2024年2月23日号 Vol.464

第三者の目を通して描かれたジュディ・ガーランド
一人芝居「虹のかけら ~もうひとりのジュディ」上演へ
戸田恵子(女優・声優・歌手)

女優・声優・歌手として活躍する戸田恵子さんの一人芝居「虹のかけら 〜もうひとりのジュディ」が6月25日(火)・27日(木)、カーネギーホールのワイル・リサイタル・ホールで開催される。

1月下旬、来米中の戸田さんを、ニューヨーク公演の実現に協力したフジサンケイ・コミュニケーションズ・インターナショナル(FCI)に訪ね、話を聞いた。

「プレッシャーはありますが楽しく演じたい」と戸田さん(Photo by KC of Yomitme)

本作は三谷幸喜が作・脚本・演出を担当し、2018年に初演。チケットは即日完売し、翌年には全国23ヵ所でツアー公演を開催、好評を博した。

「当初、60歳の記念として皆さんへ舞台作品をお届けしたいと考え、三谷さんに制作をお願いしました。『作品』として一人で演じられるもの…例えば、有名な歌手、江利チエミさんや笠置シヅ子さんなどの歌を歌いながら、その人生を綴るというような舞台。すると、三谷さんから『ジュディ・ガーランドはどうですか?』とご提案いただきました」
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映画「オズの魔法使い」のドロシー役で一躍有名になった、ハリウッド女優で歌手のジュディ・ガーランド。その名を知らなくても劇中歌「オーバー・ザ・レインボウ(虹の彼方に)」を聞いたことがある人は多いだろう。

ガーランドの付き人で専属の代役だったのが、同じ名を持つジュディ・シルバーマン。長年、ガーランドの傍らで彼女を観ていたシルバーマンの目を通して、ガーランドの数奇な人生を描いたのが本作「虹のかけら〜もうひとりのジュディ」だ。

「三谷さんは、ジュディ・ガーランドは私にぴったりだと言ってくださいましたし、何より彼女のような素晴らしい方を選んでいただき、大変嬉しく思っています」

ジュディ・ガーランドがドロシー役を演じたのは16歳(映画封切り時は17歳)。戸田さんが演歌歌手デビューを果たしたのも16歳。三谷氏の綿密な計算かもしれないが、運命的な繋がりを感じる。

「虹のかけら~もうひとりのジュディ」のメインイメージ

ニューヨークには年に1度か2度、訪問しているという戸田さん。

「ニューヨークはアグレッシブでパワー、影響力のある街。これまでは感じませんでしたが、最近はその圧力に少々圧倒されています。私も歳を重ねてきました」と笑う。

今回の会場は、世界最高峰の舞台、カーネギー・ホールだ。

「カーネギー・ホールの楽屋入り口には、ジュディ・ガーランドの写真が飾ってあるんですよ! その人生を私が語れるなんて、大変光栄な思いです」と目を輝かせる。

「初演に、カーネギー・ホールと繋がりのある方がお越しくださいまして、『カーネギーで上演されてはいかがですか?』とご提案いただきました。『そんなこと出来るんですか?』って半信半疑で(笑)。ですが、やれるものならやりたいと準備を進めていましたが、コロナの影響で計画がストップしてしまったんです」

2020年にロックダウンが始まり、話が頓挫。「これで立ち消えになってしまうのだろう」と思っていたところ、昨年になり再始動。今年の公演に繋がった。

「精一杯、頑張ります!」と戸田さん(Photo by KC of Yomitme)

初演から5年。「ジュディ」に対する新たな理解や、演じる上での心境の変化などはあるのか。

「特に変化はありませんが、やはり前回よりも増して体力的にどうだろうか? という部分はありますね(笑)。いずれにしても、還暦を過ぎましたので、まずは元気でいることに気を使っています」

「歌手」「女優」「声優」と、マルチな才能を発揮し活動する戸田さん。

「それぞれの仕事には、それぞれの決まり事もありますが、すべて『女優』の一部ととらえていますので、大局的な違いはありません。ただ、一人舞台ですので、歌って話して演じてと結構やることがたくさんある上に、『自分以外、頼れる人は誰もいない』というプレッシャーはあるけど、内容はしっかり練ってあるので楽しめれば。ジュディ・シルバーマンの目を通して描く『ジュディ・ガーランド』の物語。言わば一人の人間のフィルターを通して観た物語に、第三者の『戸田恵子』というストリーテラーが加わる…一層面白いショーに仕上がっています!」

会場がコンサート・ホールということもあり、日本で上演された内容よりも多少「コンサート的」な部分があるかもしれない、と説明する。

「『ジュディ・ガーランド』を知らない方は多いですが、素晴らしい才能に恵まれていた人物です。数奇な運命を歩んできた一人の女性、ジュディ。彼女が歌った歌を散りばめた全編日本語公演ですので、きっと楽しんでいただけます。ぜひお越しください!還暦をとうに過ぎた私の体力だけが心配ですが、精一杯、頑張ります!」と、力強く笑った。

■6月25日(火)・27日(木)8:00pm
■会場:Weill Recital Hall/Carnegie Hall
 881 7th Ave.
■ボックスオフィス(CarnegieCharge) :
 Tel:212-247-7800
■チケット:$80〜(開催日90日前から発売)
www.carnegiehall.org
★公式サイト: https://nijinokakera.jp


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