2024年2月23日号 Vol.464

世界を震撼させた日本映画
“見えない恐怖”を映像化
「ジャパニーズ・ホラー」

「ジャパニーズ・ホラー」の古典や奇作を集めた映画上映会が3月1日(金)から14日(木)まで、ソーホーの「フィルム・フォーラム」で開催される。「国際交流基金(ジャパン・ファウンデーション)」との共催。サイレント映画から21世紀初頭の作品まで、90年に渡って制作された24本を上映する。

①「東海道四谷怪談」©Kokusai Hoei co.,ltd.

「怪談」や「怪獣映画」の代名詞として知られる「ジャパニーズ・ホラー」。ハリウッド映画の血しぶきが飛び散る生々しい「スプラッター・ムービー」とは一線を画し、心理的恐怖や緊張感、超常現象に焦点を当てているのが特徴だ。「見えないモノを描き出す」という日本独自の世界観によって生まれた「ジャパニーズ・ホラー」は、海外でも評価が高い。
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中川信夫監督の「東海道四谷怪談」(1959年)=写真①=は、古典の名作と評される日本の怪談話を映像化した時代劇。夫に惨殺されたお岩さんが幽霊となって復讐する物語で、怪談映画最高傑作のひとつ。

同じく、中川監督の「地獄」(1960年)=写真②=は、針山や血の池など、日本古来の「地獄絵図」を映像化しただけでなく、人間の罪と救済を描いた秀作。

②「地獄」©Kokusai Hoei co.,ltd.

衣笠貞之助監督の「狂った一頁」(1926年)は、小説家の川端康成が原作・脚本を手がけたサイレント映画。虐待し発狂させてしまった妻を見守るため、彼女が入院している精神病院で小間使いとして働く男の物語。「日本初のアバンギャルド映画」として知られる古典。

勅使河原宏監督の「他人の顔」(1966年)=表紙写真=は、安部公房の同名小説が原作。化学研究所の爆発事故で顔に大火傷を追った「ぼく」が、精神科医が制作した「仮面」をつけることで別の人物に。個人のアイデンティティー「顔」がもたらす人間関係を鋭くえぐる。

③「盲獣」©1969 Kadokawa Pictures

増村保造監督の「盲獣」(1969年)=写真③=は、江戸川乱歩の同名小説が原作。盲目の男に拉致・監禁されたモデルのアキ。「触覚」を頼りに彫刻を作る男は、理想の「女体」を求めていた。乱歩の幻想的で怪奇なマゾヒズム小説を、増村監督が見事に映像化した異色作。

④「ゴジラ」

本多猪四郎監督の「ゴジラ」(1954年)=写真④=と「モスラ」(1961年)は共に、特殊撮影技術の第一人者で「特撮の神様」とも呼ばれた円谷英二が手がけた東宝制作の怪獣映画。特に「ゴジラ」は、その後に続く「ゴジラ映画」の原点で、今もなお世界に影響を与え続けている。

⑤「リング」

中田秀夫監督の「リング」(1998年)=写真⑤=は、鈴木光司の同名ホラー小説が原作。「見ると死んでしまう」という謎のビデオテープを軸にしたホラー・サスペンスだ。「呪い」という目には見えない恐怖を映像化し体現させた本作は、世界各地で「ジャパニーズ・ホラー」ブームを巻き起こした。

全作品リストおよび上映日程などの詳細は、オフィシャルサイトで確認を。

JAPANESE HORROR
■3月1日(金)〜14日(木)
■会場:Film Forum
 209 W. Houston St.
■Box Office: 212-727-8110
■一般$17、メンバー$11
https://filmforum.org

★上映作品(カッコ内は邦題)
・ONIBABA(鬼婆)
・THE GHOST OF YOTSUYA (東海道四谷怪談)
・KURONEKO (BLACK CAT)(藪の中の黒猫)
・AUDITION(オーディション)
・UGETSU(雨月物語)
・THE FACE OF ANOTHER(他人の顔)
・RING(リング)
・MOTHRA(モスラ)
・A PAGE OF MADNESS(狂った一頁)
・THRONE OF BLOOD(蜘蛛巣城)
・GODZILLA(ゴジラ)
・HOUSE(ハウス)
・KWAIDAN(怪談)
・CURE(キュア)
・PULSE(回路)
・BLIND BEAST(盲獣)
・THE INVISIBLE MAN VS. THE HUMAN FLY
 (透明人間と蝿男)
・BLIND WOMAN'S CURSE(怪談昇り竜)
・DEMON POND (夜叉ヶ池)
・DARK WATER(仄暗い水の底から)
・JIGOKU(地獄)
・YOTSUYA KAIDAN(四谷怪談)
・HORRORS OF MALFORMED MEN
 (江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間)
・ICHI THE KILLER(殺し屋1)


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