2018年3月16日号 Vol.321

1950年代の
コニーアイランドが舞台
新演出 「コジ・ファン・トゥッテ」


All photos from Phelim McDermott's new production of Mozart'sCosì fan tutte. (Photo by Martin Smith)




舞台を1950年代のコニー・アイランドに設定したF・マクダーモットの楽しい演出。彼はこれまで、METでも「サティアグラハ」や「エンチャンテッド・アイランド」など奇想天外で個性的な舞台を展開し、映画、演劇、オペラとジャンルを超えた演出で活躍中。題名の「コジ・ファン・トゥッテ」とは、「女はみんなこうしたもの」というイタリア語。「フィガロの結婚」や「ドン・ジョヴァンニ」など、男の浮気ばかりが責められるオペラを見せつけられうんざりした当時の皇帝、ヨーゼフ2世がモーツアルトとダ・ポンテに依頼し創作された。
今回のMETの演出では、モーツアルトの時代から現代に近い設定で、より身近に物語が展開する。キャストも適材適所、哲学者ドン・アルフォンソに扮するクリストファー・モルトマンの演技力とその手下となるモーテルのメイド役デスピーナのコミカルな演技力がドラマ展開を左右するカギとなる。
デスピーナを演じるのは「王様と私」でトニー賞主演女優賞を獲得したケリー・オハラ。2014~15シーズンの「メリー・ウィドウ」でMETオペラ・デビューを果たし絶賛された。
また美人姉妹を演じるマジェスキとマルフィは、初々しく世間知らずな印象たっぷり。婚約者たちも若くてイケメンのプラハトカとブリスと役者が揃っている。今シーズンの新演出の中でも一押し!

▼あらすじ
1950年代のアメリカ合衆国。 フェルランドとグリエルモという二人の士官は、ドラベッラとフィオルディリージという姉妹と婚約している。彼らはプレジャー・ガーデン近くのスカイライン・モーテルで休暇を過ごしている。ナイトクラブで、両士官と知り合ったばかりの皮肉屋ドン・アルフォンソは、女性の貞節など疑わしいと言い、賭けをもちかける。二人の恋人がすべての女性同様に不貞であることを証明するというのだ。両士官は婚約者を擁護し、その挑戦に応じる。戦場に赴く事になったと告げて一旦姿を消す。婚約者たちは変装し、恋人の前に現れ同情を買うために毒薬を飲んだフリをして、姉妹に介抱させる。医者に変装したモーテルのメイドのデスピーナにそそのかされ、ニ人ともだんだんとその気になって、実際の婚約者とは違う相手とそれぞれ結婚式を挙げてしまう。その時、大砲が鳴って婚約者たちは軍隊から帰国してくる。最後に両士官が芝居のことをすべて打ち明けると、フィオルディリージとドラベッラは許しを乞う。アルフォンソは、この恋人たちに身をもって学んだ教訓を肝に銘じるよう忠告する。(針ケ谷郁)

COSI FAN TUTTE 新演出
■3月15日/20日/24日/31日(M)
 4月4日/7日/10日/13日/16日/19日
■ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲 イタリア語上演
■原作:ロレンツォ・ダ・ポンテの台本
■初演:1790年1月26日ウィーン、ブルク劇場
■演出:フェリム・マクダーモット
■指揮:デイヴィッド・ロバートソン
■配役:フィオルディリージ:アマンダ・マジェスキ
   ドラベッラ:セリーナ・マルフィ
   デスピーナ:ケリー・オハラ
   グリエルモ:アダム・プラハトカ
   フェルランド:ベン・ブリス
   ドン・アルフォンソ:クリストファー・モルトマン
■チケット:212-362-6000
www.metoperafamily.org



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