2024年1月26日号 Vol.462

展示会「極秘のこだわり」
画家ポール・ジェンキンスと日本美術コレクション

日本クラブは、アメリカの抽象表現主義画家ポール・ジェンキンス(1923〜2012年)と、妻スザンヌ(1948〜2023年)の日本美術コレクション展「極秘のこだわり」を、2月9日(金)から3月1日(金)まで開催する。会場は、同館7階「日本ギャラリー」、入場無料。

ポール・ジェンキンス (1923-2012) “Phenomena Taught Reel” Paul and Suzanne Jenkins Estate Foundation 所蔵

タイトル通り、展示作品の数々はジェンキンス夫妻のニューヨークの自宅やスタジオ、パリのスタジオ以外の場所では、これまでまとまって公開されたことがない。

共同キュレーターは、マーサ・ブラックウェルダー、堀佐知子。70点に及ぶ展示作品は、根付、浮世絵、巻物の断、武具、文楽人形の頭、能面と狂言面、漆、陶器など多岐にわたる。加えて、ジェンキンスによるコラージュ作品も含まれ、ジェンキンスの日本美術へのこだわりを感じることができる展示となっている。
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ジェンキンスは、ポロック、ロスコ、マザーウェルなどと同時期に活動した画家。型破りな絵の具の注ぎ方、豊かな色彩の抽象画作品で知られる。

ジェンキンスがアジアの芸術と文化に魅了されたのは、10歳の頃だった。故郷はアジアン・アートコレクションで知られるミズーリ州カンザスシティ。そこにあるネルソンギャラリー(現在のネルソンアトキンス美術館)を頻繁に訪れていたことがきっかけだった。昼食代を貯めて根付を買ったほど、日本美術に夢中になったという。

成人し、バージニア州海軍航空隊に入隊していた21歳の頃は、浮世絵師・勝川春光(1743〜1812年)などの作品を真似て描いていた。

その後、ニューヨークのアート・スチューデント・リーグで油絵を学び、1950年代初頭には日系アメリカ人画家・国吉康雄(1889〜1953年)に4年間師事。その後パリに移り、葛飾北斎の絵手本、北斎漫画、富嶽百景の絵本(全3冊)を入手。北斎の絵を熱心に模写し始める。

ジェンキンスは、浮世絵の大御所に大いに影響され、学んだと書き残している。手記に、1964年大阪の具体ピナコテーカに出展した際、具体ムーブメントの創始者・吉原治良(1905〜1972年)に助けられ、文楽人形の頭をまとめて購入したことなどにも触れられている。

■2月9日(金)〜3月1日(金)
■会場:日本ギャラリー(日本クラブ7階)
 145 W. 57th St., 7th Fl.
■入場無料
■問合せ:gallery@nipponclub.org
www.nipponclub.org


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