2018年3月16日号 Vol.321

海洋探査の黄金時代
海を守る科学者の取り組み
「まだ見たことがない海」アメリカ自然史博物館


@イントロダクションは「バーチャルビーチ」 (All photos by KC of Yomitime)


Aプランクトンの模型


B実物大のクジラ。180度スクリーンをゆっくりと泳ぐ (All photos by KC of Yomitime)


C深海の圧力によって縮んだコップ


アメリカ自然史博物館(AMNH)で3月12日(月)から、海洋生態系を紹介する特別展「まだ見たことがない海(Unseen Oceans)」が始まった。海洋探査における最新情報や最先端技術なども交え、多方面から考察する。
地球は、表面の70%以上が海に覆われている「海洋惑星」。しかしこの広大な領域は、ほとんどが探査されていなかった。近年のロボット工学や衛星画像、高精細イメージ撮影などの発展により、ようやくその現場も変化。海面から深海へと目を向けた科学者たちは、多くの新発見に遭遇している。

展示は大別して8セクション。入口を入るとすぐ、床に投影された「波」が来場者を出迎える=写真@=。波音も聞こえるバーチャルビーチだ。
「ミステリアスな漂流者」セクションでは、「プランクトン」について学ぶ=写真A=。小さなプランクトンは多種多様で、ほぼ全ての海洋生物の生命を維持しているという重要な生き物だ。
「秘密の生命」セクションでは、魚や生物が様々な「色」を発している様子を再現。科学者たちは、生物が光を吸収して変換、異なる色で放出する現象に着目。夜間に深い海へ潜り、特殊な照明器具やカメラで撮影することで、多数の海洋生物が蛍光を発していることを発見した。
「巨人との出会い」セクションでは、実物大のクジラやエイ、マンボウなどに遭遇する=写真B=。円形フロアーの壁面180度スクリーン一杯に巨大な生物たちが泳ぐ様子は圧巻。
「深海へ」セクションでは、海流、海溝、地形などについて解説がなされ、続く「ダイビング」セクションでは、実際に深海で撮影された映像をループ上映。まるで自分が海面から海底へ探検に訪れたような演出だ。また、発泡スチロールのコップが深海の圧力により、どの程度圧縮されるかを示した様子=写真C=も興味深い。
「貴重な豊かさ」セクションでは、潜水艦を操縦しての海底探査や、「魚の群れ」が来場者の動きに反応するインタラクティブな展示。同時に、気候変動、漁獲高の減少、生息地の汚染など、海の豊かさに対する緊急の課題と、海洋科学者たちの取り組みについても解説する。

人間がハ排出する大量の二酸化炭素を吸収する海は、壊滅的なダメージを受け続けている。同館のエレン・ファッター氏は「私たちは海洋探査の黄金時代にいるが、同時に人間活動によってもたらされる海への脅威は深刻だ」と警鐘を鳴らしている。

Unseen Oceans
■2019年1月6日(日)まで
■会場:American Museum of Natural History
 Central Park W. & 79th St.
■チケット:常設展+特別展(1ヵ所)
 大人$28、学生/シニア$22.50、2-12歳$16.50
www.amnh.org


HOME