2018年3月16日号 Vol.321

現代日本戯曲
英語版リーディング・シリーズ第13弾
岩井秀人「おとこたち」


(左)サラ・ヒューズ(Photo © Alex Tilney)、(右)岩井秀人(Photo © Toru Hiraiwa)


ジャパン・ソサエティー(JS)が3月26日(月)、第13回「現代日本の戯曲:英訳版リーディング・シリーズ」を開催。岸田國士戯曲賞受賞の劇作家・岩井秀人作の「おとこたち」(英題「Manhood」)を上演する。
「おとこたち」は、大学時代に友情を培った男4人の、それぞれの六十余年の人生を描く作品。結婚、仕事、挫折、カルト宗教、育児、不倫など、様々な人生の峠を通過しながら、年老いて人生の終焉に至る――4人の「男の人生」を、皮肉とユーモアで綴る。
たった2時間のドラマの中で、4人の男たちがそれぞれ様々なネガティブ局面にぶつかり、挫折する。そして希望を繰り返す。そんな様子を、息もつけないテンポで展開する。
「日本のおとこ」の価値観をある意味で誇張し、今回英語版で演出するのはニューヨーク・ダウンタウン演劇界の若手注目株、サラ・ヒューズ。男性役を女優が、女性役を男優が演じるというユニークな配役を用いることで、観客に社会と性別の関係性の再考を促そうとしている。
岩井は、2003年劇団を結成。引きこもりや、父親との確執など、自分の過去の経験を題材にした作品を中心に、家族、集団と個人、個人の自意識の葛藤について描く作品を手がけてきた。「おとこたち」でも、岩井の暴力的だった父親との関係からテーマを得たと思われる、エリート社員とその息子も描かれている。戦隊ヒーロー役ドラマで一大ブレイクしたが、アル中で人生を棒に振る男や、浮気相手と妻と、両方に浮気がばれながらもまだ浮気を続ける男など、理想からは程遠い男たちが登場する。負け組人生の中にも、常に「男の友情」が通奏低音のように存在するあたりが見どころだ。

■3月26日(月)7:30pm
■会場:Japan Society
 333 E. 47th St.
 (bet. 1st & 2nd Aves.)
■一般$15、JS会員$10
■TEL: 212-715-1258
www.japansociety.org



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