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      Srijon Chowdhury, Moth on a Poppy , 2021
Photo by Charles Benton
Courtesy Srijon Chowdhury and Foxy Production, New York
In Praise of Shadows
■ 7 月 2 日( 金 ) ま で ■会場:Lyles & King
■ 21 Catharine St.
■ www.lylesandking.com
Srijon Chowdhury: Dandelion Song, 2021
■ 7 月 3 0 日( 金 ) ま で ■会場:Foxy Production
 2 East Broadway, #200 ■ www.foxyproduction.com
● Lubov @ 5 East Broadway, #402  www.lubov.nyc
● ATM NYC @ 54 Henry St.  www.atmgallery.nyc
● 56 Henry @ 56 Henry St.  www.56henry.nyc
● M 2 3 @ 24 Henry St.  www.m23.co
● Marinaro @ 1 Oliver St.  www.marinaro.biz
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飲茶店のビル 4 階の「Lubov」
「56 ヘンリー」(左)と「ATM NYC」 若手作家作品が並ぶ「M 2 3」 前身はホテルだった「Marinaro」
Photo by Manami Fujimori
Photo by Manami Fujimori Courtesy M 2 3, New York Courtesy Marinaro, New York
チャイナタウンでアート巡り 通称「トゥーブリッジズ」で
新興のアートエリア
M
5 6 AT
MNY C
L 11
10
                                                                                                          このところ毎日の
ように出かけている マルなスペースに若
場所といえば、チャ イナタウンである。 ご本家のキャナルや モットストリート近 辺ではなく、キャナ ル以南のバワリーや イーストブロードウェ イ、その東のヘンリ ーストリート。実は このあたり、いまも
手作家の難解(?) な作品が並び、画 廊オーナーとついつい 話し込んでしまう。  前身はホテル、 それ以前は葬儀場だ
ー画廊の初の黒人デ ィレクターとして今 もっとも注目の人。 この秋から、ズワー ナー傘下の新スペー スを取り仕切ること
っとも注目のアート スペースが広がり、  興味深いのはその エリアなのだ。 配管剥き出しの薄 タイトル。かの谷  ブルックリン橋と 暗い空間はそれ自体 崎潤一郎の『陰翳礼 マンハッタン橋に挟 がアートのよう。扱 讃』の英訳本タイト まれた一角、通称「ト い作家の個展ほか、 ルと同じとあって、 ゥーブリッジズ」には、 他の画廊や在野のキ いったいどんなオマ 現在、 軒近いギャ ュレーターと共同で ージュ展なのか、楽
の新作絵画である。 妖艶かつ色鮮やかな 花の絵。が、画面 のそこここに人物や 人体の一部が紛れ 込み、寓意画的な 幻想世界を紡いでい る。人生や時の儚 さに通じる画題とい う意味では、この1 年のコロナ禍を思わ ずにはいられない。  チャウダリーは、 バングラデシュの出 身で、 歳のとき 家族でアメリカに 移住。父親が首都 ダッカで画廊を経営 していたため、子 供の頃から西洋画 に親しみ、 世紀 末フランスの象徴主 義に関心があると も語っている。なる ほど、当時の画家 オディロン・ルドン やギュスターブ・モ
があるらしい。チャ クラとは、人の生 命力の源となる身体 の7つの部位のこと であり、いわばエネ ルギーの出入り口。 それぞれに呼応す る色があるという。 実際、「ケシに群が る蛾」の真紅や「タ ンポポの歌」の青な ど、色自体の強さ と深みが圧巻だ。  アートを見ると は、かように文化 や思想に目を開か れること。とりわけ、 ここ新興エリアに集 まるギャラリーは小 規模で、画廊オーナ ー自ら相手をして くれる。 アート談 義に花が咲き、帰 り道、チャイナタウ ンで買い物する楽し みもある。この春は、 大手スーパーに採れ たての筍が並んでい た。冬には露店に 干し柿を見つけて買 い込んだ。 美と食 が共存する、ニュー ヨークならではのア ート巡りである。
ラリーが集まってい る。人気の飲茶店 の上階にスペースを 構える「ルボフ」や、 洒落たカフェの隣に 2軒長屋のように並 ぶ「 」 と「 ヘンリー」。同 じ通りの「 2 3」 も見逃せない。ミニ
企画するグループ展 しみに出かけたのだ など、仲間意識に ったが、察するとこ
溢れた展示もみどこ
ろだ。
 ところで、昨年秋
のオープン以来、こ
のエリアの要となっ
ている「ライルズ& ヘインズは、大手デ キング」では、現在、 ィヴィッド・ズワーナ
美大生の卒業展「イ
ン・プレイズ・オブ・
シャドウズ」が開催
中。イエール大学修
士課程で絵画・版
画を学んだ学生た
ちの作品展であり、 が決まっている。 すでにこの2月、キ  一方、このエリア ったという建物自体 ャンパス内で発表さ では先輩格の「フォ がユニークなのは、「マ れていたが、より広 クシー・プロダクシ リナーロ」だ。地下 い観客を求めての再 ョン」は、5年前に
の2フロアにも展示 登場となった。
チェルシーから移転。 ローに重なる内省的
ろ、展示作品と谷 崎美学の関連性は 薄いようだった。と はいえ、本展を企画 したエボニー・ ・
広々としたスペース
の中、毎回、手堅
い個展や企画展が
続き、今夏一押し
の作家展は、スリ
ジョン・チャウダリ
ー(1987年生) ャクラの7色と関連
な絵画世界。写実 を超える色の選択 も独特だ。  この色彩について は、古代インド発 祥の考え方であるチ
(藤森愛実)




































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