2018年1月12日号 Vol.317

メット、任意寄付の対象を限定
正規料金チケット3日間有効に
3月1日から実施


本館(The Met Fifth Ave. Photo by Christopher Postlewaite/NYC & Company)


分館「メット・ブロイヤー」(The Met Breuer. Photo by Tagger Yancey IV/ NYC & Company)


分館「メット・クロイスター」(The Met Cloisters. Photo by Will Steacy/ NYC & Company)


メトロポリタン美術館が1月4日、春からの入場料制度の変更を発表した。
それによると今年3月1日から、入場窓口でチケットを購入する際に「任意寄付」の恩恵を受けられるのは、ニューヨーク州住民と、コネティカット、ニュージャージー両州の学生のみとなる。
その他の州、外国からの旅行者は、一律正規の入場料(大人25ドル、学生17ドル、シニア12ドル、12歳以下無料)を支払うことが義務づけられる。12歳以下が無料なのはこれまで通り。特別展示やガイド付きツアー、アーティストやキュレーターによるギャラリートークなどのイベントは、今後も無料だ。
変更の目玉はもう一つ。3月1日から、正規料金のチケットが購入日から3日間有効となり、市内3カ所のメトロポリタン美術館(本館と2つの分館)で利用できるようになる。これまでは、全チケットは当日のみ有効だった。
メトロポリタン美術館本館が立つ土地は、ニューヨーク市所有地であるため、入場料制度の変更は、ニューヨーク市当局と相談の上、市の許可を得て決定された。この変更で影響を受けるのは、全来館者の約31%だという。
現在同美術館は、入場料制度変更に伴うガイドラインを作成中。入場時に窓口でIDを提示することになると思われるが、そうした詳細はこれから検討・決定される。

メトロポリタン美術館は創設148年。「入場料の任意寄付制度」は、1970年からの伝統だった。しかし、50年近くたった今、それでは美術館の運営が賄えなくなっており、料金制度の見直しは必須だったと、同美術館は説明する。
過去13年間で、正規料金を支払って入場する来館者数も激減した。2004年は正規料金での入場者が全体の63%だったのに対し、現在はわずかに17%。減少率にして73%だ。
これまでの任意寄付制度だと、全収益にチケット収益が占める割合は14%。市内の他の美術館・博物館と比較しても格段に低いという。3月からの新しい入場料制度により、これを16〜17%に引き上げることができる見込みだ。
コネティカット州とニュージャージー州の学生への任意寄付プログラム延長措置は、メトロポリタン美術館がもともと教育目的で設立された歴史に敬意を払ったもの。初年度は同美術館の理事会が経費を捻出し、その後は各方面に寄付を呼びかけていく方針だ。

★The Met Fifth Avenue
1000 Fifth Avenue
TEL: 212-535-7710

★The Met Breuer
945 Madison Avenue
TEL: 212-731-1675


★The Met Cloisters
99 Margaret Corbin Drive
Fort Tryon Park
TEL: 212-923-3700


www.metmuseum.org


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