2020年5月8日号 Vol.373 | |
---|---|
新型コロナウイルスと対策
コロナウイルスの基礎知識 大石公彦 医師 小児科、遺伝科、マウントサイナイ病院 ■新型コロナウイルスとは? まず、コロナウイルスは1960年代に発見された、直径約125nm(ナノメートル)程度のウイルスです。Spikeと呼ばれる突起があるのが特徴。内部のRNA(リボ核酸)が変異を起こすことで、これまで様々な型のコロナウイルスが発見されています。その種類によって感染する動物も、症状も異なります。今回の新型コロナウイルスは、以前流行った「SARS-Cov」と同様に重症呼吸器症状を起こすことから「SARS-CoV-2」と呼ばれ、このウィルスによって起こる疾患が「Covid-19」(Coronavirus Diseased 2019)と名付けられました。 ■どうやって体内に侵入し増殖しますか? 飛沫感染により粘膜に付着し体内に取り込まれます。体内の細胞の力を借りて複製し、その数を増やした後にその細胞から出て、体外に放出され、他の人に感染というのが一連の流れです。 ■どの程度の時間感染能力をもっていますか? 空中で約3時間、銅板の表面で約4時間、ボール紙で約24時間、ステンレススチールで約48時間、プラスチックで約72時間と、比較的長い時間感染能力をもっていると考えられています。 妊婦と新型コロナウイルス 安西弦 医師 産婦人科、レノックスヒル病院、 ニューヨークミッドタウン産婦人科院長 ■病院での出産はできますか? 妊婦は重症化しますか? 病院全体がコロナウイルス病棟となる中、産科だけは別で、出産は通常通り行われています。呼吸器系のウイルス感染症は、妊婦の場合症状が重くなる傾向にありますが、コロンビア大学他のデータによると、新型コロナウイルスの感染でICU入院が必要になったのは、妊婦患者の5%で、全体的な数字と大差はありません。今のところ、妊婦さんが特別高リスクではないと考えられています。 ■新生児への感染は? 頻度は低いですが起こり得ます。しかし新生児の場合症状は軽く、1週間以内にウイルスは陰性になっています。ウイルスに感染している母親でも、無症状の場合は母乳を続けても構わないというのがアメリカのガイドラインですが、マスクの着用と手洗いは徹底するようにとのことです。 ■妊婦が感染した場合の対処法は? 基本的には一般へのガイドラインと同じです。高熱や呼吸困難が続くようなら病院に行くべきですが、軽い症状の場合は自宅待機が望ましいでしょう。妊婦の場合、必ずかかりつけの産科医がいるので、迅速に連絡・相談するのがベストです。ニューヨークの病院では、全ての妊婦に対して新型コロナウイルスの検査をする態勢になってきています。 子どもへの感染と自宅待機の精神的影響 加納麻紀 医師 内科・小児科、東京海上記念診療所 ■子どもが感染しているかもしれない場合、どうしたらいいですか? 症状が軽い場合は自宅待機するのは大人も子どもも同じです。家族への感染を防ぐには、現時点ではベストを尽くすしかありません。自宅でもソーシャルディスタンスを徹底し、全員がマスクをしましょう。 ■コロナ感染以外の診察、子どもの予防接種は受けられますか? 健康な子どもの定期健康診断と予防接種は、クリニックで行う必要があります。主治医と相談して予約を入れてください。アメリカ小児科学会は、2歳以下の定期健康診断と予防接種は後回しにせず受けるようにと奨励しています。特に1歳以下は、コロナ以外の感染病にかからないためにも、予防接種は大切です。その他の症状での診療には、ビデオ診療が勧められます(別記)。 ■自宅待機、遠隔学習でのストレス解消には? 新型コロナ感染の症状と治療体制 カマール・ラマニ 医師 内科、20イーストメディカル院長 ■新型コロナウイルスの症状は? 熱と咳が最も顕著な症状で、そのほか体の痛み、喉の痛み、頭痛などがあります(風邪やインフルエンザ、アレルギーとの比較表参照。ラマニ先生のウェビナー発表資料から)。風邪・アレルギーとの大きな違いは、コロナ感染では鼻水・鼻詰まりがないことです。
HOME |