Copyright 2007 YOMITIME, A Division of Inter-Media New York, Inc. All rights reserved


お特な割り引きクーポン。
プリントアウトして
お店に持って行こう!

イベント情報





他にショッピング、ビューティー、
企業情報なども準備中!

 連載コラム
 [医療]
 先生おしえて!

 [スポーツ]
 ゴルフ・レッスン

 NY近郊ゴルフ場ガイド


 [インタビュー]
 人・出会い
 WHO
 ジャポニズム
 有名人@NY

 [過去の特集記事]

 よみタイムについて
 

よみタイムVol.79 2007年12月21日発行
号掲載

バワリー街、
異変!


住宅ローンの破綻、投資銀行や金融会社の赤字決算など、米国はいよいよ不況に向かっている。が、ことニューヨークにみる限り、アートも不動産も高いほど売れ行きがいいようだ。オークションでは、現代アートのスターたちが最高値を更新し、有名建築家によるマンションは、完成前から売り切れる。プライム市場はどこも勢いがいい。そんな中、バワリー通りにオープンしたニューミュジアムを中心にホットなアートシーンが生まれている。(文:藤森愛実) New Museum
Photo: Dean Kaufman


2階の展示スペース。開館記念展「アンモニュメンタル」からイサ・ゲンツケンの彫刻作品。 Photo: Dean Kaufman

ロビーとブックストアの仕切りも、外観と呼応するアルミメッシュ。
Photo: Manami Fujimori

超オシャレなトイレは、イタリア産のモザイク装飾
Photo: Dean Kaufman

建物外観を覆うアルミのメッシュ
Photo: Manami Fujimori

ニューミュージアムがオープン

[建築とアート]


 さる12月初旬、ローワーイーストサイドのバワリー通りにニューミュージアム(New Museum)がオープンした。もともとソーホーにあった現代アートの美術館だが、構想から5年、約50億円の総工費をかけてついに完成。ニューヨークでは、美術館の増改築は多いけれど、新建築のお披露目は、かのグッゲンハイム美術館(1959年)とホイットニー美術館(1966年)以来、絶えて久しい。また、マンハッタンはここ数年、フランク・ゲーリーだ、リチャード・マイヤーだと、著名建築家の斬新なビルが話題を集めている。この点でも、国際的に活躍する日本の若手建築家チーム、妹島和代と西沢立衛(オフィス名:SANAA)を起用したニューミュージアムの建物には、早くから注目が集まった。
 ここ半年ばかり、私も何度、ニューミュージアムの建設の行方を見守ったことだろう。設計案どおり、7つのボックスを積み重ねた、しかもそれぞれが出っ張ったり引っ込んだりしたいびつな建物が、文字どおり段々に形を成していく。半透明の表面は、遠くから見ると薄い紗幕を張り巡らしたよう。でも、中はいったいどうなっているの? 肝心の展示作品の内容は? 
 さて、お披露目の12月1日(土)、この日は、美術館の創立30周年を記念して正午から翌2日(日)の午後6時まで、30時間ぶっ通しのオープニング(無料)となった。雪混じりのあいにくの天候にも関わらず、バワリーからスタントン通りにかけて観客の長蛇の列。が、ガラス張りの明るいロビー、地下のミニ・シアター(182席)、2、3、4階へと続く真っ白なギャラリーの美しさに、寒さで硬直した心がほんわか溶けていく。5階の教育センターには主要アート雑誌が並んでいて、これは便利。最上階の多目的イベント空間「スカイルーム」は、やや手狭ではあるけれど、東と南にはり出したテラスが洒落ている。外観のアルミメッシュの構造も、このテラスからはっきり見える。
 内装は一見シンプルだが、ずれたボックスの天井が天窓の役割を果たすなど採光には格別の配慮がなされている。最上階と思った7階のスカイルームの上に、実は電気配線その他の機械室(8階)がある。が、外からはどう見ても7層の建物にしか見えない。マジカルなこの建物は、昼間はぼーっとして目立たず、周囲の殺伐とした街路風景にも無理なく溶け込んでいるようだ。夜の帳が降りる頃、ちょうどローワーイーストサイドのカフェやクラブが若者たちで賑わいを見せる頃、ニューミュージアムは、薄物をまとった優雅な貴婦人のごとき姿をくっきり現す。
 ちなみに、木曜と金曜の開館は夜10時まで。とくに木曜の7時以降は入場無料なので、早めの夕食の後、ゆっくりアート鑑賞ができる。開館記念の展覧会「アンモニュメンタル」は、タイトルどおりジャンクアート風な彫刻作品を集めたもの。彫刻のみで壁には何もかかっていないけれど、1月から徐々に絵画展示が始まるそう。いまはまず、SANAAの展示スペースを生のままで存分に見てほしいという仕掛けのようだ。
 5年前、SANAAの二人がニューミュージアムの新館設計を依頼された頃、彼らはまだ金沢21世紀現代美術館を建てていなかった。この大成功の後、オハイオ州のトレド美術館の瀟酒なガラス建築で米国でも知られるようになり、いま現在、スペインのバレンシア現代美術研究所ほかさまざまなアート施設を手掛け、特筆すべきは、ルーブルの別館建設の建築家に指名されてもいる。まさに注目の二人だが、バワリーもまた、この5年間で大変貌を遂げた。いや、遂げつつある。


