2018年6月29日号 Vol.328

リンカーンセンター夏の恒例芸術祭
日本から「NINAGAWA・マクベス」上陸
「モーストリー・モーツアルト」

NINAGAWA・マクベス
NINAGAWA Macbeth. Photo by Piet Defossez

ルシンダ・チャイルズ・ダンス・カンパニー
AVAILABLE LIGHT, Lucinda Childs Dance Company. Photo by Craig T. Mathew

ラ・フラ・デルス・バウス
The Creation. Photo©Julien Benhamou


リンカーンセンターが主催する夏の恒例イベント「モーストリー・モーツァルト」(以下MMF)が、7月12日(木)から8月12日(日)まで開催。毎年、この時期に行われていた「リンカーンセンター・フェスティバル」は昨年で終了。今年から「モーストリー・モーツァルト」を拡大して開催する。音楽のみならず、演劇、ダンスなど、世界中から一流のパフォーマーがニューヨークに集結する「夏の芸術祭」だ。

オープニングは、「ルシンダ・チャイルズ・ダンス・カンパニー」による「アベーラブル・ライト」。アメリカで「ポストモダン・ダンスのパイオニア」と評されるルシンダ・チャイルズが振付け、「ミニマル・ミュージック」を提唱するジョン・アダムズが作曲、「建築界の奇才」と名高いフランク・ゲーリーがステージ・デザインを担当。1983年、ロサンゼルス現代美術館(MOCA)から依頼され制作・上演された作品だが、ニューヨークでは初演。工場のようなセット、シンセサイザーの機械的な音、ダンサーたちのフォーメーションが、非現実的な空間を作り出す。35年前の作品とは思えない前衛的な舞台。

スペインの前衛パフォーマンス劇団「ラ・フラ・デルス・バウス」による「ザ・クリエーション」は、ハイドンが作曲した有名なオラトリオ「天地創造」をベースにしたオペラ。同劇団は1992年、バルセロナ・オリンピックの開会式で披露した「空中パフォーマンス」で一躍有名に。本作では得意の空中芸に加え、水中芸(?)やCGを駆使。哲学、物理学、DNAから難民まで、ステージには様々なイメージが絶え間なく流れ、我々が誰で、どこから来たのかを問いかける。

存命する振付師で、最も成功し、影響力があると言われるマーク・モリス率いる「マーク・モリス・ダンス・グループ」。モンテヴェルディ、ブラームス、シューベルトの曲をベースに、変化に富んだ「詩的」なダンスを披露する。プログラムは、ロマンティックな恋愛における複雑さを表す2つのダンス「I Don't Want to Love」と「Love Song Waltzes」で始まり、新しい人生をもたらす「The Trout」(世界初演)で締めくくる。

日本からは、故・蜷川幸雄が手掛けた舞台「NINAGA WA・マクベス」が上演される。シェイクスピアの戯曲「マクベス」を、安土桃山時代へ置き換えた作品。着物姿で日本刀を振り回すマクベス(市村正親)や、その夫を支える武家の奥方・マクベス夫人(田中裕子)など、ストーリー展開や人物名はシェイクスピアそのまま。舞台装飾が巨大な仏壇であることから、日本では「仏壇マクベス」とも呼ばれている。1980年の初演以来、日本国内のみならず、海外での評価も高い。

その他、モーツァルト関連のコンサートも多数。次回は音楽を中心に紹介したい。

Mostly Mozart Festival
■7月12日(木)〜8月12日(日)
■会場・料金:演目により異なる
○Rose Theater:Frederick P. Rose Hall,
 60th St. & Broadway
○David H. Koch Theater:
 Columbus Ave. at 63rd St.
www.lincolncenter.org/mostly-mozart-festival


Available Light
■7月12日(木)・13日(金)7:30 pm
■会場:Rose Theater


The Creation
■7月19日(木)・20日(金)7:30 pm
■会場:Rose Theater


NINAGAWA Macbeth
■7月21日(土)・24(火)・25日(水)7:30pm
■7月22日(日)5:00pm
■会場:David H. Koch Theater


Mark Morris Dance Group
■8月9日(木)〜11日(土)7:30pm
■8月12日(日)5:00pm
■会場:Rose Theater



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