町で、12月の最初の日曜日、12歳になる侯爵のひとり娘シエルバ・マリアは、市場で額に白い斑点のある灰色の犬に咬まれた。背丈よりも長い髪を持つ彼女には悪魔憑きの兆候が現れ、やがて狂乱していく。そして悪魔祓いの命を受けてやってきた青年紳士と激しく惹かれ合うが…。生きることへの苦悩や孤独を独特のタッチで描き、読者を未知の神秘的な世界へ誘う。

あなたの呼吸が止まるまで
島本理生/著
新潮社

2005年の『ナラタージュ』以来、2年ぶりとなる島本理生の長編小説。12歳の野宮朔は、舞踏家の父と二人暮らしで将来の夢は作家になること。ちょっと変わった父の仲間たちとの交流を通して、面倒な級友達に囲まれた学校生活を送りながら、少しずつ成長していく。そんな彼女を襲った、信じていた大人からの突然の暴力。やがて少女は復讐を決意する。
 著者曰く「この作品を書くことは、小説が好きだ、小説を書きたい、と強く思い始めたころの自分に戻っていく作業でもあり、原点に立ち返ったと思う」。現代日本の若手女性作家を代表する、島本理生の集大成、渾身の最新作。

「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55
古市幸雄:著
マガジンハウス

継続は力なり―誰もが知っていることだけど、それがなかなか難しい。夢や目標が明確に見えている人も、将来のことが全くわからず何をしていいかわからない人も必読の「大人の勉強法」。著者は「社会人になってからどれだけ勉強するかが、その人の将来を大きく左右」するとしている。精神論を説くのではなく、あくまで実践的な勉強のテクニックを指南。例えば、テレビを毎日2時間見ると、一年間で2ヶ月分を無駄にする、三日坊主も50回繰り返せば、150日分の勉強になる、30分勉強したら15分休憩の1セットが基本、勉強空間にとってイスや照明は重要だから思い切って投資せよ、など実用的な技術が満載だ。
 様々な勉強法の本が溢れる中、本書がそれらと一線を画しているのは元々勉強の習慣が身についていない人の為のものであるということ。自己投資の重要性や勉強に対する心構えから、勉強効率アップの為の食事・睡眠まで、MBAを取得して現在の勝利を勝ち取った著者のサクセス・ストーリー。

千年の祈り
イーユン・リー/著 
新潮社

フランク・オコナー国際短篇賞、PEN/ヘミングウェイ賞を受賞した、全米で話題の北京出身の新人イーユン・リーのデビュー短編集。
 林ばあさんはまだ51歳なのに「ばあさん」と呼ばれ、6歳の少年に初恋のような感情を抱く『あまりもの』。
 いとこ同士で結婚して知的障害のある娘を持つ夫婦。苦労した10年の歳月が過ぎた後、夫がまた子供が欲しいと言って長男が生まれるが、次第に夫婦の関係が悪化していく『黄昏』。
 離婚した娘が心配で中国から中西部へやってきた父。しかし娘は父に心を開かない。父は公園で知り合ったイラン人の老夫婦に娘に対する思いを吐露。言葉は通じないが心は通っていく二人の交流を描く、『千年の祈り』。
 全編に共通するのは登場人物が孤独を内に抱いていること。独特のスタイルで中国とアメリカを舞台に人生の黄昏や悲しみをささやかに紡ぐ物語。

アサッテの人
諏訪哲史/著
講談社

第137回芥川賞と第50回群像新人賞を同時受賞した作品。この二つの賞の同時受賞は村上龍以来、30年ぶりであり、しかもこれがデビュー作という怒涛の新人だ。
 少し吃る叔父さん、たまに突然「ポンパ」と奇声を発する。叔父さんは結婚し、新婚生活はとても円満に見えた。しかし叔父さんの奥さんは事故で亡くなってしまい、叔父さんは一人でアパートに引きこもり、やがては失踪してしまう。私は残されたアパートに叔父さんの荷物を取りに行った際、叔父さんの日記を3冊発見する。私はそれを元に叔父さんをモデルに小説を書き始める。叔父さんの「アサッテ」性の謎を解明しようと悪戦苦闘しながら小説を書き上げようとするが、それが一筋縄ではいかない。
 謎の言葉を口走る叔父さんをコミカルに描き、著者は言葉に対する思いを鮮明に表している。物語のテンポも軽やかで、読者をグイグイ引っ張る緊張感がある。退職後2年間家に引きこもった後完成に至った本作品。「驚異の新人登場」と謳われているだけに一読の価値あり。