ニューミュージアム館長のリサ・フィリップス
Photo: Lina Bertucci

建築家 妹島和代(右)と西沢立衛
Photo: Manami Fujimori

高級ホテルも登場
開発業者のターゲットに


[アートと不動産]


 バワリーは、北はアスタープレイスを起点に南はキャナルまで、斜めに走る大通り。昔から昼なお暗いといった物騒な感じのする通りで、私など、NYUに通っていた頃はここを通るのが怖かった。ニューミュージアムの周囲は、レストラン用厨房器具の店や中古の家具店が軒を並べ、安ホテルやホームレスのシェルターも多い。が、そんな界隈にいまやホールフーズの巨大店舗が進出している。
 また、ハウストンとバワリーの一角には高級コンドミニアムが林立し、3丁目には、その名も「バワリー・ホテル」(一泊495ドル以上)が登場。エクスクルーシブな高級感を煽っている。今後、23階建てのホテルの建設が予定され、かのCBGBが入っていた建物は、改装の暁には、ギャラリーかデザインショップになるのだそう。バワリーは、あっという間の不動産開発ですっかり注目の場所となってしまった。ニューミュージアムのオープンと前後して、新聞の経済面であれ、建築やアートの欄であれ、話題にのぼらない日はないほどだった。
 アートの行くところ、街の商業開発は進む。これはソーホーがいい例で(ダンボもウィリアムズバーグもしかり!)、アーティストや画廊主たちは、暖房もない古いロフトを手間ひまかけて改装し、やがて人の往来が生まれ、カフェやバーが出来、お洒落で便利になった頃には、儲け主義の家主に追い出されてしまう。ソーホーの画廊スペースは、路面の一等地の場合、ほぼ100%、ブティックやデザインストアに取って代わられてしまった。
 ニューミュージアムが以前あったソーホーのブロードウェイは、一時はグッゲンハイム分館やアフリカ美術館が軒を並べる一画だったが、前者は閉じ、後者はクイーンズに移転し、ニューミュージアムは、当時、だれの頭にもなかったバワリーに土地を求めた。「マンハッタンで唯一、手に入る土地が、バワリーの空き地(駐車場)だったの。ローワーイーストサイドはビレッジにも近く、昔からボヘミアンでアーティストの街。クラブや小劇場がたくさんあって、若者文化が根づいている。実験的で新しいアートのスペースとしてのニューミュジアムにはぴったりだと思ったわ」とは、館長のリサ・フィリップスの弁。そのバワリーが5年後にこれほど開発が進むとは、フィリップスも想像していなかったに違いない。
 皮肉なことにチェルシーの画廊街もまた、ソーホーを上回る速度で商業化が進んでいる。ここ数カ月、画廊よりレストランのオープンが目立つほどで、ハドソン川沿いはまさにウォーターフロント再開発。夜景が売り物の高級コンドミニアムの建設が進み、ハイライン(もとの産業用鉄道路)跡地に公園が実現すれば、住宅建設はもっと増えるはず。結果として、レントは家主の思うまま。90年代後半にチェルシーに移転した画廊の多くに、10年のリース契約の更新が迫っている。いったいどれだけの画廊がチェルシーに残れるか、その存続を危ぶむ声は大きい。


Thierry Goldberg Projects on Rivington St.
30軒以上の画廊が集まるLES

[ホットなアートシーン]


