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[ 11 ] 9/6/2024
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  始まった名古屋暮らし 幼い学生、非効率な会議
名古屋外国語大学(写真提供:名古屋外国語大学 1/CC 表示 - 継承 4.0)
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もない。安保理の機能や あまり真面目に勉強し 聴いてくれたし、質問も 構成なども全くの白紙。 なかった」という。基本的 多かった。 新聞テレビで繁く伝えら 知識とは、そうした次元  この年は、ホリエモン
授会」の非効率も驚嘆に 送ってくるようにもなった。 値した。  さて本業のジャーナリ  この年、現代国際学 ストだが、テレビ朝日系 部には、私の他にも日本 列のメーテレが朝の情報 航空で内外のホテル事業 番組に週1回、コメンテ を統括する立場を経験 ーターとしての出演枠を した 、永年キャビンア 取ってくれたのだが、数 テンダントを務めた 、 ヵ月すると、他局からも
  年4月、名古屋で の生活が始まった。フリ ーランス・ジャーナリスト という肩書きを背負った 上での大学教員という新 たな身分。勤務先となっ た名古屋外国語大学は 自宅から キロほどのと ころにあり、ニューヨーク から送った車が到着する までの2ヵ月ほどは、数 十年ぶりの電車通勤とな った。  自宅の地下鉄最寄り 駅から3つ目の駅で、大 学のシャトルバスに乗り 換える。最前列に用意 された教員用の座席に座 ると、耳元に学生たちが 車内で話す言葉が否応 なしに降りかかってくる。 真っ先に気付いたのは、 その会話の内容があまり に幼いことだった。自分 の若い頃を思い返すと、 高校時代でも話さなかっ たレベルなのである。  「テンキョウリツ」とい う言葉がしきりに聞こえ るので何のことかと訝し んでいると、やがて「日 本三景」という言葉が出 て、「天の橋立」であるこ とに気付かされた。問題 は、それを発音している 学生だけでなく、会話し ている数人の学生が一人 として誤りに気付いてい
ないのだ。「テンキョウリツ」 い。2次にわたる世界大 の学生は、岐阜県から通 戦の年代を知らないし、 っているようで、「ウチか どの国同士が戦ったのか
 欧州連合 によ
る欧州統合にも無関
心。東南アジア諸国連
合 という
機構があることも初耳
という顔をしている。 の出来事だから記憶に
国際ジャーナリスト 内田 忠男  
れたはずの平和維持活 の問題ではないと思うが、 動についても「知らない」。 この辺りが、私が出た慶
の通称で知られる堀江貴 文らによる粉飾決算な どのライブドア事件が発 覚して話題になっていた。 アメリカでは巨額の不正 経理・不正取引による 粉飾決算が明るみに出て
らどう行くんだろう?」
と聞いているのだが、誰
も答えない。
 大学の教科では、タイ う感想を聞いて驚かされ トルは何度か変わったが、 る。思わず吹き出してし 私には一番重要性が高く まったのは、太平洋戦争 メインの科目との認識が の発起点となったPearl あり、「国際関係原論」の Harborについて、「どこ つもりで取り組んだ。 にある?」と聞いたのに  国際関係を形作るのは 対して、「三重県」と大 まず国家だから、「国家 真面目に答えた学生がい とは何か」から話を始め たことだった。 る。「国家の3要素とは  国際連合という機関 何か」と問うても、誰も が、どこに本部を置いて
應義塾とこの大学の偏差 値の差なのだろうか。  「現代アメリカ事情」 という教科も担当した。 赴任当初はまだ5年前
答えない。「領土・領海と、 そこに住む民、そして主 権」だと話してもキョトン としている。領海を規定 するのが「国連海洋法条 約」だとして、内容を詳 しく丁寧に説明するのだ が、それを尖閣諸島に 関連づけて中国の対応を 論ずる意識も見られない。
いるか知らない、創設の 経緯も、日本がいつ加盟 したかも知らない、現在 の加盟国数など知る由
6月初めに代表の村上 世彰が逮捕された。村 上は東大法学部を出て 当時の通産省に 年間 勤務するうち、コーポレ ート・ガヴァナンスの重 要性に気付き、自らファ ンドを立ち上げて「モノ 言う株主」になった。その 過程でインサイダー取引 に手を出したのを東京地 検特捜部に摘発されたの だった。  こうした事件の説明と ともに、企業決算や金 融取引の実態にも踏み込 んだ。学生からは「ヘッジ ファンドって何ですか」な どの質問が出て、それら にも丁寧に応対した。
それを修正することもで
きず追認するだけなのに、 できた。帰国したことで
「尖閣」と言っても、どこ にあるかさえ知らぬ学生 が大半なのだ。受講者 が300人前後に及ぶ 大教室での講義だったが、 ここでも学生たちの基本 的な知識レベルの低さに 驚かされた。  世界史を動かしてきた 重要事件について全くと 言って良いほど知識がな
ったのだろう。ほぼ一方  驚かされたのは学生の 的な講義だったが、よく レベルだけではない。「教
その議題を延々と小田
原評定する。決定する
議案があっても、決議に
行き着くまでの時間が信
じ難いほどに長い。新参
者がいきなり不満を言う
のも非礼と考えて、ひた
すら我慢の時を過ごす
のだが、その限度も超え
て、ついには、「この話、
いつまで続けるのですか? 
