2020年5月22日号 Vol.374

新型コロナウイルスQ&A
中釜先生、教えて!

Q:一度コロナ感染して治ったら、抗体があると思いますが、それでも今後生活する上で気をつけることはありますか。

A:抗体についてはまだよく分かっていません。その抗体がどのくらい病気に対して抵抗力があるか、どの程度の期間有効かなど不明なままです。抗体があるからと安心せずに、引き続き手洗い、消毒、マスクなどの対策は必要になります。仮に第2波、第3波が来た時は、行政の指示に従い、自宅待機などに協力する気持ちも必要です。麻疹などは一度かかって治れば一生抗体が有効であることが分かっていますが、通常のインフルエンザはそうではないので、毎年予防接種が必要になりますね。それと同じようにコロナウイルスも、一度できた抗体が万全ではない可能性もあります。

Q:再感染を防ぐための抗体量は分かっていないと聞きます。ハーバード大系の病院では、抗体検査で医師の勤務可否を判断しているとも報道されていますが、抗体量の基準は各検査で統一されているのでしょうか。

A:それも分かっていません。それを知るにはもっと多くのデータ、つまり臨床の分析と実験結果が必要です。ハーバード大系の病院が行っているのは、必要に迫られ、過去の類似疾患のデータを基に判断しているものと思われます。また、抗体量だけではなく、熱が出てどのくらいたったか、治ってから何日たったかなど、総合的に判断すべきだと考えます。

Q:プラズマ治療と、人工ワクチンの可能性についてどうお考えですか。

A:回復した患者から採血して得たプラズマ(血漿)には、ウイルスや菌と闘うタンパク質(抗体)が含まれます。それがあると、ウイルスの力を弱めることができるわけで、それを重症患者に注入することで実際に患者が治っており、即効性があることが分かっています。ただ、持続的にその抗体を保持できるかというと、そうではないので、限界はありますが、治療への期待は大きいと思います。ワクチンは、人工的にウイルスの一部を使って作ったり弱めたりするものとありますが、いずれにしても体が抗体を作り出すように働きかけ免疫を作りだすものです。ただ、その抗体の効果や残存期間については必要なデータがそろうまでわかりません。

Q:もし感染して自宅療養中に悪化して救急車を呼んだ場合、搬送される病院を選ぶことはできますか?

A:救急車を呼んだ場合、基本的には患者に選択権はないと思っていてください。今は特に、受け入れてくれる病院に行くしかない場合もあります。救急車を呼ばず自分で救急医療に行くケースもありますので、最寄りの救急病院の住所は前もって調べておきましょう。救急病院の他に、Urgent Careのクリニックが各地にあるはずです。その場所と連絡先も調べておきましょう。

Q:アメリカ在住の日本人感染者は少ないと聞きますが、その理由はなんでしょうか。

A:アメリカでの人口比率としての日本人感染者が少ない理由はよくわかりません。ただ、私の患者さんでも感染が確認され自宅隔離中の人、重症化して入院した人はいます。インフルエンザなどでもそうですが、アメリカではどうしても死亡者数が多くなります。その大きな原因は、収入や医療格差だと思います。医療保険を持たない人が多く住む地域では、病院体制が不十分だとか、そういった社会問題が、今回露呈してしまったと思います。

Q:オフィスを再開する場合に、感染を防ぐためにどんなことに気をつけるべきでしょうか。それともワクチンができるまで再開しない方が良いのでしょうか。

A:ワクチンがあれば安心ですが、現状どうしても再開しなければならない業務もあるでしょう。その場合、手洗いやうがい、マスク着用、これらを100%実行していれば、基本的には感染しないと言っていいと思います。忙しくてつい手洗いする前に目を擦った、という状況から感染してしまうわけです。手洗いは、歴史の中でも感染予防のパワフルツールです。

日本クラブ/ニューヨーク日本商工会議所/米国日本人医師会共催ウェビナー第2弾
「NYの医師がお答えする COVID-19のギモンQ&A」
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