社名は活字と電波など異種の情報媒体に対応できるという意味でIntermedia New York Inc.、資本金は「いくらでもいい」とおっしゃるので、5千ドルを小生が払い込むことにした。銀行口座も開設する。
次は事務所探し――ニューヨーク・タイムズの3行広告欄を追って行くと、5番街42丁目に割安と思える貸事務所のスペースを見つけて行ってみる。ビルは古いが立地は良し、広さも手ごろ……で即契約。お膳立てができたところで、私は裏舞台に引っ込むことにし、あとは若い諸君に「頼んだぞ」(事務所は後にニューヨーク読売プレス社=後に読売アメリカ社に改名=に移転)。こうしてスタートした『The New York Yomiuri (後にThe Yomiuri Americaに改名)』は、読売新聞がアメリカでの衛星版発行を休止した2003年まで続き、毎週一回、本紙挟み込みで購読者に配られ、多くのファンを獲得した。今、この文章を掲載している『よみタイム』も、『The Yomiuri America』が休刊後に吉澤君と、ニューヨークのコミュニティ誌『OCSニュース』で編集長を務めた塩田眞実氏が共同発行人として発刊。2010年に吉澤君が急逝した後は、彼と行動を共にした村井美香さんが、ご主人のケーシー谷口さんと吉澤君の遺志を継いで事業を継続している。