 ニューミュージアムが呼び水となってか、バワリーを基点としたローワーイーストサイド(LES)には、すでに30軒以上もの画廊が集まっている。「フィーチャー」や「エンヴォイ」のように早々とチェルシーを離れた画廊もあれば、「スミス=スチュアート」や「フルーツ・アンド・フラワー・デリ」のようにアパートの一階に隣り合って店を広げる若手のミニ画廊、また、「リーマン・モーピン」や「イレブン・リビングトン」など大手画廊の2号店としてのスペースもある。
 バワリー進出の思惑はそれぞれだが、LES には古くから「ギャラリー128」や「ABC No Rio」といったアーティスト主導のスペースがあり、デランシー通りよりさらに下がった地域には若手アーティストのスタジオも多い。「同じ世代のアーティストと同じ近さで仕事ができるのがいい。トレンディだからというのではなく、LESが自分には一番合ってる」(「スミス=スチュワート」のディレクター)。「上の階に住む人たちは、現代アートなんて見るのも聞くのも初めてって感じだね。でも、アル中やドラッグ中毒者が寄りつかないよう僕たちを守ってくれる。僕らも LES のコミュニティの一部なのさ」(「ラックス」のディレクター)。
 こんな親近感を、実は、私もすぐに感じてしまった。もしかしたら、60年代ソーホーの起こりはこんな風だったのでは、という思い。まだ生々しいのだ。チェルシーのようにきれいで広くはないのだ。すべてが手作りという感じ。あるものを利用してのスペース。「リーマン・モーピン」のようにお金持ちの画廊でさえ、クリスティ通りに開いた2号店は、床のタイルは欠けたまま、木のドアはガタピシのまま。チープシックを保っている。
 実際、チェルシーはあまりに大きくなりすぎた。ここ1、2年、どの画廊も大拡張を繰り返し、みな美術館みたいに広くなってしまった。どれも似たようなスペースの中、大きいだけのアートが並ぶ。その点、LESのギャラリーは、まだ小さなスペースが多い。人間的なスケールなのだ。だからアートがよく目に入る。スタッフとの会話が自然に始まる。
 バワリーと交差するスタントンやリビングトン、平行に走るクリスティやオーチャード、いままで覚えもしなかった通りだが、画廊マップに沿って歩けば、ヒスパニックやチャイニーズやジューイッシュのいろんな文化の匂いがする。地域の歴史に出会う。気がつけば、イースト・ブロードウェイにまで足を伸ばしている。ギャラリー巡りの最後は、私の場合、いつもこの新興のチャイナタウンだ。大根や白菜やエビを買って、夕飯の支度もこれで安心。
 ソーホーともチェルシーとも違う、ローワーイーストサイドのホットなアートシーンはいま始まったばかり。ニューミュージアムの SANAA の新建築を手始めに、ストリート沿いのギャラリー、路地に隠れたギャラリー、中華街のビルの中のギャラリーなど、新傾向のスペースを訪れてみよう。新しい作家の新しい作品に出会う、先物買いのチャンスでもある。

★New Museum
235 Bowery St.
212-219-1222
www.newmuseum.org

1:ABC No Rio
156 Rivington St.
212-254-3697
www.abcnorio.org

2:Canada
55 Chrystie St.
212-925-4631
www.canadanewyork.com

3:Dispatch
127 Henry St.
212-227-2783
www.dispatchbureau.com

4: Eleven Rivington
11 Rivington St.
212-982-1930

5: Envoy
131 Chrystie St.
212-226-4555
www.envoygallery.com

6:Feature Inc.
276 Bowery St.
212-675-7772
www.featureinc.com
*1/8 2008 Open

7:Fruit and Flower Deli
53A Stanton St.
no tel.
www.fruitandflowerdeli.com

8:Gallery Onetwentyeight
128 Rivington St.
212-674-0244
www.galleryonetwentyeight.org

9:James Fuentes LLC
35 St. James Place
212-577-1201
www.jamesfuentes.com

10:Lehman Maupin
201 Chrystie St.
212-254-0054
www.lehmannmaupin.com

11: Luxe Gallery
53 Stanton St.
212-582-4425
www.luxegallery.net

12: Miguel Abreu Gallery
36 Orchard St.
212-995-1774
www.miguelabreugallery.com

13: Museum 52
95 Rivington St.
212-228-3090
www.museum52.com

14: Participant Inc.
253 East Houston St.
212-254-4334
www.participantinc.org

15: Reena Spaulings Fine Art
165 East Broadway
212-477-5006
www.reenaspaulings.com

16:Rental
120 East Broadway, 6F
212-606-6002
www.rental-gallery.com

17: Rivington Arms
4 East 2nd St.
646-654-3213
rivingtonarms.com

18:Salon 94 Freemans
1 Freeman Alley
212-529-7400
www.salon94.com

19: Smith-Stewart
53 Stanton St.
212-477-2821
www.smith-stewart.com

20:Sunday L.E.S.
237 Eldridge St.
212-253-0700
www.sundaynyc.com

21: Thierry Goldberg Projects

5 Rivington St.
212-967-2260
www.thierrygoldberg.com