2018年1月12日号 Vol.317

大型舞劇「朱鷺」ニューヨーク初上演
感動のうちに幕


プレスプレビューで抱負を語ったスタッフら。左から、中国対外文化集団公司のガオ・ユインジエ氏、上海歌舞団のチェン・フェイホワ、アートディレクター、振り付け担当のトン・ルイルイ氏、プリンシパルダンサーのジュ・ジエジン、ワン・ジヤジュン


1979年に創立され、民族舞劇、舞踊、歌舞、声楽、器楽を創作・上演する総合芸術団体「上海歌舞団」。4年の歳月をかけ、丹精込めて創作した中国対外集団公司の「中華風韻」シリーズの大型舞劇「朱鷺」が1月5日から7日、リンカーンセンターで上演された。

舞劇「朱鷺」の創作は上海歌舞団が3度の訪日の中で、朱鷺が日本では絶滅状態にあったことを知ったのがきっかけ。物語は村の青年ジュンと朱鷺の精ジエの時空を超えた出会いと別れを背景に、自然の調和・共存を訴えている。

舞台は2部構成で、前半はジュンとジエの出会いを中心に、自然の中で生きる朱鷺たちが活き活きと描かれる。ドラマティックな音楽、美しい衣装、朱鷺の動きを模した舞踊と一糸乱れぬ見事なアンサンブルなど、卓越したテクニックと美しさ、生命の喜びが感じられる舞台に終始圧倒される。
後半は一転、自然破壊によって美しい朱鷺たちが次々と消えていく。前半の明さとは対称的に暗いシーンが続き、朱鷺の屍が累々と横たわるシーンには思わずハっとさせられる。

元バレエダンサー草刈民代氏は、「中国の伝統舞踊を学んだダンサーでなければこの演技はできません」と高評価。ニューヨーク公演後にはボストンでも公演、大喝采を浴び、アメリカ初公演を終えた。


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