ニューヨーク在住の若手アーティスト3人が、3月3日から31日まで、チェルシーの「アート・ネクスト・ギャラリー」で3人展を開く。テーマは「○:まわる」。
写真とビデオアートを出展する砂入博史、花の絵を描く秋好恩(あきよし・おん)、そして、ぬいぐるみのオブジェなど3D作品の伊奈章之。もともと異なるスタイルの作品を展開する3人が、それぞれの視点から「○:まわる」をテーマに新しい作品に取り組んだのがこのショーだ。
2年前にニューヨークに進出してきた中国系のこのギャラリー、日本を含めるアジア系アーティストの発掘に積極的だ。中国は今一種の経済バブルで、中国人アーティストの作品の値段が高騰してしまい、扱いにくい現状があるという。そうした中で、中国本土でも現在、日本人のアーティストの作品が注目されているという背景もある。
昨年春、偶然このギャラリーから「ニューヨークを拠点にした日本人アーティスト数人のショーをしたい」と持ちかけられた伊奈が、砂入と秋好に声をかけた。「特に素晴らしいと思うアーティスト2人に声をかけました」と伊奈。
伊奈と秋好は、東京藝術大学卒業。秋好はその後スクール・オブ・ビジュアルアーツ修士課程を修了すると、東京や、中国各地の近代美術館、ニューヨークのブルックリン美術館やジャパン・ソサエティーなどでショーを展開。
「今回のショーのテーマ『まわる』を日本語で考えたとき、日本語はいろんな意味があると思いました。生命の循環というイメージで作品を作りました」と秋好。
3人の中で一番若い伊奈は、大学を卒業するとすぐにニューヨークのクーパーユニオンに留学。09年ISEカルチュラル・ファンデーションで個展、チェルシーのギャラリーで開かれた「国際審査展」では、ホイットニー美術館のキュレーター賞を受賞している。現在ブルックリンで個展も展開中だ(open-source-gallery.org)。
「僕の『まわる』は、制作作業の工程そのものです。展示するオブジェは、街で拾った布を洗って(リサイクルして)作ったぬいぐるみです」という伊奈は、アートを通じて現代社会が抱える問題を提起するイベントなども企画する。
砂入は18歳で来米。現在ニューヨーク大学の現代芸術科教授として教鞭を執る。「チベット人にとって聖なる滝がある中国の村に行ってきました。北京、リジャン、シャングリラ、雨崩村という巡礼の地を今回のショーでは30本のビデオで紹介しています」と話している。(きん)
砂入博史(sunairi.blogspot.com)
伊奈章之(akiyukiina.com)
秋好恩(onmeg.com)
3人展
「○Mawaru」
日時:3月3日〜31日
(オープニング
レセプション:3月5日)
Art Next Gallery
530 W. 25th St. 3rd Fl.
(bet. 10th & 11th Aves.)
TEL: 212-206-1668
www.artnextgallery.com
info@artnextgallery.com
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