2018年6月29日号 Vol.328

絵画と庭園、NYBGの意欲展
「ジョージア・オキーフ:ハワイのビジョン」

庭園
Georgia O'Keeffe: Visions of Hawai'i. Photo courtesy of the New York Botanical Garden

オキーフ画・パイナップルの芽
Georgia O'Keeffe, Pineapple Bud (1939). Courtesy of a private collection, © 2018 Georgia O'Keeffe Museum/Artists Rights Society (ARS), New York.


ブロンクスのニューヨーク・ボタニカル・ガーデン(NYBG)で、「アメリカモダニズムの母」と呼ばれる女流画家、ジョージア・オキーフの「ハワイのビジョン」展が行われている。
1939年、ある広告代理店が、当時ニューヨークに住んでいたオキーフに、「ハワイアン・パイナップル・カンパニー(現・ドール社)の広告用として、絵を描いて欲しい」と、ハワイ旅行を提案。現地で9週間滞在したオキーフはおよそ20点の絵を制作。最終的に、パイナップルの芽を描いた「Pineapple Bud」=写真右=と、ヘリコニアを描いた「Heliconia Crab's Claw Ginger」の2点が、同社パイナップル・ジュースの広告に使用された。
1940年、彼女の夫で写真家のアルフレッド・スティーグリッツがニューヨークのギャラリー「アメリカン・プレイス」で、その作品群を展示している。
本展は1940年以来、NYでオキーフの同作品シリーズをまとめた初の展示。花のクローズアップやドラマティックな風景画に加え、広告に使用された絵と、その広告も観ることができる。
同時に、「ハワイアン・パラダイス・ガーデン」が登場。当時、オキーフに影響を与えたハワイの庭や景色を再現しようと、300種類以上の植物を植えたトロピカルな庭園だ。また、ハワイ原産だと思っていた植物が、実は1000年前にポリネシアからの入植者によって持ち込まれたものであることも紹介。人間が自然界へ及ぼす影響力や脅威などを来場者へと訴える。
その他、オキーフ同様、ハワイの植物に感銘を受けた現代彫刻家でハワイアン・チャイニーズのマーク・チャイによる野外作品「Heliconia Loop」=表紙写真=も展示。
植物や風景、動物の骨などを描き続けたオキーフをテーマに、自然環境にも注意を向けさせようとする同園の姿勢を感じる意欲展。

GEORGIA O'KEEFFE:
VISIONS OF HAWAI'I
■10月28日(日)まで
■会場:New York Botanical Garden
 2900 Southern Boulevard, Bronx
■平日:大人$23、学生/シニア$20、2-12歳$10
■土日:大人$28、学生/シニア$25、2-12歳$12
www.nybg.org



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