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第28回G8「隠れ家サミット」 テロへの戦慄と恐怖
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  G8 出席者(左から ):ベルルスコーニ首相(イタリア)/ シュレーダー首相(ドイツ)/ ブッシュ大統領(アメリカ)/ シラク大統領(フランス)/ クレティアン首相(カナダ)/ プーチン大統領(ロシア)/ ブレア首相(イギリス)/ 小泉首相(日本)/ アスナル欧州連合・理事長 / プロディ欧州連合・委員長
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 アメリカに対する同 時テロ攻撃の翌2002 年、本格統合への動きを 続ける欧州連合 の
墜落、乗員乗客225 サミットを私は知らない。 人が全員死亡......と相 6月 日、開幕前々日 次いだ。 に着いた私たちには、首  この年、主要国首脳会 脳会議場の下見ができな 議 8の議長国となった いどころか、村に近づく のはカナダだった。9・ ことさえ許されなかった。
」などを軸に 議論を展開する方法をと
7月9日に、「独裁者ク ラブ」と評判の悪かったア フリカ統一機構が改組さ れ、 に範をとったア
し、テロリストを法に照
らして裁き、テロリスト
による攻撃の脅威を減少
させるための持続的かつ
包括的行動をとることに
コミットする。テロリス
トまたはそれを匿う者が、 から撤退すれば、国家
加盟国(当時)のうち
った。
 アフリカ開発が重要
議題となったことで、ア
リジェリア、ナイジェリア、 フリカ連合= が設
ヵ国で共通通貨ユーロ の紙幣と硬貨の流通が 始まった。 年の東欧革 命で社会主義統治を放 棄した東欧諸国は への統合に向け、国内諸 制度の対応整備を急いで いた。旧ソ連に属してい たバルト3国を含め ヵ 国が一気に加盟を果たす
で現実となった国際テロ だから、私たちは「サミ
への戦慄と恐怖が消えず、 ットの現地取材」と言い 「サミットの原点に立ち
Untitled,(Detail 97)
5千〜7千人と言われ る警察官と軍人を動員 してカナダ史上最大の治 安作戦を実施した。カ ルガリー市内の商店主ら は板で覆って暴徒対策と する物々しさ。各国から やってきた取材陣も、軽 食や日用品の調達に苦 労した。  クレティエンはさらに、
連国際会議におけるアフ リカを主とした開発問 題、それに関連してアフ リカ諸国に自助努力を 促す「アフリカ開発のた めの新パートナーシップ=
8は、「先進主要国」を
意識して、アフリカ支援
策を打ち出すことが少な
くなかったが、方向性と
具体性という点では、こ
の年の成果が出色だった。 た」と述べ、「テロリスト  アフリカでは、直後の への支援及び聖域を否定
「東方拡大」までにはま
だ2年の月日が必要だっ
たが、グローバリズムの
波は、この時点ではまだ
音高く欧州を覆っていた。
 年初から航空機事故
が多発した年でもあった。
1月 日にインドネシア
のガルーダ航空機がジャ
ワ島の川に不時着水し
て客室乗務員1人が死
亡したのを皮切りに、4 年カルガリー五輪の会 月 日には中国国際航 場となったリゾートであ 空機が韓国・金浦空港へ ることを微かに記憶され の進入に失敗して墜落、 ていたかも知れない。 乗員乗客128人が全  ロッキー山脈東麓に抱 員死亡、5月7日には かれた人口150人余 中国北方航空機が乗客 の寒村。プレスセンター の自殺で墜落、乗員乗 が置かれたカルガリーか 客112人が全員死亡、 ら100キロ近く離れて 5月 日にも台湾の中 いる。後にも先にも、こ 華航空機が澎湖諸島上 れほど辺鄙で、取材陣 空で空中分解して海上に から遠隔の地で開かれた
 〝隠れ家サミット〟を主
催したカナダの首相クレ
ティエンは、カルガリー
からカナナスキスに至る
主要道路を全て閉鎖し、
上空には空軍のジェット
戦闘機と多数のヘリコプ
ターを配置して監視と警 ヨハネスブルグ・サミッ 備に当たらせ、地上では トに連なる一連の開発関
= Tokyo International Conference on African
った。ただこの時も、和 平に消極的としか言いよ うのないイスラエル保守 派に足を引っ張られて進 展はしなかった。  カナナスキスでのサミ
国際ジャーナリスト 内田 忠男  