この時間のかけ方は民間 の末、アメリカの永住権 企業ではあり得ない」と は放棄することにした。 発言してしまう。それが 借りていた住居は「買って 評定の終わりに帰結する 下さい」と言う家主さん のだった。外国人教員も の要望に従った。 かなりの数がいる。彼ら  これが現在に続く名古 が、私たちの「終了宣告」 屋暮らし延長の顛末であ に期待するようになって、 る。(敬称略、つづく) 頃合いが来るとサインを
も確とは判らない。「日 本はアメリカと戦争した ことあるんですね」とい
報道に長く勤め た と、いずれもアカデ ミア以外、実社会から 転向してきた4人の新任
オファーが来るようになっ た。初めは日本テレビ系 列の中京テレビで、「名 古屋にお住まいとは知り ませんでした」と、まず 午後のバラエティ番組に 1クール出演した後、夕 方ニューズのコメンテータ ーを週2回務めることに なった。さらにフジ系列 の東海テレビでも、昼前 の情報番組のコメンテー ターに週1回の出演枠が
諸国の全て 新しいと考えて、「9・ が、第2次大戦中は日 」の同時テロから話を
年 月に破綻、「エン
ロン・ショック」と呼ばれ
た事件があり、元会長
らが5月 日に有罪判
決を受けたことも引き合
いに、企業の不正行為に
ついて説明した。
 このライブドア事件
から派生した形で、「村
上ファンド事件」が起き、 決議事項で、教授会は
本の占領地だったという 話をすると、「へぇー」と びっくりしている。   そうした学生たちに、 高校で「世界史」を選択 しなかったのか聞くと、 大半が「習いました」と 答える。それなら、基本 的知識が少しはあって良 かろうと思うのだが、「日 本史より暗記する項目 が少ないから取ったので、
始めようとすると、意外 なほど知らない。「中学 生時代のことで、新聞や テレビも見なかった」とい う。あれほど世界の耳目 を集めた事件でも関心 を持たなかったのか、重 ねて問い返す無駄を悟る しかなかった。  総じて言えば、身近に あるはずの時事問題に関 心が薄く、その成り行き はもとより、背景や原因、 結果、近未来の見通し などに思考が及ばない学 生が大半だった。  ただ、「そう捨てたも のでもない」と思われた のは、「国際経済速報」 という科目だった。  発表される日本国内 や世界主要国の経済指 標も含め、最新の経済 情勢や経済事件について 解説するもので、 人く らいが選択して集まった。 好奇心の強い学生たちだ
教授がおり、新人同士、 一緒に会議に臨むことが 多かったが、皆同じよう に教授会を苦痛に感じて
いた。  まず、議題のつまらな さ。多くが評議員会の
講演の依頼も増えたか ら、まさに「大忙し」であ る。当初計画した4年 の名古屋暮らしは、アッ という間に期限を迎える こととなった。大学は「、客 員教授」として残って欲 しい、「研究室もそのま ま使って下さい」という。  「これではアメリカに 帰れない」――妻と相談

























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