2021年1月15日号 Vol.389

ペンステに新しく駅舎が誕生
3つのパブリックアートも新設
モイニハン・トレイン・ホール

①アムトラックとLIRRの新しいハブ「モイニハン・トレイン・ホール」 Photo © governorandrewcuomo)

ミッドタウンのペンステーションに2021年1月1日、新しい駅舎「モイニハン・トレイン・ホール(Moynihan Train Hall・以下MTH)=写真①=がオープンした。郵便局として使用されていた築100年以上の歴史的建造物「ジェームス・A・ファーレービル」の内部を改装(郵便局は従来通り営業)、2016年に着工したもので予算16億ドル。今回のプロジェクト推進者で、NY州上院議員だった故ダニエル・パトリック・モイニハン氏にちなんで名付けられた。

MTHは、アムトラックとロングアイランド鉄道(LIRR)の新しいハブで、ペンステにはMTA、NJトランジット、アムトラックの深夜便(午前1時から午前5時まで)が従来通り乗り入れる。7番街と西33丁目角には新しい出入口=表紙写真=も登場し、オフィスや店舗、レストランなども入店予定。今秋にはフードホールのオープンも計画されている。

★パブリックアート
自然の光を取り入れたモダンなアトリウム・デザインのMTH。浮かぶような時計、無料のWi-Fi、一流作家によるパブリックアートも設置された。

スタン・ダグラス
カナダのバンクーバー在住アーティスト、スタン・ダグラスは、「ペンステーションの半世紀(Penn Station's Half Century)」=写真②=と題した9枚の写真パネルを制作。1910年に開業し、1963年に取り壊された、かつてのペンステーションの姿を再構築。膨大なアーカイブ資料を調査し、デジタル技術と写真を融合させ、忘れられた街の歴史を鮮やかに呼び起こす。

②Stan Douglas, 22 April 1924 and 7 August 1934,from “Penn Station’s Half Century” (2020). Photo by Nicholas Knight, courtesy of the artist, Victoria Miro, David Zwirner, Empire State Development, and Public Art Fund, New York.


エルムグリーン&ドラッグセット
デンマーク生まれのマイケル・エルムグリーンと、ノルウェー生まれのインガー・ドラッグセットは、ドイツのベルリンを拠点に活動するデュオ・アーティスト。天井からビル群が生えているような「ハイブ(The Hive)(ミツバチの巣の意)」=写真③=は、シカゴ、香港、クアラルンプール、ロンドン、パリのランドマークと、象徴的なニューヨーク市のシルエットを組み合わせた。LEDライトで輝く建物は、ハチの巣のように複雑で進化する「建築」と、人間が作り上げた「建造物」をリンクさせ、「自然と人造」の繋がりを思い起こさせる。

③Elmgreen & Dragset, The Hive (2020) . Photo by Nicholas Knight, courtesy Empire State Development and Public Art Fund, New York.


ケヒンデ・ワイリー
オバマ大統領の肖像画を描いたことでも知られるケヒンデ・ワイリーは、ロサンゼルス生まれ、ニューヨークとセネガルを拠点に活動するアーティスト。天井に設置され、LEDライトで照らされた3つのステンドグラス「ゴー(Go)」=写真④=は、ブレイクダンスやモダンダンスをする黒人とラテン系の青年たちがモチーフ。伝統的なヨーロッパの天井フレスコ画をイメージし、天に昇る聖人や天使を、ストリートファッションに身を包んだ青年たちに置き換えることで、溢れんばかりのニューヨーカーを表現。騒々しいと感じる周囲の喧騒すべてが、一人ひとりの個性であることを想い起こさせ、都市環境を「天の夢」として描いている。

④Kehinde Wiley, Go (2020) . Photo by Nicholas Knight, courtesy of Sean Kelly, New York, Empire State Development and Public Art Fund, New York.




Moynihan Train Hall
at New York Penn Station
■営業時間:5:00am〜翌日1:00am
※アムトラックの深夜便は従来のペンステに発着
www.amtrak.com/moynihan-train-hall



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