2015年10月16日号 Vol.264

姉妹デュオ「チャラン・ポ・ランタン」
NYデビュー!
おとぎ話には裏がある、美しいものには闇がある


Photo:Charan-Po-Rantan, courtesy of the artist / Illustrations by Ben Warren ©Japan Society


カラフルでポップ、キュートなルックスに「カワイコちゃんバンド」だと騙されることなかれ! そのパフォーマンスは驚くほどパワフル! ノスタルジー溢れるサーカス音楽と昭和歌謡曲をミックスさせたようなレトロ・ミュージックを引っさげ、姉妹デュオ「チャラン・ポ・ランタン」が10月29日、ジャパン・ソサエティーでNYデビューを果たす!

「20歳の時、親知らずを抜くことになったんです。歯医者さんで長時間の治療と激痛に堪えるため、ず〜っと曲を考えていました。でもなかなか終わらなくて…その時、初めて歌詞も作ってみました」と、話すのはアコーディオンを担当する姉の小春。完成したのがデビューシングルとなった「親知らずのタンゴ」だ。

当時、インストゥルメンタル・バンド「マイノリティオーケストラ」を率いていた小春、「せっかく歌詞付きの曲を作ったんだし、誰かに歌ってもらおうかな〜すぐにスケジュールが組める暇そうなやつがいいな〜」と周囲を見渡すと、同じ部屋で暇そうにしていた妹のももを発見。母親から「ももはカラオケに行ってるみたいよ」と聞いていた小春、「お前、歌とか歌えんの?」。ごく自然に(半ば強制的に!)姉妹デュオ「チャラン・ポ・ランタン」が誕生。2009年、小春20歳、もも16歳だった。「『いいかげん』や『へんてこりん』という意味の『ちゃらんぽらん』に『タン』をプラスして、よりリズミカルで、一度聞いただけで覚えてしまうようなユニット名にしました」

7歳からアコーディオンを始め、17歳で大道芸人のプロライセンスを取得した小春のリズミカルで軽快な演奏と、コブシをまわし、ドスを効かせた歌声を披露するもも。
「写真だけを見て『可愛い』をイメージしてライブに来たら、痛い目にあいますよぉ〜」と、姉妹は不敵な笑みを浮かべる。

アコーディオンをサンタさんに頼んだ
小春


小春7歳、もも2歳の時、母親と一緒にシルク・ドゥ・ソレイユのサーカスに出かけた。小春は、そこで見たアコーディオン弾きに一目惚れ。「サンタさんにアコーディオンを頼んだら、その年のクリスマスに本当に届いたんです それがきっかけでアコーディオンを始めました。サーカスは私たちの原点であり、永遠のテーマです。私たちの音楽は全てそこから始まりました」
サーカス音楽やバルカン音楽、東欧ユダヤ人の音楽(クレズマー)などが好きだという小春、10歳の時の文集に「将来は大道芸人になりたい」と書いていた。
「昔は人と話すのも接するのも苦手で、一人黙ってアコーディオンを演奏して投げ銭が貰える大道芸は自分にピッタリだぁ!と思っていました」
10代の頃から「流し」で飲み屋を回り、大道芸人の世界大会に出場。フランスやタイでの大道芸フェスティバルにも参加した。
「通りすがりの人が自分の曲を聴いてふと足を止めてくれる…シンプルで忘れてしまいそうな出会いですが、音楽活動を続けていく上で大切なものがあります。大道芸とは異なるステージに立っていても、その気持ちを忘れないようにしています」
妹のももは「フロントマンに合っている性格」と分析する小春。
「ちょっとのことでクヨクヨしないし、男とはサラっと別れてみたりするし、やることやらなかったりするし(笑)。だけどステージ上ではスンゴイことをしてくれちゃったりするわけです。色々腹立つこともあるけど(笑)それも含めて、なんだか凄い女です」

