2020年1月10日号 Vol.365

「2001年宇宙の旅」で
キューブリックが描いた未来
「エンビジョニング2001」


ロイ・カーノンによるコンセプトアート(左)とグラビウス基地で着用された宇宙服 Photo: DFF/© Sophie Schüler


ボーマンが辿り着いた「ホテルルーム」での撮影風景。中央カメラ後方に立つキューブリック監督  Photo Courtesy of Warner Bros


ハーディ・エイミスによるコステューム・デザイン画 Photo: DFF/© Sophie Schüler


アストリアの映像博物館「ミュージアム・オブ・ザ・ムービング・イメージ」で1月18日(土)から7月19日(日)まで、SF作家のアーサー・C・クラークと、スタンリー・キューブリック監督が手掛けた映画「2001年宇宙の旅」を題材にした展示が開催される。
1968年に公開された「2001年宇宙の旅」は、人間とテクノロジーの関係、人類の進化をテーマにしたSF映画の金字塔だ。
物語は、猿人が謎の黒い石板「モノリス」に触れたことで道具を手にし、「ヒト」へと進化。やがて宇宙へ進出するまでに発展する。人類は「モノリス」の謎を解き明かそうと、初の有人木星探査に出発した。そんな旅の途中、宇宙船ディスカバリー号をコントロールしていたAI(人工知能)の「HAL9000」が反乱を起こし、次々と乗組員を殺害していく…。

現在のような視覚効果(VFX)やコンピュータグラフィックス(CG)が無かった時代、斬新なアイデアと手法で作り上げた作品は、後の映画制作にも大きな影響を与えた。マジックミラーを使用して2つの映像を重ねる「フロント・プロジェクション」、切れ込みが入った紙を利用し撮影する「スリットスキャン」、無重力の宇宙船内を歩いているように見せるため、回転する直径約10メートルの巨大セットを作ったことは、大きな話題となった。

展示は、映画のコンセプトアート、ストーリーボード、テストフィルム、特殊効果に関する写真や資料に加え、クラビウス基地で着用された宇宙服、猿人「ムーン・ウォッチャー」の衣装(着ぐるみ)など多数。1960年代に、「2001年」という未来を描くために考案された革新的な方法を紹介すると同時に、キューブリックがもたらしたその後の影響力を見ることができる。

オープニングに先駆けた17日(金)、特別上映会(60ドル)が開催。午後5時から「ムーン・ウォッチャー」を演じたダニエル・リヒターによるギャラリートーク、7時からはリヒターとボーマン船長役のキア・デュリア、カタリーナ・キューブリックなどによるディスカッション、7時半から「2001年宇宙の旅」が上映される。詳細はウェブサイトで確認を。

Envisioning 2001: Stanley Kubrick's Space Odyssey
■1月18日(土)〜7月19日(日)
■会場:Museum of the Moving Image
 36-01 35 Ave, Astoria
■一般$15、学生/シニア$11
 9-17歳$9、3歳以下無料
www.movingimage.us



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