テロと救済の原理主義
小川忠/著
新潮社

2001年の「9・11事件」以降、世界の多くの人々がイスラム原理主義に対して非常にネガティブなイメージを持っていることは明らかである。しかし果たして原理主義とはイスラム教のような一神教世界固有のものと決めつけてしまっていいのだろうか。著者は「原理主義はイスラム社会のものではない。仏教のような多神教世界にだって、宗教と暴力が結びついた過去がある」と語る。イスラム社会にもリベラル勢力は存在し、仏教社会にも暴力を肯定する概念は発生した。なぜ同じ一つの教義から「テロ」と「救済」という形で対極をなすものが生まれるのか。
 イスラム教やその信徒に対する一方的な思い込み、歪んだ理解に疑問を抱く筆者が掘り下げた渾身の一球。愛と憎しみの悪循環により派生する宗教対立の根源を追及する。

いつまでもデブと思うなよ
岡田斗司夫/著
新潮社

1年で50キロの減量に成功した著者の究極の技術と思考法。週に1キロのペースで減量していった著者によるとダイエットとは、「楽しく知的な行為」であり「ロー・リスク、ハイ・リターンの最高の投資」である。
 著者が提唱する『レコーディング・ダイエット』とは意識改革のようなもので、必要なのはメモ帳一冊。「毎回の食事の中で、どれだけのカロリーの物をどれだけ食べたかを逐一記録し、自分の一日の総摂取カロリー量を確認する」という簡単なもので、この行為を継続することにより『無意識に摂っていた間食などの食材』を自覚し、肥満を防ぐように自ら意識する。持続が難しそうな運動もする必要はなく、とってもシンプルなダイエット法だ。

やってられない月曜日
柴田よしき/著
新潮社

主人公が曜日ごとに体験したトラブルを描く連作短編集。28歳の高遠寧々は遠い親戚のコネで入社した大手出版社経理部勤務。自分の外見にコンプレックスを抱きつつも、彼氏なんていらないと気の合う同僚と楽しく日々を送っている。趣味はミニサイズの住宅模型を作ること。終業後どこへも行かずに自宅に帰り自分の趣味に熱中する。人からどう見られようと好きなものは好き、と言い張る寧々の姿勢はとても前向きだ。しかしこのままこの会社に定年までいるのかなと少し疑問を抱き、コネ入社だということで居心地の悪さも感じる。
 高級下着を盗まれてしまう「誰にもないしょの火曜日」、同僚の弥々が社内イジメに腹を立てる「甘くてしょっぱい木曜日」、弥々が社内恋愛を隠していたことに腹を立てる「命かけます、週末です」など会社内で起こる様々なドラマが軽快に描き出されている。
 社内の不倫、イジメ、リストラなどを通して寧々の吐き出す「やってられない」は現実味を帯びていて、ちょっと頑固な寧々にも好感が持てる。会社でたくましく生きる女性が共感出来るワーキング・ガール・ストーリー。

思春期をめぐる冒険−心理療法と村上春樹の世界
岩宮恵子/著
新潮社

以前、村上春樹は彼にとって小説を書くということは、「自己治療的な行為である」と述べたことがある。彼曰く「自分の中にどのようなメッセージがあるのかを探し出すために小説を書いているような気がする」。作家が自分の内側に深く入り込み、その中でメッセージを探し出し、それを物語としてつなぎ合わせていく過程と、 心理療法において治療者との関係に支えられた相談者が自分の内側に潜んでいる自分自身の物語を見出し、その物語を生きていくこととは、非常に似ている。
 著者は心理療法の事例を挙げながら、村上春樹の小説を分析する。不登校の娘の母親や職を失った人、登校拒否、リストカット、援助交際、など様々な悩みを抱えている人にスポットをあて実際の心理療法の現場を紹介し、村上作品の主人公や思春期の少年少女、『羊をめぐる冒険』の羊男、『ノルウェイの森』の直子、『海辺のカフカ』のカフカなどを心理療法の立場から解読する。村上作品についての解読本は数多く出版されているが、心理療法の立場からの解読書は本書が初めてだ。
 実際に心理療法の中では多くの相談者が村上作品について言及するという。思春期の少年少女から絶大な支持を誇る彼の作品を通して、心理療法の本質に迫る。

