よみタイムVol.40 2006年5月19日号掲載

  俳優 沢 竜二

夢に一歩近づいた気がする
「サムライ・ミュージカル」NYで 7月8日・9日公演

 公演は7月8、9日の両日ニューヨーク、イーストビレッジにあるクライン劇場。99席と小さいが「観客と一体感をもって芝居したい」ことからこの劇場を選んだという。プレミアムとなる今回の公演は「サムライ・ミュージカル」と銘打って、典型的な大衆演劇の舞台の早変わり、日舞、助六太鼓の暴れ打ち、自慢の殺陣など日本に伝わる伝統芸能を披露する。6つの時代劇をミュージカル風にアレンジ「言葉は解らなくても十分楽しめる」演出を考えているそうだ。

 沢さんは福岡・博多で公演中の楽屋で生まれた。父は浪曲家、母親は当時、一世を風靡(ふうび)していた新国劇のスター沢田正二郎をもじって「女・沢正」と呼ばれた旅役者。4歳で初舞台を踏み16歳で「女・沢正一座」の座長になる。地元九州だけでなく、大阪にも進出して名を広げた。

 昭和30年代、日本がロカビリー全盛を迎えると即座に「ロカビリー剣法」を取り入れて一気にブレークした。 また、ミュージカル「ウエストサイドストーリー」に感化され「日本人にしかできないミュージカルをやりたい」と人気絶頂の一座を解散して上京、歌と踊りのレッスンに明け暮れた。「人生で一番お金がなかったが最も充実した時期」というように、クラブで歌ったりの下積み生活。昭和49年劇作家・福田善之が沢竜二のために書き下ろした演歌ミュージカル「夢の渡り鳥」が東京・新宿の紀伊国屋ホールで上演され大ヒットした。その後は「暴れん坊将軍」「水戸黄門」などテレビ時代劇や映画、さらに最近は蜷川幸雄の舞台「天保十二年のシェークスピア」「ハムレット」、宮本亜門演出の「くるみ割り人形」にも出演している。

 「アメリカ人にどこまで受け入れられるか挑戦してみたい。そして、来年には本格的な時代劇ミュージカルを本場ニューヨークで成功させたい」と意気込みを話す。

 沢さんは大半の芝居の脚本、演出は自ら手がけている。「30年間温めていた構想も持っている」という。「宇宙の女と旅がらす」とタイトルまで決めている。 今回の作品は1本が10分から15分と短いものだが、それぞれにストーリーはあるという。「何となく夢に近づいた気がしますね」と沢さんは着ながしの胸に手を入れた。

(吉澤信政)

沢竜二の「サムライ・ミュージカル」
日時:7月8日(土)、9日(日)開演 午後2時
会場:Kraine Theater
85 E 4th St. (Bet 2nd &3rd Aves)
問い合わせ:TKO Entertainment,Inc.
電話:212-206-1878 Fax:212-206-8170
E-mail:toshi@tkonyc.com
www.tkonyc.com