1人でコソコソ歌うのが好きだった
もも


ステージを所狭しと駆けまわり、オーバーアクションでショーを盛り上げるもも。実は、「恥ずかしがり屋で目立つことが苦手だった」というから驚きだ。
「小さな頃から演劇やミュージカルが大好きで、よく連れて行って貰いました。『成りきり1人ミュージカル』をやって満足してた(笑)。人前で出来るほどの根性はなかったんです」
友達よりも声が通るのがコンプレックス(目立つから)だったが、今ではそれがチャラン・ポ・ランタンの魅力とパワーになっている。
いつも小脇にかかえているブタのぬいぐるみ(白羽くん)は、ももにとって「お守りのようなもの」だ。実は小春の誕生日にももがプレゼントしたものだが、初ステージの時、小春がももに持たせたことが始まりだった。
「私は小春のようにはなれないし生きられないから、とても尊敬しています。彼女が生まれ持った才能や独特な性格を、誰よりも一番長く近くで見て触れている、ということが相方として誇りだし、自分と違い過ぎて、とても興味深いです」

動画サイトがきっかけで海外へ

海外から最初にオファーが来た時のこと。
「英語だらけのメールだったので『ああ、迷惑メールかな』と思って削除するところでした。でもよく見ると『Koharu!』と名前が書いてあったので、我々宛なのかも? と思って。英語が読めないので知り合いに読んでもらいました。初めて海外ツアーに出かける時は、『臓器を売られる』思いで行きました…ホントに(笑)」
2012年にカナダツアーを成功させ、2013年にアメリカのテキサス州で開催された「サウス・バイ・サウスウエスト」に参加。来場していたツイッター会長のジャック・ドーシー氏から絶賛され、自分のプライベート・パーティーで演奏して欲しいとオファーを受けた。
「新プロジェクトのパーティで、様々な人が集まっていたと思うのですが、やはり日本とは違う『海外の空気』を感じました。最後に愛の讃歌を歌った時、ももがドーシーさんのとても高そうなサングラスを舐めまわしながら『フォローミー』を連呼しながら歌って(笑)。とても優しい人で良かったです、あんなにサングラスを舐めてベタベタにしたのに・・・」
チャラン・ポ・ランタンは、ドーシー氏が、唯一フォローする日本のアーティストになった。

家族で築いた
チャラン・ポ・ランタン


両親がイラストレーター、祖父母も絵描きだったという一家。家には絵本が沢山あり、画材も自由に使っていた。彼女たちのステージ衣装は母親がデザインし、祖母が一緒に作っている。
「チャラン・ポ・ランタンの世界観や色合いは、母の影響が大きいと思います。母が絵本のイラストを描く仕事をしていなかったら、こんな世界は生まれなかったかもしれない」
父も娘たちの活動を支援するため、チラシを印刷に出し、ステージ撮影や録音までもこなしていた。
「事務所に所属するまで、父には『スタッフ役』をお願いしていました。あの時のドタバタもいい思い出です」と笑う姉妹。今でも衣装だけは母と一緒に絵を描き、毎回決めているという。



11月11日、「おとぎ話には裏がある、美しいものには闇がある」がキャッチコピーの新曲「メビウスの行き止まり」が発売される。「人は『見た目』で判断されることが多いですが、実際は『秘めたイロイロ』があると思います。『見た目で判断するなよ!』という歌です」
自分たちの音楽の魅力は「パンク精神」だと断言する小春ともも。「自分で言うのは恥ずかしいですネ」と、カワイイ部分を覗かせる。NYで時間があれば「お買い物したい!」「初めての風景をたくさん写真に撮りたい!」そうだ。

創造性の中に紙一重の狂気が見え隠れするチャラン・ポ・ランタン。彼女たちのエネルギッシュで不可思議、どこか懐かしい香りがするステージを体感したい。

Charan-Po-Rantan Concert + Party
■10月29日(木)
・開場&プレ・パーティー 7:00pm
・オープニング・バンド 7:30pm
・メイン・ステージ 8:15pm
 ※キャッシューバー有り
■会場:Japan Society 333 E. 47th St.
■一般$25、会員$20
■ボックスオフィス:Tel 212-715-1258
 月〜金11am-6pm、土日11am-5pm
www.japansociety.org

★チャラン・ポ・ランタンは「おばけ・ファミリー・デー」にも出演
詳細はこちら



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