ロック母
角田光代/著
講談社

初の芥川賞候補『ゆうべの神様』から川端康成文学賞受賞の『ロック母』を含む短編小説7作品を収録した15年にわたる角田光代の代表作品集。
 題名にもなっている『ロック母』は著者38歳時の角田ワールドが凝縮された最高傑作。未婚のまま妊娠した私は10年ぶりに瀬戸内海のとある島にある実家に帰省した。ただ両親にちやほやしてもらいたかっただけなのに、私を待っていたものは、ちょっと変わっていた、母。父が毎朝蜜柑工場へ仕事に出かけた後、母は私が高校生の時に聴いていたニルヴァーナのCDを大音量で聞く。ニルヴァーナの歌詞の意味もわからず、知ろうともせずに、ただ大音量で聴く。島の閉塞感により、何もかもが嫌になってしまった母との交流を通して、故郷で臨月、出産を体験する私のおかしくもちょっとせつない物語。
私のオススメ
ニューヨーク総領事館
櫻井本篤大使

 米国三菱商事社長からニューヨーク総領事と初の民間大使として、昨年4月に着任、現在、ちょうど1年半が過ぎた。今までと同様に忙しい毎日が続いている。
 本を読む時間もたっぷりとは取れず「休日か就寝前の30分程度」だそうだ。
 長年、日米の経済関係に携わっていただけに、金融、財政、経済の分野の本が多くなる。
 最近、読んだ本は「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)、「証券投資の思想革命」(ピーター・L・バーンスタイン著)で、難しい内容の話だったが、分かりやすく書かれていたという。
 また「間違いだらけの公務員制度改革」(中野雅至著)では、一口に公務員制度改革といっても一筋縄ではゆかない、奥が深い問題であることが分かった。
 「白洲次郎 占領を背負った男」(北康利著)、「Native American in the Landof the SHOGUN」(Frederik L.Schodt著)などもおもしろく読んだ。


夏海 彩
『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』
伊藤比呂美(講談社)

 寝たきりの母、老いて衰弱した父を抱え、熊本とカリフォルニアを往復する日々。米国では夫が手術、大学生の娘は生きにくさに疲れ果て、自分も病に憑かれる。いくつもの「苦」を抱え込みながら、同年代の著者(1955年生まれ)は決して愚痴にはせず、暗くもせず、長篇詩に昇華させていく。老い、病、死を凝視め、夫婦、親子の関わりを時に醒めた目で、時に生々しく語る。
 語ること、かくことの力を思う。と言うは易しで、著者の内面では壮絶、凄惨な闘いがあった(ある)に違いないのだ。「だれもいない。誰とも話さない」「ほんとにつまんないんだ、一日中することがない」父親に特に共感したのは、「老い」と「障害」とがよく似ているからだろうか。「>どうしようもなくて、>何処にも出口が見えないときにじっとしていられなくて、>闇雲にどっかに駆け出したくて、ただ動くということだけで救われるということもあるんだなあって実感でした」。
 オグリさんからのメールの言葉がつき刺さる。本書を読んで「梁塵秘抄」と「般若心経」の「地蔵和賛」が読みたくなった。第15回萩原朔太郎賞受賞作品。

テレビジャパン
 谷村 啓

 この夏、一時帰国した際、東京の本屋で「チャーリーとの旅」という本を手にした。アメリカのノーベル賞作家、ジョン・スタインベックのアメリカ紀行の訳本だった。原作は、作者が旅をした2年後の1962年に発表された「Travels with Charley in search of America」だから、日本語訳はこれまでなかったのだろうか。
 愛犬チャーリー(雄のプードル)と一緒に、GMCトラックを改造したキャンピングカー「ロシナンテ号」で、アメリカを東海岸ロングアイランドから北回りで西海岸、南部と4か月の旅をした記録。スタインベック58歳の時だった。
 旅と犬とドライブが好きな私にとっては、この3つが揃っただけでなく、アメリカをもっと知りたい気持ちと旅に出た作者が今の私の年のころということも加わって、願ってもない読み物になった。
 そもそも、スタインベックがこの旅に出ることにしたのは、生来の旅好き。幾つになっても旅に出たい、旅をしたいという欲望が強かっただけでなく、アメリカ人作家として、アメリカそのものを余りに知らなさ過ぎるという罪の意識があったからだという。
 アメリカ再発見では、広い国土と自然、そこで静かに生活するあらゆる階層の人々、人種、親類、友人、その他出会った人達を通して、アメリカ人の暮らし、社会、考え方を淡々としかし暖かい目で書き留めている。また、旅の魅力については、「人が旅に出るのではなく、旅が人を連れ出すのだ。旅は結婚と同じようにコントロールしようと思ったら間違いだ」と本質を衝いている。
 還暦を過ぎた私だが、未だに、旅から戻ったその瞬間に、次の旅への熱い思いに駆られる始末だ。「遊子の心抑え難く」というあの興奮は、いくつになっても心地よいものだ。どうやら私には秋の一日、静かに本を読むよりは、旅に出たりスポーツをしたりと体を動かすほうが性に合っているようだ。積読(つんどく)癖の私に、グリーンスパンの分厚い本「The Age of Turbulence」の表紙の著者が「早く読んでくれ」と催促している今日このごろだ。

