2018年1月12日号 Vol.317

ユダヤ人とユダヤ関連作品で観る社会
「ニューヨーク・ジューイッシュ・フィルム・フェスティバル」


Razzia (2017), Directed By Nabil Ayouch, France/Morocco/Belgium


The Cakemaker (2017), Directed By Ofir Raul Graizer, Germany/Israel. Courtesy Strand Releasing


West of the Jordan River (2017), Directed By Amos Gitai, Israel/France


今年27周年を迎える「ニューヨーク・ジューイッシュ・フィルム・フェスティバル(NYJFF)」(主催:フィルムソサエティ・オブ・リンカーンセンター、ジューイッシュ・ミュージアム)が、1月10日(水)から23日(火)まで開催。長編から短編、ドキュメンタリーなど、世界各地でユダヤ人が経験した多くの出来事を検証する。

オープニングナイトは、ナビル・ヨウシュ監督の「ラジア(Razzia)」(製作モロッコ・フランス・ベルギー)。1982年、アトラス山脈に位置する小さな村で、子供たちに科学やポエムを教えることが好きな教師アブダラが暮らしていた。2015年、モロッコ王国最大の都市「カサブランカ」は、男女平等ではないイスラム教徒の国。短い丈のドレスを着た官能的なサリマ、フレディ・マーキュリーに憧れロックスターを夢見るハキム、レストラン・オーナーのジョー、裕福な家で暮らす15歳の少女イネス…。そんな5つの異なる物語が繋がっていく。

センターピースは、オファ・ラウル・グレイジャー監督の「ケーキメーカー(The Cakemaker)」(制作ドイツ・イスラエル)=表紙写真下=。ゲイで若いパン職人のトーマスは、イスラエルからベルリンへ仕事でやってきた既婚者のオランと出会い恋に落ちる。ところがオランは、イスラエルで交通事故により死亡。トーマスは、未亡人となって一人息子を育てるアナットを訪ねていく。彼女はドイツ人のトーマスに不信感を持ちながらも、自身のカフェで雇用する。夫がゲイだったことを知らないアナットに、トーマスは「真実」を悟られないようにするのだが…。グレイジャー監督初の長編。

クロージングナイトは、アモス・ギタイ監督の「ヨルダン川の西(West of the Jordan River)」(制作イスラエル・フランス)。イスラエルとパレスチナの関係がテーマ。暗殺されたエフライム・カツィール大統領のインタビュー映像や、平和を掲げて行動する市民たちの努力と、人々の絆を描く。

「トリビュート上映」は3作品。
アモス・ギタイ監督の「いつか分かるだろう(One Day You'll Understand)」は、ホロコーストの傷跡を描いた秀作。
「鉄のカーテンを描く(Drawing the Iron Curtain)」では、ソビエト連邦時代、モスクワを拠点にアニメーションを制作していたソユーズムリトフィルムの短編3本を上映。
「トーキング・ムービーズ」では、NYJFFのディレクター、サム・ポラードが来場。サミー・デイヴィス・Jrを描いたドキュメンタリー「Sammy Davis, Jr.: I've Gotta Be Me」=表紙写真上=の舞台裏を紐解く。

New York Jewish Film Festival
■1月10日(水)〜23日(火)
■会場:Walter Reade Theater
 165 W. 65th St.
■一般$15、学生/シニア$12、メンバー$10
■オープニングナイト$25、メンバー$20
www.nyjff.org


Razzia
・1/10(7pm)・1/11(3:30pm)
The Cakemaker
・1/18(6:30pm)・1/20(9:30pm)
West of the Jordan River
・1/23(12:30pm / 6:00pm)
One Day You'll Understand
・1/22(1pm / 6pm)
Drawing the Iron Curtain
・1/11(6:30pm)
Talking Movies:
Master Class with Sam Pollard
・1/21(4:00pm)*参加無料
 会場:Amphitheater:144 W. 65th St.


HOME