2021年3月26日号 Vol.394

アフリカのルーツと西洋文化を再構築
エイウォール・エリスク
「アイリスのための新しいビジョン」

Pharoah Whispers, 2020. Courtesy the artist. Photo: Nicholas Knight, Courtesy of Public Art Fund, NY.

ロサンゼルスを拠点に活動するエイウォール・エリスクによる最新プロジェクト「アイリスのための新しいビジョン(New Visions for Iris)」が6月24日(木)まで、ニューヨーク市内200ヵ所(およびシカゴ150ヵ所以上)のバス停で展開中だ。



エチオピア系アメリカ人のエリスクは、人種、アイデンティティ、宗教、国籍、消費社会、精神性なものまで、あらゆる種類のテーマに取り組む、若手マルチメディア・アーティスト。2017年、歌手・ビヨンセの妊娠写真を撮影。ベールをかぶり花々に囲まれたビヨンセの写真はインスタグラムに投稿され、瞬く間に話題となった。

Double Edge, 2020. Courtesy the artist. Photo: Nicholas Knight, Courtesy of Public Art Fund, NY.

今回のシリーズは、写真13枚で構成され、1歳になるエリスクの娘・アイリスに捧げられたもの。昨年、コロナ禍の不安と混乱の中で生まれた娘は、エリスクに幸福をもたらし大きな影響を与えた。ニューヨークのサウス・ブロンクスで育ったエリスクは、「自分のルーツや文化についてあまりよく知らなかった。娘には早い段階でそれらを伝えたかった」と制作動機を明かす。「アフリカのシンボル」と「現代におけるイスラム教」に焦点を当てた本作は同時に、「ハイブリッド・アイデンティティ」を持つ娘が成長し、難しい問題について向き合うための「出発点」と位置付ける。

Arrival, 2020. Courtesy the artist. Photo: Nicholas Knight, Courtesy of Public Art Fund, NY.

「アイリスのための新しいビジョン」は、タカラガイの殻、エジプト胸像、アフリカのマスク、エチオピアの文字、イスラム教徒の祈りなどを、花や現代的なモチーフと組み合わせた構図。いくつかの作品で登場している「鳥(猛禽類)」は「更新と変革のシンボル」で、自らのルーツと西洋文化の再構成に挑む。

展示場所と全作品詳細は、別記ウェブサイトで公開。


Awol Erizku: New Visions for Iris
■6月24日(日)まで
■展示場所:NY市内のバス停
https://www.publicartfund.org


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