2019年7月26日号 Vol.354

映画でみる多様なミレニアル世代
長編27本、短編3本上映
「We Can't Even: Millennials on Film」


「ヴォックス・ルクス」Vox Lux (2018). Photo: NEON


「ノクトラマ」Nocturama (2016). Photo: Grasshopper Film


「エレファント」Elephant (2003). Photo: Warner Bros.Entertainment


「ムーンライト」Moonlight (2016). Photo: A24 Films


ブルックリンのBAMローズシアターで、7月24日(水)から8月6日(火)まで、「We Can't Even: Millennials on Film」と題した上映会が開催される。
「ミレニアル世代」とは、アメリカで2000年代初頭に成年期を迎えた人々を指す。同時に、インターネットやパソコンが普及した環境で育ったことから「デジタルネイティブ」とも呼ばれている。「ソーシャルメディア好きで、権利ばかりを主張するナルシスト」と括られることが多い彼ら。だが実際には、社会や政治的な混乱、景気後退、急速に発展したテクノロジーに囲まれ成長してきたことで、多様な側面を持つ世代だともいわれている。そんな彼らが登場する映画から、複雑な「ミレニアル世代」を理解し、現代社会を探る。

ブラディ・コーベット監督の「ヴォックス・ルクス」。
姉妹のセレステとエレノアが通う学校で乱射事件が発生。犠牲者の追悼式典で、姉妹は歌を披露し、人々の心を打つ。そのパフォーマンスが全米で話題となり、2人はショー・ビジネスの世界へ。そして18年の時が流れ…。
セレステをナタリー・ポートマンが演じた話題作。

ベルトラン・ボネロ監督の「ノクトラマ」(邦題:ノクトラマ 夜行少年たち)。
舞台はパリ。午後2時過ぎ、「同時多発テロ」を目的にした青年たちが行動を開始。各自が目的を実行し、午後7時に営業終了後のデパートに集合する。午後7時15分、さまざまな場所で起きる爆発を見届けた彼らは、ひと気の無いデパートでテロ成功を祝うのだが…。
「テロリズム」を題材に、現代社会を生きる人間の心理を捉えた異色作。

ガス・ヴァン・サント監督の「エレファント」。1999年、コロラド州で起きた「コロンバイン高校銃乱射事件」がテーマ。それぞれの視点から「事実」を切り取り描いた作品で、普段と同じように「その日」が始まる…。
2003年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドール賞と監督賞を受賞した。

バリー・ジェンキンス監督の「ムーンライト」。
マイアミの貧困地区で生活するシャロン。イジメに悩みながらも成長する様子を、幼少期、少年期、青年期の3つの時代構成で描く。
第89回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚色賞を受賞、「アカデミー賞の歴史を変えた」と評される人間ドラマ。

その他、学校生活で自然に発生する「スクールカースト」をテーマにした「ミーン・ガールズ」、6歳の少年と家族の関係を12年に渡り綴った「ボーイフッド」(邦題:6才のボクが、大人になるまで。)など、27本の長編と3本の短編が上映。全作品の詳細はウェブサイトで。

We Can't Even: Millennials on Film
■7月24日(水)〜8月6日(火)
■会場:BAM Rose Cinemas
 Peter Jay Sharp Building
 30 Lafayette Ave., Brooklyn
■一般$16、BAMメンバー$8
www.bam.org


●Vox Lux
 7/24(7:30pm)
●Nocturama
 7/25(7pm)、7/26(4:30pm)
●Elephant
 7/25(5pm、9:30pm)
●Moonlight
 7/27(2pm)



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