2021年2月26日号 Vol.392

アジア系へのヘイトクライム増加
NY市、新たな対応策を発表
#StopAsianHate


NY市が制作したアニメ。日本語を含む数カ国語の字幕バージョンがあり、人種や性別、宗教、障碍、移民資格などによる差別は犯罪であると呼びかけている(クリックで再生)

2月25日(木)午後6時20分頃、マンハッタンのチャイナタウンで、アジア人男性が刺される事件が発生。NY市警(NYPD)によると、Worth Street と Baxter Streetの交差点付近で歩道を歩いていた36歳のアジア人男性に、何者かが背後から近づき、体を刺して逃走した。被害者はベルビュー病院に搬送され、重体。すでに、ブルックリン在住のサルマン・ムフリヒ(Salman Muflihi、23歳)が逮捕、起訴されている。

デ・ブラシオNY市長は、ニューヨークでアジア系に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)が多発していることを受けて2月23日、NY市の新たな対応策について発表したばかり。

2月は中国の伝統的な祝日「旧正月(春節)」ということもあり、アジア系への嫌がらせや暴力が増加、特に高齢者が襲われたと報告。アジア系被害者は、主に言語の問題から警察への被害届を出さないケースも多いことから、実際にはもっと多くの被害者がいると考えられている。

NY市では、「ストップ・アジアン・ヘイト(Stop Asian Hate)」と題し、アジア人に対する偏見・差別・憎悪に対処するためのツールキットを制作・配布。また、「被害者が発言することが重要である」とし、事件を報告しやすいように、新たな差別報告サイトを設置。同サイトを利用するほかにも、ハッシュタグ#StopAsianHateを使用して、被害を報告・共有するよう呼びかけている。



市長は、「コロナ禍で全てのコミュニティが苦しんだが、アジア系アメリカ人コミュニティだけが直面している苦痛がある。ウイルスに対する苦しみ、ビジネスや愛する人を失う苦しみに加え、差別や憎しみに対しても、我々は立ち向かわなければならない」と発言。トランプ前大統領が、新型コロナウイルスを「チャイナ・ウイルス」と呼んだことが、人種差別を助長したと非難した。

NY市の差別撲滅キャンペーン「私はまだ、私たちの街を信じている」のポスター

NYPDもまた、地下鉄の構内や車両に500人の警官を増員・配備し、パトロールを強化すると発表。同時に、地下鉄やバスを利用する際の安全対策について、フライヤー(下記)で案内している。NYPDは昨年10月、アジア系警察官25人で構成した「アジア系ヘイトクライム・タスクフォース」を編成。被害現場での対応から法的手続きまでを支援している。

■NY市・差別報告サイト
Tel:212-416-0197

■NYPD Hate Crime Task Force
Deputy Inspector Mark Molinari
Commanding Officer
Hate Crime Task Force
19 ½ Pitt St. 3rd Fl.,New York, NY 10002
TEL: 888-440-HATE
hctf@nypd.org
www1.nyc.gov/site/nypd


HOME