世界中の反体制派が過 激行動に出る「反抗期」の ような騒然とした空気に も包まれる中、前年のイ タリア・ジェノヴァのサミ ットで反グローバリズムの 大規模デモで死者が出た こともあり、カナダは 8サミット開催地を、前 年に発表していたアルバ ータ州最大の都市カルガ リーから、人里稀な隠れ 家のような所に急遽移す 決断をした。安全を確保 したい一心だった。  カナナスキス・ヴィレッ ジ。アルペン・スキー競 技に関心が深い方なら、
ながら、会議の場所も 戻ろう」と、宣言などを 室内も、それを取り巻 廃止、行事を簡素化して、 く周りの景色も地形も 首脳同士の密な話し合い ......知らないづくめの仕 の時間を多く取る議事 儀となった。
立された。  2度目の出席となった 小泉純一郎首相は、この 議題に入ると、「アフリ カ問題の解決なくして 世紀の世界の安定と繁 栄はない」として、 年 から3〜5年おきに開 催している
「イスラエルが全占領地
運営を行なった。  議題も絞り込み、同 時多発テロ事件後のテロ 対策と主要国の協調強 化、前年 月の =世界貿易機構ドーハ会 議から、この3月の開発 資金国際会議、8月の
として承認する」と提案、 3月 日には、アラブ連 盟が「アラブ和平イニシ アティブ」を満場一致で採 択するなど、盛り上がっ てきた和平への空気を逃 すまいとの意欲の現れだ
セネガル、南アフリカの
首脳に加え、ガーナ出身
の国連事務総長コフィ・
アナンが招かれ、討議に
参加した。その結晶とし
て、前出の
に対する協力と支援の基
礎となる対応策を網羅
した「 8アフリカ行動
計画」という文書が採択
された。
 内容としては、「アフ
リカの自立促進」が強調
されたことから、支援対
象を選別することとし、 いた =政府開発
優れた統治、法の支配、 援助を重点投下する方
経済成長、貧困削減な 針などを述べて歓迎され、
どで一定の成果を上げて 大いに面目を施した。因 つながってゆく。 に戻る移動日なのだが、 いる国とのパートナーシッ みに、この  またサマリーの結び その 日に私が出演する プを強化し、国民の利益 は既に8回開催されて現 に近い「国際の平和及 定例番組(日本時間では と尊厳を無視する国は 在も続いており、9回目 び安全」に関する項では、 日朝)があった。カル 援助の対象から外した。 は 年8月に横浜で開 「我々は、イスラエルと ガリーからニューヨークに
支援の具体策としては、 くことになっている。
パレスチナの二つの国家 飛ぶ商業便では、番組の が、安全が認められた 時刻に間に合わないこと 国境の中で併存する構想 がわかり、小型ジェット を基礎とする中東平和 をチャーターして帰途につ 達成に向けた作業に対 いた。これも、アメリカ するコミットメントを強 暮らしの中で後にも先に 調した」と書き込まれた。 も例のないことであった。   年の「オスロ合意」で (敬称略、つづく)
武力紛争の解決と後始末  サミット宣言が廃止さ (地雷撤去なども含む)、 れた代わりに「議長サマ 内政ガヴァナンスの強化、 リー」が初めて発出され
貿易・投資・持続可能 た。 な開発強化と、債務救  冒頭に「この会合は、 済に向けた資金援助な 9月 日の悲惨な事件 どが盛り込まれた。 以降の我々にとり最初の
Developmentの取り組み なども踏まえ、当時はま
だかなり潤沢に支出して
会合である。テロリスト 及びそれを支援する者 が、無垢の市民及び我々 の社会に対して及ぼして いる脅威について議論し
パレスチナの暫定自治が 決まり、ようやく動き 出したかに見えた中東 和平プロセスは、国境の 確定や、エルサレムの帰 属問題で対立が深まり、 第2次インティファーダ(パ レスチナの抵抗活動)も 起きるなどして後退の印 象が強まっていたが、この 年2月にサウジアラビア のアブドゥッラー皇太子が
核・科学・放射性及び
生物兵器、ミサイル並び
に関連物質・機材及び
技術を取得または開発
するのを防止する6つの
不拡散原則について意見
の一致を見た」として、「大
量破壊兵器及び物質の
拡散に対する 8グロー
バル・パートナーシップ」
の立ち上げを宣言した。
 この部分は、アメリカ
のブッシュが強く主張した
もので、この想いが翌年 ットは6月 日に幕を閉 のイラクへの軍事侵攻に じ、翌 日はニューヨーク
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