2018年7月27日号 Vol.330

水越、橋本、岡部&山田
日本から話題の3組
カーネギーデビューを終えて

水越
「あんまり緊張していないんです」と笑顔の水越

橋本
「ニューヨークは15年ぶり」と話す橋本

岡部&山田
演奏後、笑顔で答える山田(左)と岡部(右)


7月11日(水)・13日(金)・14日(土)に、日本から話題の3組が来米、カーネギーホールでリサイタルを行った。企画・主催は日本を本拠地に世界中に拠点を持つ「ショータイム・カンパニー」。3組ともに同ホール、デビュー公演だ。

11日は水越菜生(みずこし・なお)。名古屋在住の現役高校生の水越は、世界各地の国際コンクールで優勝経験を持ち、弱冠18歳ながらソロ・リサイタルを重ねている。モルドバ国立響、ルーマニア国立響、名古屋フィルなどと共演する注目の若手バイオリニストだ。本番前、楽屋で意気込みを聞くと「あんまり緊張していないんです。もっと練習しておけばよかったです(笑)」とベテランの風格を見せる。「ニューヨークは、華やかな感じがします」と話す。今後の予定は?の質問に「まずは受験です」と屈託なく笑う。演奏家から普通の高校生に戻った瞬間だった。
ステージではプロコフィエフ、ブリーグ、パガニーニなどを披露。小柄な水越だが、それを感じさせないほど力強くかつダイナミックな演奏で、観客を魅了した。

13日(金)は橋本洋(はしもと・ひろし)。橋本は東京藝術大学卒業後、ジュリアード音楽院に留学。卒業後は帰国し演奏活動の傍ら、音楽コンクールでの審査員など、後進の指導に尽力している。今回は15年ぶりのNY訪問で、カーネギーデビューを飾った。
「刺激的でありエネルギッシュなところは変わっていませんね。やはり魅力的な街です」と話す橋本は、本番前、「初めて人前で演奏した時の緊張感に似ている」と明かす。「今回、この機会を下さった皆様に感謝しています。精一杯頑張りたいです」と、何気ない言葉の奥に熱い思いを覗かせていた。
ステージでは、超絶なテクニックとダイナミックな演奏で、観客をあっという間に惹き付けた。柔らかな旋律の奥にも情熱を感じさせる力強い音色。第2の故郷ともいえるNYで、新たなキャリアのスタートを切った。

14日(土)は、バイオリニスト岡部綾音(おかべ・あやね)と、ピアニストの山田和佳(やまだ・わか)のデュオ。2人は東京藝術大学の同級生で、卒業したばかりの新進気鋭のアーティスト。在学中から、ソロに加えて室内楽やオーケストラとの共演経験を持つ。「私がNYでのリサイタルのお話を頂き、彼女(山田)を誘いました」と経緯を話す岡部。「やはりカーネギーホールは憧れでした」と声を揃える二人だが、その一方で「カーネギーに関わることは無いと思っていました」とも打ち明ける。本番前、憧れのカーネギー公演を前に緊張は?の問いに「普段の発表会とあまり変わらないです」とサラリ。舞台経験の豊富さを感じた。
ステージでは息の合ったところを見せ、大きな拍手喝さいを浴びた。演奏後の「ミート&グリート」でも、笑顔で来客にお礼を伝える二人。その表情には満足感が漂っていた。


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