2018年3月30日号 Vol.322

市川監督・村上原作「トニー滝谷」上映
「ファッション・イン・フィルム・フェスティバル」


Tony Takitani, Dir. Jun Ichikawa. 2004


The Inferno Unseen/Courtesy Fashion in Film Festival, MUBI and Lobster Films.


アストリアの映像博物館「ミュージアム・オブ・ザ・ムービング・イメージ」で、「ファッション・イン・フィルム・フェスティバル」が、4月6日(金)から22日(日)まで開催される。ロンドンを拠点とする同フェスは今年10周年。「時間を纏う:過去、現在、未来、夢」と題し、ファッションと映画、時間との関係をテーマに、およそ1世紀の間に制作された17作品を紹介する。

オープニングは「インフェルノ・アンシーン(The Inferno Unseen)」(2017年)。フランスの鬼才、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の未完成フィルム「L'enfer(地獄)」(1964年)を、セルジュ・ブロムバーグとルクサンドラ・メドレアが復元し追加編集した「アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの地獄」(2009年)から、さらに「未使用(Unseen)」の映像を再編集し、音楽を加えた最新版だ。クルーゾー監督の狂気と映像美がスクリーンに蘇る。当日は上映に加え、ライブイベント有り。

セルゲイ・パラジャーノフ監督の「ざくろの色(The Color of Pomegranates)」=表紙写真=(4月15日)は、18世紀、コーカサス地域の吟遊詩人サヤト・ノヴァへのオマージュ的な作品。セリフはなく、抽象的な絵画のような映像だけでその生涯を描いた異色作。

市川準監督の「トニー滝谷」(4月7日)は、 村上春樹の同名短編小説が原作。孤独な幼少期を過ごしたイラストレーターのトニー滝谷(イッセー尾形)と、雑誌社勤務の小沼英子(宮沢りえ)が結婚。洋服に異常なほど執着し買い漁る英子は、ある日、交通事故で死亡。妻が残した洋服を着ることを条件にアシスタントを募集するトニー。応募してきたのは、英子そっくりな女性だった。坂本龍一のミニマルな音楽がハルキワールドを包む孤独なラブストーリー。全上映リストは、ウェブサイトで。

Fashion in Film Festival – Wearing Time:
Past, Present, Future, Dream
■4月6日(金)〜22日(日)
■会場:Museum of Moving Image
 36-01 35 Ave., Astoria
■大人$15、学生/シニア$11
 3-17歳$9、3歳以下無料
www.movingimage.us


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