2018年6月15日号 Vol.327

若生靖夫写真展「We live in Harlem」
全ての人に「ありがとう!」

レセプション1
娘の円佳さん。若い頃の父の写真(左)の前で

レセプション2
撮影当時は小さかったアンドリュー君。写真と同様、帽子を斜めにしてポーズ。

レセプション3
シャッターに絵を描いたフランコ・ザ・グレート(右)も祝福に駆けつけた

レセプション3
挨拶する円佳さん

レセプション3
コミュニティへの貢献に対し、感謝を述べる本展会場のクリフ・フレージャー館長

レセプション3
写真スライドにより若生氏の近況やメッセージなども紹介


35年間に渡りハーレムに魅せられ、ハーレムを撮り続けてきた写真家・若生靖夫氏(インタビュー記事へ)の個展「We live in Harlem」が6月14日、ウエスト・ハーレムのドゥワイアー・カルチュラル・センター:Dwyer Cultural Centerで始まった。

1982年、初めてハーレムを訪れた若生氏。そこに住む人々に魅了され、以来、1995年までハーレムを写真に収めてきた。今回はその中から100点を展示している。

写真の中の人々は気取らず自然体だ。生き生きとし、鑑賞者を当時へと誘う。「Friends」と名付けられた作品タイトルは、彼らに対する若生氏の想いを代弁する。

写真の中の子どもが今では立派な青年に、親父はおじいちゃんに…と、改めて35年という「時」を感じさせる不思議な力に溢れる作品群。また、日本人という「よそ者」を受け入れたハーレムの懐の広さ、時を経ても変わらない人々のつながりの深さを見せつける。

6月14日に行われたオープニングセレプションには、多くの友人・知人が来場。シャッターに絵を描いたフランコ・ザ・グレートも祝福に駆けつけた。「これ、俺なんだ!こっちが妹で・・」と嬉しそうに説明する者、「彼、この前、亡くなったんだよ。ここに写真があるなんて・・」と写真を見つめる者など、訪れた人々はそれぞれの思い出を写真に重ねていた。

会場には、若生氏へ宛てた「メッセージ・ボックス」も設置。「Hey Yasuo! 写真を撮ってくれてありがとう!」「ステキな写真!LOVE」など、健康上の理由で来米できない若生氏へのメッセージが多数、寄せられていた。

レセプションに集まった人々へ、娘の円佳さんが挨拶。「ハーレムでの写真展開催を目指し、今日、それが実現しました。出席できなかった父は残念がっていましたが、関わった全ての人に『ありがとう』と伝えたい、と申しておりました」と、謝意を表明した。参加した友人たちも登壇し、彼との思い出を披露。フランコさんは「あの頃、ヤスオが撮影していた写真が、こうして今日の写真展に繋がるとは思わなかった。『今日』が『未来』へ繋がっていることを感じた」とコメント。スクリーンで、現在の若生氏が写し出され、ハーレムの友へ宛てたメッセージが紹介されると、会場からは大きな拍手が送られた。

続いて、ジャズのライブ演奏もあり、来場者は音楽に合わせてスウィング。ハーレムらしい賑やかなオープニングセレプションとなった。個展は27日(水)まで。

若生靖夫写真展「We live in Harlem」
6月27日(水)まで
Dwyer Cultural Center
258 St Nicholas Ave, New York NY
www.dwyercc.com


HOME