2018年5月11日号 Vol.325

アート・ニューヨーク2018
福井江太郎展
多くのニューヨーカーが足を止める


ダチョウを描いた大作(屏風)と作者の福井江太郎氏


「アート・マイアミ」が主催するアート展「アート・ニューヨーク2018」が5月3日(木)から6日(日)まで、ピア94を会場に開催された。同展は、絵画、写真、彫刻、版画、デザインなど毎回多様な展示で知られ、コレクターやキュレーターも注目。今年は30カ国から85以上の美術館やギャラリーが参加した。

日本から、南青山の「新生堂:SHINSEIDO gallery」が初参加。日本画家の福井江太郎(ふくいこうたろう)の個展を開催した。

福井の特徴は、伝統的な日本画と現代的な部分の両方を抽出した作風。日本の伝統的な和紙をベースに、自然の顔料や墨なども取り入れている。福井の主な作品のモチーフのひとつがダチョウ。アフリカのサバンナや砂漠に生息するダチョウが、欧米で珍しい東洋の屏風に描かれている、という驚きもあり足を止める人が多かった。また、日本人作家ということもあり「東洋の神秘、精神性」などに興味を持つ人々が多数、ブースを訪れた。

日本を拠点に活動する福井は、フォレストヒルズにもアトリエを持つ。創作活動の合間を見ては演劇鑑賞に興じていると言う。「ダチョウの体の線、顔、手足などの独特な形状に魅せられた。生き物としてみていたら、写生で終わっていた」と語るように、福井の作品は一瞬の動きをキャンバスの中に閉じ込める際、その「精神性」に加えて「物語性」までも描き込む。

今回の個展には、青く豊かなアイリスをモチーフとした「もうひとつの花/Silent Flower」シリーズも出展。欧米では珍しい金箔を使っており、こちらにも大勢の注目が集まった。


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