The company of THE NOSEBLEED, written and directed by Aya Ogawa. Credit to Julieta Cervantes
「私には現在、パートナーとの間にできた12歳と9歳の息子がいます。子どもを産み、育てているうちに『家族とは何か』ということが分かってきた。父から私、子どもたちへの繋がりを考えた時、不仲だった父との関係を取り戻したい、父を理解したいと痛感しました。ですが、亡くなった父が自らの行動を説明することはできませんし、私の記憶も完全ではない。それでも、思い出のパズルを集め、組み合わせることで、自分の気持ちが整理できるのではないかと」
自伝を、父親のことを書く、と決めた時点で、「自分が父を演じる」ことはオガワの既定路線だった。
「誰かを演じるという行為は、演じる側と演じられる側で最も親密な関係を持つこと。時には暴力的でもあり、時には最大の敬意を表す行為にも繋がる。私の視点から見た『父』ではなく、私が知らなかった父を、『父の視点』から見つめ直し、『父を体現』することで、彼自身の人間性を体験することができたと感じています」
オガワはさらに、自分の息子を演じることで、「自身」を通して「父」と「息子」が繋がっていることをダイレクトに表現している。
「私はアメリカと日本を行き来していた子ども時代、違和感を感じていました。どちらの環境もしっくりこない、自分だけが違う、自分には『家』(home)が無いという感覚。そんな中で出会った『演劇』は、私の『家』であり、『家族』になった。想像力だけで他者と深い関係を生み出せる素晴らしい手段です」