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よみタイムVol.81 2008年1月25日号掲載
 
写真家 望月 瞳

「生の人間、日常のドラマを撮りたい」
「湿度」のある写真でNYアート市場に挑む


望月の作品の一つ
www.hitomimochizuki.com

 「人に迫る写真が撮りたい」――若手写真家、望月瞳は言う。ニューヨークと日本を行き来して、両方を拠点に活動を展開しようと、住み慣れた東京を離れてニューヨークにやってきたのが昨年夏だ。すでに、ソーホーのファッションメガネ店「フェイシャル・インデックス」で、今年夏の個展を決めたが、「その前に、春にもショーを開きたい」と、チェルシーを中心にギャラリー回りを続けているという、体当たり派だ。
 望月が最も興味を抱いているのは「生の『人』。その人の日常のドラマを撮りたい」という。
 作品ファイルには、半裸で和式トイレにしゃがんでいるシーンなど、見る人によってはひるむような写真もある。「極めてナチュラルな状態で撮っており、センセーショナルなものとか、インパクトのあるものを撮ってやろうという気は全然ないんです。私にとっては、ヌードも和式トイレにかがんでいるシーンも自然なもの」という。
 ただ、おもしろいことに、その作品を見せたときの反応は、男性と女性とでかなり違うそうだ。男性は「重すぎる」とか「怖い」と反応する人が多いが、女性はあっけらかんとしたもの。「多分、あの写真には男性(とごく一部の女性)が見たくない女性像が映っているんですね」。
 何も分らないままニューヨークに来て、この街の写真アート市場で、どう自分を売っていくのか。「私の作品は、アジア独特の凛とした強さ、静けさ、激しさ、瑞々しさが売りだと思っています。アメリカの写真家は、乾いた空気の中で育っていますから、やはり写真もドライなトーンなんですが、日本人の私は、写真が湿度を持っています。水墨画みたいなものでしょうか」。
 写真を始めたのは武蔵野美術大学在学中だった。とはいえ専攻はデザインだったので、卒業後いったん広告デザイン事務所に就職するが、写真家になる夢が捨てきれなかった。
 ファッション関係の仕事に就いた大学時代の友人に作品を見せたことから、スタジオ・ホボスという有名な写真スタジオを紹介される。それが転機で、写真業界に転向した。
 このスタジオでは、照明の勉強をしたほか、ファッション雑誌の仕事でモデルや女優を撮影することも多かった。数年間アシスタントを務めてから独立。1年半のフリーランス活動の後、渡米を決めた。
 東京での仕事で、撮影の対象が日本人以外のモデルであることも多く、コミュニケーションのツールとしての英語力の必要性を強く感じたことも、渡米に踏み切った理由の一つだが、何よりも、ニューヨークのエネルギーを吸収したかった。
 「夏のニューヨークは、エネルギーがあふれているので、すごく楽しかった。ハーレムを回っていろんな人の写真を撮りました。日本は整っていてきれいですが、人間から感じる力は、ニューヨークの方がずっと強い」とすっかりニューヨークがお気に入り。
 都会の遊びの文化がある場所、そこに渦巻く人間のエネルギーが好きだという望月は、それらを写真に映し出していきたいという。(きん)