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よみタイムVol.102 2008年12月5日号掲載

インタビューに答える小澤氏

指揮者 小澤征爾


自分には2つの「ホーム」がある
古巣ボストン響で情熱の指揮



ボストン響とのリハーサルもばっちり
 世界的な指揮者で今年、文化勲章を受章した小澤征爾氏が6年ぶりにボストン交響楽団の指揮台にあがった。 11月28日(金)、29日(土)の両日、ボストン・シンフォニーホールで2回に渡って古巣の指揮をした。29日の夜公演の前には、日本人観客向けのカクテル・レセプションがボストン交響楽団の主催で歴史的情緒溢れるシンフォニーホール内バンケットルームで特別に無料開催された。コンサート前の26日に、リハーサルでシンフォニーホールを訪れた小澤氏に話を聞いた。
(取材・IACEトラベル吉田香織)

 午後1時40分、真っ赤なセーターに、温和な表情を浮かべた小澤氏が現れた。「Welcome back!」という言葉に「今日は皆さん、わざわざありがとうございます。小澤です」と笑顔で会釈した。
 まず話題にあがったのが20世紀を代表するボヘミア出身のピアニストで、親交が深かった故ルドルフ・サーキン氏のこと。

---今回息子のピーター氏(ピアノ)と共演されますね。どのようなお気持ちですか?

小澤 とても楽しみにしています。父親のルドルフ氏とは、何度も共演をさせていただきましたが、プライベートでもよく付き合いをさせてもらいました。初めて会った時には、トリニティー教会へ連れて行ってもらい、その後、一緒に食事をしました。食事をしながら段々と打ち解けていく間に、彼にはシリアスな部分と、チャーミングでユニークな部分の2面性があると感じました。
 自然が大好きな方で、日本にいらっしゃった時も、山へ何度も登ってさまざまな鳥を観察して喜んでいました。素晴らしいピアニストでもある奥さんのイレーネも素敵な方ですよ。

---02年以来、このボストンへ戻られて、ボストンシンフォニーは変わったと感じますか?

小澤 変わっていますね。まず、フロアがとてもきれいになった!そしてもちろんメンバーも変わっていますね。とても不思議な感覚です。でも、「Come back to Home!」という感じが大きいです。空港に到着したその足で、このシンフォニーへ来て、そしてニュートンにある自宅へ戻ったのですが、自分にはこのボストンに2つの「ホーム」があると感じました。
 オーケストラのメンバーは素晴らしいです。世界でもトップクラスのレベルでしょうね。新しいメンバーの演奏は素晴らしく、また以前からいる僕の友人たち(古くからのメンバー)も高いレベルを保っています。

---ボストンに戻って来たいと思いました?

小澤 そうですね(笑)。金曜にはセルティックスの試合を観戦する予定で、とても楽しみにしています。野球観戦も大好きで、フェンウェイパークへも何度も観戦に行ったものです。僕が初めてフェンウェイパークに行ったのは60年なんですよ、それ以来、長年観戦し続けています。
 でも、僕が去ってから、バスケにしても野球にしても(松坂選手が来たり)、ボストンのスポーツは盛り上っているんですよね…(悔しそう)。「Everything happened after I left!」と言った感じです(笑)。

---ウィーン国立歌劇場での経験を聞かせてください。

小澤 以前はオペラの指揮をとることは少なかったけれど、今はむしろオペラばかりやらせてもらっています。フィガロ、ドン・ジョバンニ、トスカなど、さまざまなものです。9月1日〜6月末まで(日曜の夜でさえも!)毎日オペラが上演される(バレエも含め)、合計50ものオペラです、すごいことですよね。今では歌劇場内の裏事情を全て熟知していると思います(笑)。
 コンサートよりもオペラの指揮の方が多いですが、とても充実しております。
 また、数年前体調を崩して休養もしておりましたが、今はすっかり回復をして、テニス、スキーを楽しんでいます。

---ボストンシンフォニーでも、以前、何度か幻想交響曲を指揮されていますが、今回は何か違いを感じますか?

小澤 少し違って感じますね。うーん、でもまだわかりません。まだ1度合わせただけですので。オーケストラに聞いてみた方がいいかもしれません(笑)。でも確かに音は以前と少し違って聞こえますね。良くなっています。さらに高いレベルになっていると思いますし、新しいメンバーも古くからのメンバーも素晴らしい演奏をしてくれています。

「観客の違い」分かる
情熱的で力強い指揮


---ウィーンとボストンでの観客の違いは?

小澤 メンタル面が違いますね。これまでも何度もヨーロッパで指揮をしてきましたが、サイトウキネンやボストンシンフォニーのように、長く1箇所の都市で指揮をしたことがヨーロッパではなかったので、今回ウィーンで音楽監督をすることで、観客の違いがよりわかったと思います。
 でも具体的に「これが違う!」というのは難しいですね。文化が違う、言葉が違う、国が違う、そんな大きな部類です。口で説明するのは難しいですが。やはり「メンタルの違い」と言わせてください。ウィーンの中ですら、楽友協会に来る観客と、国立歌劇場に来る観客も全く違うのですから。楽友協会に来る方たちは、やっぱり、よりシリアスでクラシカルな人々が多く、歌劇場にはカジュアルで、リラックスした人々が多いですよね。その違いを感じるのも楽しいですね。

 約20分の会見だったが、終始笑みを絶やさず、リラックスした表情で話し続けた。
  リハーサルではリラックスした服装で、靴を脱いで指揮台へ。靴下は真っ赤。野球のボストン・レッドソックスを意識しているのか。会見の雰囲気そのままの穏やかな表情で、体全体を使い、情熱的で時には指揮台から落ちそうになるほど。
 彼の指揮する姿はしなやかで軽やか。指揮中にも何度も気になる部分では演奏を止め、丁寧な語り口で、ジェスチャーを交えながらメンバーに指示。メンバーもリラックスした表情で、熱心に小澤氏の指示にうなずきながら演奏を続けていた。