2018年4月13日号 Vol.323

「シンデレラ」を豪華なオペラで
ディドナート主演
「サンドリヨン」


Laurent Naouri as Pandolfe and Joyce DiDonato in the title role of Massenet's Cendrillon. Photo: Ken Howard / Met Opera


Maya Lahyani as Dorothée, Stephanie Blythe as Madame de la Haltière, and Ying Fang as Noémie in Massenet's Cendrillon. Photo: Ken Howard / Met Opera


Joyce DiDonato in the title role of Massenet's Cendrillon. Photo: Ken Howard / Met Opera


2011年ロイヤルオペラでの公演で、絶賛されたジョイス・ディドナート主演の「サンドリヨン」が、遂にMETの舞台で初演されることになった。原作はお馴染みのペローの童話「シンデレラ」。マスネが文学を題材に作曲したオペラの中でも唯一の童話からの作品。ディドナートの卓越した歌唱で綴る美しいアリアの数々、マスネならではの魅惑のメロディー満載のメルヘン・オペラ。
演出を担当するロラン・ペリーは1962年パリ生まれ。オペラや演劇の演出家で、弱冠18歳の時に劇団を立ち上げ演出家の道へ。フランスの作品を中心に衣装やセットのデザインも手がけ、コミカルで風刺的ながら詩情に溢れ想像力豊かな作風を特徴とする。これまでMETでも同じくマスネの「マノン」を演出し、高い評価を得て2012年のHDにも取り上げられた。バーバラ・デ・リンバーグのおしゃれな舞台装置に、演出のロラン・ペリー自らが手掛けた豪華な衣装があいまって、視覚的にもファンタスティックな世界にワープさせてくれるだろう。
その他のキャストも、豪華な顔ぶれが並ぶ。継母アルティエール夫人を演じるステファニー・ブライズは味のあるキャラクター役のエキスパート。シャルマン王子を演じるアリス・クートは、「ヘンゼルとグレーテル」のヘンゼルなど男の子を演じるズボン役で大活躍のメゾ・ソプラノ。妖精を演じるキャスリーン・キムは、煌びやかなコロラトゥーラを武器に舞台に花を添える。サンドリヨンの父パンドルフを演じるロラン・ナウリは、フランスを代表するバリトン歌手でコミカルで洒脱な役に演技力を発揮する実力者。
ちなみに、「シンデレラ」のオペラは他にロッシーニ作曲の「チェネレントーラ」がMETでもたびたび取り上げられているが、全く雰囲気の異なるマスネの作品に期待が高まる!

▼あらすじ
おとぎ話の王国。田舎紳士のパンドルフは、高慢な伯爵夫人マダム・ド・ラ・アルティエールと再婚。だが、この妻とその連れ子である娘たちノエミとドロテは、パンドルフが最初の結婚でもうけた娘のリュセット=サンドリヨン(シンデレラ)を何かにつけていじめる。
宮殿で舞踏会が開かれることになり、義姉たちは勇んで出かけるが、サンドリヨンは置いてきぼり。が、妖精が魔法をかけて変身させ、舞踏会に登場すると、美しいサンドリヨンにシャルマン王子は夢中になる。真夜中までに戻るという妖精との約束を守るために慌てた彼女は、立ち去る時にガラスの靴の片方を忘れる。
家では、いじめにたまりかねたパンドルフが、マダム・ド・ラ・アルティエール、ノエミ、ドロテを部屋から追い出し、サンドリヨンに一緒に町を出て田舎の屋敷に戻ろうと提案。パンドロフは準備のために立ち去る。一人になったサンドリヨンは家を出て森の中で死のうと決意。パンドロフが森のなかにいたサンドリヨンを見つけ自宅で介抱する。サンドリヨンは病の床で舞踏会での出来事やシャルマン王子の名をうわごとに言っていたとパンドロフから聞かされるが、やがて自分が経験したことのすべては夢だったのだと思い始める。
一方、王子はガラスの靴の持ち主を見つけ出そうと王宮に若い娘を集めている。そこに妖精とサンドリヨンが到着し、一同が驚く中、めでたく王妃として迎えられる。(針ヶ谷郁)

CENDRILLON MET初演 新演出
■4月12日/17日/20日/24日/28日(M)
 5月3日/7日/11日
■ジュール・マスネ作曲 フランス語上演
■原作:ペローの童話「シンデレラ」
■初演:1899年5月24日 パリのコミック座
■演出:ロラン・ペリー
■指揮:ベルトラン・ド・ビリー
■配役:サンドリヨン(リュセット):ジョイス・ディドナート
    シャルマン王子:アリス・クート
    マダム・ド・ラ・アルティエール:ステファニー・ブライズ
    妖精:キャスリーン・キム
    パンドルフ:ロラン・ナウリ
■チケット:212-362-6000
www.metoperafamily.org


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