日本で、姉妹ヒップホップグループ「ハーツデールズ」の「ラムちゃん」として、若者の間で人気を博した歌手・ユミ(本名・杉山ユミ)。06年に「ハーツデールズ」を解散、芸能界を引退すると、生まれ育ったニューヨークに拠点を移した。現在パーソンズで学びながら、アーティストとしての活動を展開している。
10月4日から11月30日までの約2か月間は、ソーホーの眼鏡店フェイシャルインデックスで、初の個展を開いている。同店は、ソーホーという立地に加え、ガラス張りの広々としたロフト店内がギャラリー空間にぴったりなことから、01年以来、若手アーティストに作品発表の場として店内を提供している。
近年ギャラリーとしての知名度も上がってきたため、個展を開くための競争率も上がった。「来年夏まで予定はびっしりです」と、濱口十至幸(としゆき)店長は話す。
そんな状況の中での個展実現について、「私はラッキーでした!」とトレードマークの「ラムちゃんスマイル」を見せる。何事にもポジティブで、底抜けに明るい、独特のオーラを放っている。
展示作品にもそれがストレートに現れている。見ているだけでウキウキして、楽しくなるポップアートだ。
「これ、ネコ?」「クマです(笑)」。「…こっちはクマ?」「ネコです(爆笑)」――フェイシャルインデックスでの取材の日は、店内が大きな笑いに包まれた。
「楽しくて、元気が出て、見る人の励みになるような作品を作りたいです。ただそれだけを願って描きました」
大小全9点を展示。クマ、ネコ、細胞、花、蝶などを、ポップなイメージで、明るい色彩で描く一連の作品には、キャンバスからクマやネコが飛び出してくるような勢いがある。「落ち込んでいても、私の絵を見て元気を出して欲しい」。展示作品は、いずれもアクリル画だ。
最近ニューヨークのアーティストの間では、ギャラリーではなく「ショップ」で個展を開くことが注目されている。「不特定多数の人が訪れるショップでの個展は、よりたくさんの人に作品を見てもらえるという良さがあるんです」。その意味でも、今回の個展はニューヨークでの第一歩として、大きなマイルストーンだという。
さらに、新しいiPhoneのアプリケーションに、ユミのクマのイラストが選ばれた。世界中のiPhone上でユミのクマが「Yum
Memory」と言うゲームで登場している。
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ニューヨーク市ヨンカーズで生まれ育ち、中学で日本に帰国。大学時代に「ハーツデールズ」で歌手デビューするとたちまち大人気に。アニメ「攻殻機動隊」の主題歌を歌い、タモリの「ミュージック・ステーション」に出演するなど、本格的な芸能活動を展開していた。
「学業と両立しながらの歌手活動は本当に大変だったけど、周りの協力のおかげで、乗り切ることができました」。コンサートにレコーディング、テレビ出演と、寝る時間も惜しんで働きながら、頑張って多摩美を卒業した。
現在ニューヨークで、「スタジオ・ユミ」を展開中。個展開催や創作活動に加え、オリジナル・キャラクターを使ったグッズも、オンラインで販売中だ。
(ささききん)
スタジオ・ユミ個展
10月4日(土)〜11月30日(日)
Facial Index
104 Grand St.(corner of Mercer St.)
TEL: 646-613-1055
アーティストのウエブサイト
(キャラクターグッズ販売サイトもここから)
www.studioyumi.com
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