2019年2月8日号 Vol.343

ドニゼッティのオペラ・コミック
連隊育ちの娘をめぐる物語
「連隊の娘」

連隊の娘
Pretty Yende as Marie in Donizetti's "La Fille du Régiment." Photo: Roberto Alcaín / Teatro de la Maestranza

連隊の娘調A scene from Donizetti's "La Fille du Régiment." Photo: Marty Sohl / Met Opera

連隊の娘
Pretty Yende as Marie in Donizetti's "La Fille du Régiment."  Photo: Roberto Alcaín / Teatro de la Maestranza


かつて、「キング・オブ・ハイC」と呼ばれ一世を風靡した故ルチアーノ・パヴァロッティ。この代名詞となったのが「連隊の娘」のトニオが歌うハイC(高いド)が、なんと9回も繰り返し歌われるアリア「友よ、なんと嬉しい日」。このアリアを歌いこなせるテノール歌手は、滅多にいない。したがってこのオペラ「連隊の娘」は、このアリアが歌える歌手が見つからなければ上演できないのだ。パヴァロッティ亡き後は、フアン・ディエゴ・フローレスが引き継ぎ、そして今シーズンは、ハヴィエル・カマレナが美声を披露する。
メキシコ出身のカマレナは、2004年のオペラ・デビューが「連隊の娘」で、彼の十八番!の演目だ。相手役マリーに扮するプリティ・イェンデも超絶技巧なアリアで対抗する。
作曲者のドニゼッティは、生涯約75作品ものオペラを作曲。METでもお馴染みの「ランメルモールのルチア」「愛の妙薬」「アンナ・ボレーナ」「ドン・パスクァーレ」など悲劇から喜劇まで、あらゆるジャンルにわたっている。彼の作品には、心理描写とドラマティックな音楽構成が結び付き、聴衆にアピールする感情的なアリアで高潮に到達する要素に長けている。
今シーズンのキャストは主役の2人のみならず、ステファニー・ブライズ、アレッサンドロ・コルベッリといった演技派のベテランがわきを固めていて、超楽しめる舞台間違いなし!

▼あらすじ
1815年のチロル地方とパリが舞台。
フランス軍連隊の営内にある売店、酒保(しゅほ)で働くマリーは、幼い頃、戦場で軍曹に拾われ連隊で育てられたというアイドル的な存在。そんなマリーは、山の中で命を助けてくれたチロルの若者トニオに恋をしている。
公爵夫人が行方不明になった妹の娘を捜していたが、その女の子がマリーであると判明する。パリの公爵夫人の館に連れて行かれたマリーは、着飾られ、押し付けられるたくさんのお稽古ごとに、うんざり。軍曹も連隊を離れ、その館で執事を務めているが、マリーと2人で連隊の歌ばかり歌っていた。そこへ、大尉に昇進したトニオが連隊と共に訪れ、マリーと再会する。公爵夫人は、マリーが実は自分の娘であると告白し、トニオとの結婚を許す。(針ケ谷郁)

LA FILLE DU REGIMENT フランス語上演
■2月7日 / 11日 / 15日 / 18日 / 23日 / 26日
 3月2日(M)
■ガエターノ・ドニゼッティ作曲
■初演:1840年2月11日パリのオペラ=コミック座
■演出:ロラン・ペリー
■指揮:エンリケ・マッツォーラ
■配役:マリー:プリティ・イェンデ
    トニオ:ハヴィエル・カマレナ
    ビルケンフェルド公爵夫人:ステファニー・ブライズ
    軍曹シェルピス:アレッサンドロ・コルベッリ
    マウリツィオ・ムラーロ
■チケット:212-362-6000
www.metoperafamily.org


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