2024年4月12日号 Vol.467

広重の「江戸」にフォーカス
版画に潜むポップアート
「歌川広重 名所江戸百景(feat. 村上隆)」

ブルックリン美術館で4月5日(金)から、浮世絵師の歌川広重が手がけた版画「名所江戸百景」を紹介する展示が始まった。同館所蔵の作品で今回は24年ぶりの公開。全118点の保存状態も良く、ブルックリン美術館が世界に誇る「宝」のひとつとなる。

①広重の版画と現代の東京を撮影して比較 All photos : KC of Yomitime

これまで開催されてきた多くの広重展では、版画の洗練された技術や、西洋アーティストに与えた影響に焦点が当てられていたが、本展では「江戸」という街をフォーカス。1856年から58年にかけて出版された同シリーズは、後に「東京」となる都市の経済や社会、環境などを記録。アートという側面だけでなく、歴史を考察する上でも貴重な資料となる。
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いくつかの版画では、現代の風景写真が同時に展示され=写真①=、広重の「江戸」が、どのように「東京」に変化したかを見比べることができる。

版画の他にも、同館が所蔵する日本の民芸品や生活用具なども紹介。家具、看板、調理器具、羽織や雨合羽など、江戸の日常生活を想起させる。

②村上が手がけた「新版」には、彼の特徴的なキャラクターが紛れ込んでいる

本展での斬新な試みは、日本を代表する人気ポップアーティストのひとり、村上隆による「新版」の展示だろう。ポップな作風で知られる村上だが、常に日本美術史に強い関心を寄せている。

今回、村上は、「名所江戸百景」を独自の手法で再構築。彼の特徴的なキャラクターたちが、絵の中に隠れるように存在する=写真②=。広重の風景の中に潜む「村上アート」が、来場者を新たな視点へと導く。

Hiroshige's 100 Famous Views of Edo
(feat. Takashi Murakami)
■4月5日(金)~8月4日(日)
■会場:Brooklyn Museum
 200 Eastern Parkway,Brooklyn
■一般入場:大人$20、学生/シニア$14、4〜19歳無料
www.brooklynmuseum.org


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