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「主役」と「裏方」
互いが必要不可欠な存在に
藤本まり子 + 鉢迫翔太
画家 キュレーター / プランナー
画家・藤本まり子(左)と、キュレーター・鉢迫翔太
「Enduring Presence/ なくなりはしない」
「生き物を観察し たり、絵を描くこと は子どもの頃から好 きでした」と話すのは、 ブルックリンを拠点に 活動する画家、藤本 まり子。引っ込み思 案で泣き虫だったとい う彼女は、描いた絵 を家族から褒められ るのがとても嬉しかっ たという。 そんな藤本の作品
神奈川県出身の鉢迫 ている人物画。『生き 学。在学中に、松山 は共に1991年生 る哲学』を『私日記』 スタジオの存在を知
彼らを支えるキュレー
ターの存在は不可欠
だ。
鉢迫「アーティストが
持つ『こだわり』を理
解しサポートするの が自分の役目。逆に、 うな関係=鉢迫」と
をキュレーションするの という気持ちです」と が、鉢迫翔太(はち 藤本。コロナ禍で帰 さこ・しょうた)だ。 国する先輩から松山 藤本とは対照的で、スタジオに誘われた
知人が多くなったので プロジェクトマネージャ ます」 すが、日本は経済大 ーとして活動。現在 藤本「他者、特にプ 国でありながら、い は主に、藤本の展示 ロフェッショナルな視点 まだ、アートマーケッ 会やイベントのキュレ で鑑賞してもらうこ トは世界の1%未満。 ーション、マネージメ その理由の一つとして、 ントなどを精力的に
たせると考えていま す。二人の得意分野 が高い親和性を持っ ていることから、彼 女の作品をプロデュー スすることで、より 多くの人々にその魅 力を伝えることがで きると思っています」 藤本「翔太さんのよ うな存在は、私の作 品を世界により良い 形で、より伝わりや すく届ける為に必要 不可欠です。彼のキ ュレーションで、私の 日記的な作品が自分 だけの視点だけでは なく、さらに多くの『意 味』を持ち、昇華さ れるのを目の当たり にしてきました。翔 太さんの才量と、キュ レーターという職業に 感銘を受けています」 ◇ 最後に、「遊びでも 仕事でも、今、一番 やりたいこと」を尋ね た。 「グランドキャニオ ンの様な、広大な自 然を観に行って打ち のめされる経験をし たい=藤本」 「強いて言うなら、 グランドキャニオンの 様な広大な自然の中 で、キャンプをしてみ たい=鉢迫」 示し合わせたよう な返答に思わず顔を 見合わせて笑う。息 もピッタリなふたり だった。
「海外で過ごした影 ことから、2021
とで、自分では気が 付けない部分がわか ります。翔太さんか らのアドバイスや視 点は、私にとってよ り良い作品作りに繋 がり、とても助かって
響もあり、幼少期か
ら人見知りせず、誰
にでも積極的に話し
かける子どもだった」
という。
そんなふたりが出
会ったのは、ブルック 「窓」として捉える。 リンのアートスタジオ 「私の絵は、『神』
まれ。同じ地域性、 に変換して伝えてい
った。
「松山さんのビジョ
ン(ニューヨークを拠点
に世界のアート業界
で活躍すること)と、 持たないこと』にこだ
私のビジョン(日本に わっているかもしれま
おけるアートマーケッ せん。『こだわり』が
ト拡大)が共鳴しま 良い方向に作用する
した。異国の地で日 こともありますが、 通の舞台で表現をす 本人として奮闘し、時にはそれが『エゴ』るという覚悟を持って 松山さんの経験から として衝突を生む。います。まり子さん 多くを学べると感じ、 キュレーターとは、限 が非言語的で感覚的 さらに私の金融業界 られた時間の中で、 な手法を用いて作品 での経験を活かせる いかにアーティストの を制作する中で、私 かもしれないと」 表現を最大限に再現 はその作品を言語化 2023年、松山 できるかをマネージす し、鑑賞者と作者を スタジオに所属し、ることだと考えてい 結びつける役割が果
同じ時代を生きてき たことから「共感で きる部分が多い」と、 声を揃える。
ます」
◇
◇ 「物心ついてから、
ずっと絵が好きでした
ので、今の仕事には『繋 がるべくして繋がった』然にもアーティストの
年に来米した。 人物にフォーカス を当てる藤本は、描 く絵について、「こち ら側(鑑賞者)」から、 向こうの世界を覗く
アーティストを支える エコシステムが未構 築だということに気
手がけている。
「松山スタジオ」だ。 など人以外のモノを、 Sotheby's Institute of 東京出身の藤本と、『人の形』として描い Art の修士課程へ進
「作品」であり「作家」 います」 だが、その「裏」で、 キュレーターとアー
一方、鉢迫は金融 業界から、アート業 界に移ったという異 色の経歴を持つ。 「もともと現代アー トに興味があり、偶
『自分のこだわりを
話すふたり。 鉢迫「私たちは異な る立場ですが、ニュー ヨークという異国の 地で、芸術という共
がつきました」 アートビジネスを 学ぼうと考えた鉢 迫は、ニューヨークの
アーティストと キュレーターの関係 アート展の主役は
ティストの関係につい て、「加速装置、ブ ースターとエネルギー のような関係=藤本」 「漫画家と編集者、 芸人と放送作家のよ