2017年11月3日号 Vol.313

[第83回]
捨てる「紙」あれば拾う「紙」あり?


クレジットカードの支払いが増えたとはいえ、まだまだ現金払いも多いイエローキャブ。偽札にはご用心と肝に命じているものの、どさくさに紛れてやられることがあります。
ここ1ヵ月ほどの話。125丁目とセントニコラスあたりにあるマクドナルドでコーヒーを買うのに、キャブを停めようと思っていたら、黒人の若い男が「ブロードウェイの105丁目まで乗せてくれよ」と近づいてきました。渋っていたら、「その辺にもマックはあるだろ?」と。あの辺は車を停める場所がないので嫌だったんですが、仕方ないので「いいよ」というと、5人乗ってこようとしたので、「5人はダメ」と突っぱねました。
後で思えば、この辺から怪しいニオイがプンプン。結局そのうち3人だけ乗ってきて、リーダー格の奴が「108丁目でいい」と言って、降りる際に20ドル札を渡してきました。
偽札チェック用のマジックペンを以前は持っていたのに、その時は持っていなくて、「うーん」と思いながらもおつりまで渡してしまいました。
マジックペンがない場合は、お札に爪を立てて、本物なら表面がデコボコしているのでわかるんです。連中が去った後、試しに爪を立ててみたら、表面はツルッツル。即座に「やられた」と思いました。念のために、車内電気をつけて透してみたんですが、やっぱり透し模様もなし。悔しがっても後の祭りです。それが夜の8時ごろ。
その1、2時間後くらいでしょうか。ブルックリンの閑静な住宅街を走っていました。僕の前でグリーンキャブがお客を降ろすのをイライラしながら待っていました。そのグリーンキャブが走り去った後、路上に葉っぱのようなものが舞っているのを見て、あれっと思ったんです。
よく見ると、お札が舞っているじゃないですか! 路肩に車を停めて走っていくと、20ドル札が3枚、5ドル札と1ドル札が数枚、全部で8枚くらいがパラパラと空を舞い、路上にばらまかれていました。
想像するに、僕の前のグリーンキャブから降りた客が、ポケットに無造作に現金を入れていて、手を突っ込んでキャブに運賃を払った時に札が舞い出てしまったのではないかと。
ハーレムで偽札をつかまされたものの、ブルックリンで本物の札を拾ったわけです。これで今回の見出しの意味、わかってもらえました?
余談ですが、その日はその後、金融街でイギリス人の観光客母娘を乗せました。夜のマンハッタンツアーをしてまた金融街のホテルに戻るというちょっと珍しいパターン。50ドルちょっとの運賃に70ドルもらいました。騙された以上に得もした1日。まさに、拾う「神」ありだなあ、なんてね。(白石良一)



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