2020年5月22日号 Vol.374

新型コロナウイルスと対策(2)

日本クラブ/ニューヨーク日本商工会議所(JCCI)と米国日本人医師会の共催で、5月11日、COVID-19の医療ウェビナー第2弾が開催された。今回は、医師会から中釜知則医師(内科)と金原聡子医師(内科・小児科)が出席。日本クラブ/JCCIの前田正明氏の司会で進められた。ここでは内容を抜粋して紹介する。ウェビナーの様子はユーチューブ(下記)で公開されている。

日本クラブ/ニューヨーク日本商工会議所/米国日本人医師会共催ウェビナー第2弾
「NYの医師がお答えする COVID-19のギモンQ&A」
YouTube ■ https://youtu.be/RQ5iTslGnCQ
金原聡子 医師(内科・小児科)
コミュニティー・ヘルスケア・ネットワーク
南ブロンクスクリニック・メディカルディレクター
975 Westchester Ave.
Bronx, NY 10459
TEL: 718-320-4466
www.chnnyc.org

子どもとコロナ感染

続いて金原先生が小児科医の立場から、子どもとコロナ感染について解説した。小児(0〜17歳)の入院率が大人に比較して格段に低いことを指摘した上で、4月末ごろからメディアで話題になっている川崎病との関連について話した。
「この1週間、小児の死亡がニューヨークのニュースで流れ、心配している親御さんも多いと思います。川崎病に似た症状が、コロナ感染の子どもに起こっていると言われていますが、厳密には川崎病と全く同じではありません」と金原先生。コロナ感染関連での一連の症状は「Pediatric Multisystem Inflammatory Syndrome(小児発症性多系統炎症症候群)」として区別されているとのこと。
ただ、川崎病に似た症状として、特に「高熱」「発疹が出る 」「口内や手足の腫れ」「結膜炎」などがあり、4月末から市内で3人の小児がこの症候群で死亡している。大人のコロナウイルスの患者に比べ、腹痛、下痢、嘔吐が多く見られるのも特徴である。そのため、「こうした症状がある場合はすぐに主治医に連絡するように」と金原先生は言う。



アメリカの911

アメリカでは、救急車、消防、警察は全て911。日本から来たばかりの家族への基本的な情報として、アメリカでの救急車の呼び方についても説明した。電話をするとまず聞かれるのは「メディカル(医療)か、ファイアー(火事)か、ポリス(警察)か」。「前もってそれを知っていれば、すぐにメディカルと答えられるでしょう」と金原先生。
「メディカル」と答えた後に聞かれる質問は、患者が息をしているか、意識はあるか、年齢や既往症、そして住所など。今の状況では特に、前もって準備できる情報はリストアップしておくくらいの準備をしておくと、いざと言うときに慌てなく済む。
そして最後に、アメリカの医療は主治医(プライマリー・ケア・フィジシャン=PCP)を持つことが前提にあること、アメリカの小児科は完全予約制をとっていることが多いことを指摘し、元気な時から定期健診などで主治医との関係を築いておくことが重要だと話した。




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