渡邊裕子
「父のトランク」
オルハン・パムク ノーベル賞受賞講演
(藤原書店)

 06年ノーベル文学賞を受賞したオルハン・パムクの講演、インタビュー録。表題「父のトランク」は、ノーベル賞受賞講演のタイトル。作家になりたかったけれど夢を実現することができなかった、年老いた父が、作家として成功した息子に、一つのトランクを託す。さりげなく、控えめに、きまり悪そうに。息子には中身が何だか判っている。父が若い頃から書き溜めたノートが詰まっているのだ。
 息子は、長い間このトランクに触れることすらできない。そこに詰まっているものを読むのが怖いからだ。まずは、「もし父の書いたものを気に入らなかったら」という恐れ。その反対に、「もし父が才能ある作家だったとしたら」というもっと深い恐れ。そして何よりも、「トランクの中から、自分の知る父とはまったく違う、別の男が現れるのではないか」という恐れだった。父のトランクへの思いは「世界の中心」から遠く離れた故郷イスタンブールへの思い、自分が書いたものを初めて父に見せた日のこと、更には「わたしは本物だろうか」という自問につながっていく。終盤、「私はなぜ書くのか」という問いに畳み掛けるように自答する下りは、淡々としながらも熱く、文学の力を信じるせつないような思いに溢れていて素晴らしい。

平田正子さん(OL)
 数年前、雑誌である有名女優が宮部みゆきの本がおもしろい、って書いてあるのを読んで、何気なしに本屋で時代物でしたが「初ものがたり」を読んだんです。すると、完全にハマりましたね。片っ端から彼女の本を読みました。
 中でも「模倣犯」「理由」「火車」などは一番印象に残っています。ただ最近は時間もなく、本は買っても読み切れないのが現状です。最新作の「楽園」もこれからじっくり読むつもりです。
 また、パトリシア・コーンウェルの「女性検死官シリーズ」は、読みごたえありますね。ケイ・スカーペッタという女性検死官を主人公とする作品ですが、1作目からのファンですでに10作ずっと読みつづけています。ケイを取り巻く登場人物たちが回を重ねるごとに年も重ね、変化していく姿に惹かれます。
 ジャンルは違いますが、浅田次郎の「天切り松 闇がたり」シリーズも大好きだし、「蒼穹の昴」は分厚い2册でしたが、時間が経つのを忘れて読んでしまいました。

本多 野洲子(会社員)
 以前は芥川賞や直木賞の受賞作は必ず読んでましたが、最近は気楽に読める本が多いですね。フィクションよりもハウツーものかな。話題の本の中から板東眞里子の「女性の品格」がいいですね。
 著者は内閣府初代男女共同参画局長、埼玉県副知事、女性初の総領事(オーストラリア・ブリスベン)などを歴任していて、豊富な経験から、女性が「品格」を身につけるためにするべきことを具体的にアドバイスしています。品格ある話し方や装い方、人とのつき合い方をするにはどうしたらいいかなど日常生活で参考になることが多いですね。
 また「松下幸之助 日本人が最も尊敬する経営者」別冊宝島編集部編もおもしろかった。「例えどんな人でも得手があるはず。簡単にクビにしないで、本人のいいところを見つけてあげる」なんて。その通りだと思います。仕事、プライベートでいろんな人とおつき合いしていますが、人間関係で嫌なことがあったら、この言葉を思い出しています。
 どんな嫌な人でもその人の良い面を見るようにし始めてから、誰とでも良好な関係が築けるようになりました。会社経営者や部下を多く抱えている人には特に読んで頂きたい一冊だと思います。

30代・テレビ局勤務女性
「博士の愛した数式」(小川洋子著)

 何年か前にベストセラーになり、去年は映画にもなっている本です。これが最近読んだ本の中で一番のヒットです。
 交通事故の後遺症で、記憶が80分しかもたない数学博士と、家政婦として雇われた女性とその息子の触れ合いを、数字と数式の魅力を折り込みながら描いた本です。
 悲しい話のはずなのですが、ボロボロ涙が流れるわけではなく、心のどこかがちょっとあたたまる不思議な本です。
 そのほかは、宮本輝の超駄作(!)や、途中でエンディングが読めてしまう桐野夏生のミステリー、浅田次郎のどうでもいいエッセイとかはいずれも外れ続きでした。しかし最近の宮本輝、どうしちゃったんでしょう。初期のころの本はとても良いのに。

