2019年5月31日号 Vol.350

冷戦時代の技術・任務・戦略とは・・・
「KGBスパイ・ミュージアム」

KGBスパイ・ミュージアム
ラトビアで創業しドイツへ移転した光学機械メーカー「ミノックス」の小型カメラ。第二次世界大戦時にはCIAも同社製のカメラを使用していたという。All Photos by YOMITIME

KGBスパイ・ミュージアム
囚人の身長を記録する「ジェイルハウス・ハイト・チャート」


ソビエト連邦の国家保安委員会「KGB」をテーマにした博物館「KGBスパイミュージアム」が、今年1月にオープンした。KGBが行っていたスパイ活動に焦点を当て、カメラ、レコーダー、暗号機など、当時の道具を中心に展示。東西冷戦時代、世界情勢に影響を及ぼした組織の技術、極秘任務、戦略などを紹介する。

1954年からソ連が崩壊する1991年まで存在したKGB。文化的、経済的、軍事的優位性を得るため、アメリカのCIA(中央情報局)を筆頭に世界中の情報機関と競合。ロシア連邦の現大統領ウラジミール・プーチンも、KGB諜報員だったことが知られている。

スパイ活動の基本は「情報収集」だろう。集めた情報を分析し、先手を打つ。盗撮用に開発された初期の小型カメラやコピーカメラに当時の技術力を見ることができる。盗聴もスパイ活動には不可欠。隠しカメラやレコーダーは「バグ(bugs)」と呼ばれ、屋内、車、ペットの耳の中にも仕掛けられた。最も有名なバグ「シング(Thing)」は、アメリカ大使の話を7年間も盗聴し続けたという。

情報漏洩を防ぎ、安全性を維持するための「暗号」も重要だ。ソ連で使用されていた「フィエルカ(Fialka)」は、ナチス・ドイツが使用していた暗号機「エニグマ」を元に開発された。多くはソ連崩壊と共に破壊されたが、運良く残った貴重なフィエルカが展示されている。

その他、拷問装置として使用された椅子、ジェイルハウス・ハイト・チャート、刑務所・独房のベッドなどもあり、「インスタ映え」を狙った「囚人体験」も面白い。

「機密」とされたスパイ道具が、かつての敵国で展示されることになるとは、流石のプーチンも予想しなかったに違いない。

KGB Espionage Museum
■月〜日10:00am〜8:00pm
■住所:245 W. 14th St.
■18歳以上$22、7-17歳$13
 65歳以上/学生(要ID)$17、6歳以下無料
※ガイド付き$40(3人以上)
kgbespionagemuseum.org


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