2019年7月12日号 Vol.353

長編26本、短編16本上映
日本映画のトレンド探る「ジャパン・カッツ」


ダンスウィズミー Dance with Me © "Dance with Me" Production Committee


斬、 Killing © SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER


ブルーアワーにぶっ飛ばす Blue Hour © "Blue Hour" Production Committee


ジャパン・ソサエティー(JS)が7月19日(金)から28日(日)まで、夏恒例の日本映画祭「ジャパン・カッツ」を開催する。今年で13回目。アクション時代劇、家族ドラマ、心温まるコメディー、背筋ぞくぞくのスリラー、ドキュメンタリーから実験映像まで、26本の長編作品と16本の短編作品を上映する。全作英語字幕付き。

オープニングは、米国初公開の矢口史靖監督の「ダンスウィズミー」。催眠術にかかり、音楽を聴くと所構わず踊り出してしまうOLを主人公にしたミュージカルコメディ。
 当日は、矢口監督と女優・三吉彩花をゲストに迎え、上映後オープニングレセプションを開催する。

センターピースは、塚本晋也監督が出演、脚本、撮影、編集、製作を務めた注目作「斬、」。開国か否かで揺れる江戸末期。藩から離れ、浪人の身となった杢之進(池松壮亮)は、京都の動乱への参戦を誘われる。

クロージングは、箱田優子の監督デビュー作品「ブルーアワーにぶっ飛ばす」。30歳のCMディレクター砂田(夏帆)は、東京で日々仕事に明け暮れ、理解ある優しい夫もいて、他人からは充実した人生を送っているように見える。しかし最近は、口を開けば毒づいてばかりで、すっかり心が荒んでいた。
当日は、箱田監督と女優・夏帆、シム・ウンギョンをゲストに迎える。

ドキュメンタリー映画では、自殺志願者を支える牧師を追った「牧師といのちの崖」、認知症の患者を抱えた家族を描く「ぼけますから、よろしくお願いします。」、全盲の監督による映画制作現場「ナイトクルージング」など、日本が抱える社会問題や、社会的弱者をテーマにした3作品を紹介する。
クラシック作品のリマスター版では、手塚治虫の息子、手塚眞監督による19 85年監督デビュー作品「星くず兄弟の伝説」を上映。
そのほか、小林薫・柳楽優弥の豪華共演、広瀬奈々子監督デビュー作品の「夜明け」、是枝裕和監督が総合監修を務めたオムニバス作品「十年 Ten Years Japan」、新鋭・三宅唱監督による「きみの鳥はうたえる」など話題作ばかり。
開催中のゲストは前述の他に、女優の三吉彩花、矢口史靖監督、監督・俳優・脚本の塚本晋也、手塚眞監督、新人女性監督の広瀬奈々子や箱田優子など多数が来場する。

同映画祭では、8年前から日本映画界に貢献する監督や俳優に「カット・アバブ賞」を授与しており、今年は塚本晋也監督が選ばれている。授与式は、7月24日(水)の上映会後に行われ、その後パーティーも開催される。
全作品詳細は、オフィシャルウェブサイトで確認を。

「日本の映画修復業界の現状」と題したパネル討論会が、7月26日(金)午後4時30分から開かれる。1時間、参加無料、先着順。
映画史を守るために重要な映像修復について、塚本監督ほか、今回の映画祭のゲストらが集まり意見を交換する。
アメリカやヨーロッパでは、映像修復に多額の資金が集められているが、日本では傑作と言われる作品でさえ、4Kデジタル修復のための資金調達がままならない。この討論会では、今後のプロジェクトの具体化につながるアイデアなどについて意見を出し合う。
角川映画とマーティン・スコセッシ監督が立ち上げた非営利団体「Film Foundation」とのコラボで、ニューヨークの映像修復会社シネリックで実現した、溝口健二監督の「雨月物語」(1953年)から、修復場面のデモンストレーション映像も見られる。

■7月19日(金)〜28日(日)
■会場:Japan Society
 333 E. 47th St.
■一般$15、学生/シニア$12、JS会員$10
■7月19日(金)・24日(水)
上映後のカクテルパーティー付チケット: 一般$21、学生/シニア$18
JS会員$16(映画のみのチケットなし)
■特別割引:3作品以上同時購入で各券$2割引
※「ダンスウィズミー」「斬、」は対象外
■オールアクセス・パス(JS会員のみ):$210
■購入・問合せ:TEL: 212-715-1258
www.japansociety.org/japancuts


★上映日程・作品
■7月19日(金)
○7:00pm「ダンスウィズミー」
※上映後オープニングナイト・レセプション
■7月20日(土)
○12:00pm「ねことじいちゃん」
○2:15pm「WHOLE」「東京クルド」
○4:15pm「ぼけますから、よろしくお願いします。」
○6:30pm「天然☆生活」
○9:00pm「十年 Ten Years Japan」
■7月21日(日)
○12:00pm「引っ越し大名!」
○2:30pm「牧師といのちの崖」
○5:15pm「教誨師」
○7:45pm「月夜釜合戦」「たこ焼きストーリー」
■7月22日(月)
○4:30pm「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」Vol.1(短編3本)「くもり ときどき 晴れ」「はずれ家族のサーヤ」「最後の審判」
○6:30pm「JKエレジー」
○9:00pm「きみの鳥はうたえる」
■7月23日(火)
○5:00pm「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」Vol.2(短編2本)「サヨナラ家族」「うちうちの面達(つらたち)は。」
○6:30pm「夜明け」
○9:30pm「赤い雪」
■7月24日(水)
○7:00pm「斬、」
■7月25日(木)
○6:30pm「バレット・バレエ」
○9:00pm「エリカ38」
■7月26日(金)
○6:30pm「僕はイエス様が嫌い」「Tokyo 2001/10/21 22:32~22:41」
○9:00pm「メランコリック」
■7月27日(土)
○12:00pm「泣き虫しょったんの奇跡」
○3:00pm「浜辺のゲーム」
○4:45pm「新聞記者」
○7:15pm「星くず兄弟の伝説」
○9:45pm「EXPERIMENTAL SPOTLIGHT(実験映像・スポットライト):Palm of the Hand Cinema」
■7月28日(日)
○12:00pm「嵐電」
○2:30pm「ナイトクルージング」
○6:00pm「オーファンズ・ブルース」
○8:00pm「ブルーアワーにぶっ飛ばす」


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