20代主婦、マンハッタン在住
 癒し系の本を最近読んでいます。まず「心に花を咲かそう」(清水寺貫主、森清範)。今年春、日本に一時帰国したときに、京都の清水寺に行ったんですが、そのときに買った本で、すごく読みやすく、分りやすい本です。癒されて生きる30の教えがあったり、仏教のことがとても分りやすく書いてあって、ストレス社会で生きる人の心を優しく包む本だと思います。
 そのほか「幸運を呼び寄せる、朝の習慣」(佐藤伝)は、朝できる50の小さな習慣を教えてくれます。気軽に始められる内容なので、気がつくと見違えるほど、朝から生活のリズムがよくなったのには驚きました。
 例えば、朝の光で目が覚めると、生命力が高まり、その日は1日とても活発でいられるなどなど。毎日の生活に疲れている人たちにおすすめの2冊です。

30代、主婦、ブルックリン在住
 「ディープ・スロート」という、ウォーターゲート関連の翻訳本を読みました。1972年当時、ワシントンポストの新米記者で、ウォーターゲート事件をすっぱ抜いたボブ・ウッドワードが、最近出版した本です。33年前の事件を一人称で書き下ろしたドキュメンタリー。当時、ウォーターゲートをメディアにリークして、「ディープ・スロート」と呼ばれた謎の人物がいましたが、近年になってその人物、マーク・フェルトが名乗りを上げました。この本は、ウッドワードに地下駐車場で情報をリークしていたフェルトの話を中心に、今まで知られなかった事件の裏に隠された人間のドラマがつづられています。
 ウォーターゲート事件をおぼろげにしか知らない人でも、一気に読めるおもしろい本だし、逆にこの本を読むことで、事件に関する知識も深まると思います。

旭屋書店のオススメ映画原作本
サウスバウンド
角川書店 
◆10月 全国ロードショー

 父は元過激派だ。「税金など払わん、学校へなんか無理に行かなくていい。文句があるなら国民を辞めてやる」僕の迷惑なんて顧みず、ハチャメチャな人生を送る過激な親父。だけど決して嘘はつかず、表面的なだけの正義は振りかざさず、夢に向ってまっすぐ歩く。恥ずかしくてしょうがない人だけど、密かに僕は尊敬している。彼は、僕の自慢の親父なんだ!元過激派の父親が巻き起こす、波乱万丈な家族生活を笑いと涙を交えてユーモラスに描く。『空中ブランコ』『イン・ザ・プール』の奥田英朗の「サウスバウンド」、満を持して映画化!
出演:豊川悦司、天海祐希 ほか

ミッドナイトイーグル
◆文春文庫
◆11月23日より全国松竹系にて公開
 極寒の冬の北アルプス上空で、一機の米
軍の戦略爆撃機が忽然と姿を消す。通称“ミッドナイトイーグル”と呼ばれるその機体には、爆発すれば日本全土に深刻な被害をあたえるとされる特殊爆弾が搭載されていた。緊急招集され機体回収へと向った自衛隊の特殊部隊は、山中にて敵国工作員の激しい妨害を受ける。飛び交う銃弾、響き渡る怒号…戦後62年、日本のど真ん中で「戦争」が始まろうとしている。かつて戦場カメラマンとして世界中の戦場を駆けめぐった西崎優ニはその日、運悪く北アルプスで撮影をしている最中、兵士たちの戦いに巻き込まれる。この国を襲う危機を知り、西崎は「戦場」へとカメラを向けるが…。「特殊爆弾」の起爆まで、残り二時間半。かつてない危機に瀕した、この国の運命は。

紀伊國屋書店8月ランキング
◆単行本ベスト10

1 A BATHING APE(宝島社)
2 KATEIGAHO INTERNATIONAL(世界文化社)
3 パターンマジック(文化出版局)
4 女性の品格/坂東眞理子(PHP研究所)
5 とてつもない日本/麻生太郎(新潮社)
6 吉原手引草/松井今朝子(幻冬舎)
7 「天才」の育て方/五嶋節(講談社)
8 楽園 上・下/宮部みゆき(文藝春秋)
9 ホントに美味しいNY10ドルグルメ/間庭典子(講談社)
10 ニューヨーク美術案内/千住博(光文社新書)

◆文庫ベスト5
1 残虐記/桐野夏生(新潮文庫)
2 ハゲタカ 上・下/真山仁(講談社文庫)
3 手紙/東野圭吾(講談社文庫)
4 秘密/東野圭吾(文春文庫)
5 ハゲタカ2 上・下/真山仁(講談社文庫)